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弁護士による示談交渉の役割

2018-07-27

 このサイトをご覧になっている方は,交通事故に遭って,何らかの点でお困りで,情報を探されている方だと思います。

 しかし,弁護士が間に入って交渉する必要がそもそもあるのか疑問に思われる方も多いのではないでしょうか?

 そこで,弁護士による示談交渉がどういった場面で必要になるのか,簡単な事例にして説明します。

 

慰謝料の交渉の場合

 治療が終わると,慰謝料の支払いを受けて示談という場面になりますが,この慰謝料の交渉について考えてみます。

 このとき,相手から例えば「あなたの慰謝料は50万円です。」と言われたときに,あなたはそれが適切かどうか判断できるでしょうか?

 慰謝料とは,端的に言うと,精神的な苦痛に対する賠償で,精神的な苦痛にかかわるあらゆる事情が考慮されて決定されるものです。

 当然,この判断は難しいので,当事者間で話し合いをする場合,ある程度の幅を持った金額とならざるを得ず,裁判になれば,裁判所は最終的な金額を判定しなければならない立場なので「65万円」などと金額をきっちり決められますが,この金額は裁判をして初めて確定するものです。

 そのため,裁判をせずに早期に示談で解決しようと思えば,先の例でいうと,「正確なところは分からないものの,50万円から70万円の間と考えられるので,この範囲で妥当なところ」で示談金額を決めていかなければなりません。

 

保険会社の立場になって考える

 ここで,保険会社の立場で考えていただきたいのですが,金額が50万円~70万円と予想されるときに,70万円を支払うでしょうか?

 保険会社はビジネスで保険金の支払いをしているので,50万円の可能性もあるのに上限の70万円を支払うということは通常あり得ないということが分かるでしょう。

 むしろ,できるだけ下限の50万円で済ませようとするはずです(ケースによってどの程度下げてくるかは差がありますが,少なくとも上限の金額をすすんで払うというケースは,少なくとも私は見たことがありません。)。

 しかし,逆に下限の金額であるとすれば,裁判をすれば金額が上がる可能性が非常に高いので,言い換えると,その金額で示談すると被害者が損をする可能性が高いです。

 そのため,この金額をできる限り適正な金額に近づける必要があります。

 

実際に交渉をする

 保険会社の提示する金額が基本的に低いことが分かったところで,次に交渉です。

 ここで,あなたが,「50万円では納得できない60万円払ってほしい」と言ったとします。

 これに対して,保険会社から,「うちの計算では50万円なので,これ以上払えない。」と言って譲らなかったら,どうしますか?

 保険会社が自社の見解を持つのはもちろん自由なので,これを覆すためには,相応の根拠を示さなければなりません。

 具体的には,こちらから「過去のデータや文献ではこうなっているので,これだけは支払わないといけないはずだ。」などとして説得していく必要があります。

 

それでも効果が出なかった場合は?

 こうなってしまっては,話し合いでは解決できないので,裁判などの特別な手続きを踏む必要がありますが,この手続きは一言でいうと非常に面倒で時間と手間がかかる手続きです。

 

弁護士の役割

 こういったことを一人でやり切れるという場合は,弁護士は不要です。

 しかし,一般的に上記のようなことをご自身でやろうとするのは困難ですので,これをご本人に代わって行うのが弁護士です。

 特に,交通事故に強い弁護士であれば,データや知識を豊富に持っているので,このようなことをスムーズに行うことが期待できます。実際には,裁判までいかずに,話し合いで解決に至る場合も多いでしょう。

 紹介した事例は慰謝料の増額の件ですが,その他にも休業損害の補償,逸失利益の交渉等,さまざまな場面で同じようなことが起こり得ます。

 それらを適切な形で解決していくのが,我々弁護士による示談交渉の役割なのです。

後遺障害等級12級で当初約960万円の提示から約1580万円に増額した事例

2018-07-17

事案の概要

 本件は,バイクと車の出合い頭の交通事故で,骨折等の傷害を負い,後遺症に後遺障害等級12級加害者側に弁護士がついていて,示談金額の提示が既にされていたという事案でした。

当事務所の活動

本件の特徴

 本件は,被害者に過失があると見込まれる事案で,相手方の弁護士から提示された金額も決して低いものではなかったため,通常の交渉ではそれほど増額が見込める事案ではありませんでした。

 しかし,本件は,人身傷害保険が利用できる事案でもあり,この点に特徴がありました。

人身傷害保険

 人身傷害保険とは,被害者の過失の程度にかかわらず,原則として被害者に生じた損害を補填するということを目的とするもので,金額の算定は,保険会社が独自に設定している基準に基づいて行われます。

 そして,この基準は,裁判所で認められる実際の損害額よりも低いことが通例です。

 そのため,加害者がいる場合には,この保険を使うメリットはあまりありません。

 しかし,被害者に過失がある場合は,保険会社の基準の限度で,過失分の埋め合わせをできるという性質もあるというのがこの保険の隠されたメリットです。

 そこで,この保険を最大限活用し,過失分も含めて損害を完全に填補することを目標に活動を行いました。

保険金の支払い

 本件では,上記の方針に従って,まず人身傷害保険金について保険会社から約1100万円の支払いを受けることとしました。

訴訟の提起

 次に,この人身傷害保険金は,すでに述べたとおり保険会社の基準に従って金額が決まるため,実際の損害額よりも不足していたことから,この不足分について加害者に対して請求する訴訟を提起しました。

 詳細は割愛しますが,上記のメリットを活かすためには,人身傷害保険の保険会社が,支払った保険金について,全額を加害者に対して求償するということを防ぐ必要があります。

 そのために,通常,裁判手続きで全体の損害額を確定する必要があるのです。

 この訴訟の中では,逸失利益の額等が争われることになったのですが,関連する裁判例を参考にしつつ反論し,結果として遅延損害金等を含めて,約480万円が支払われることで和解することとなりました。

 その結果,人身傷害保険金を含めると,当初の金額の約960万円から約1580万円と約620万円の増額となりました。

コメント

 本件は,人身傷害保険を利用することで,結果として被害者の過失分も含めて賠償金の回収を行うことができましたが,このような保険の仕組みは,人身傷害保険の保険会社の担当者も十分に理解していないことが多いです。

 また,上記のような事情もあって,人身傷害保険を十分に活かすためには,基本的に裁判を行って全体の損害額を確定する必要がありますが,この裁判はかなり難しいため,ご自身で行うことは非常に困難なものとなります。

 人身傷害保険を利用できる場合は,特に交通事故に強い弁護士のサポートがなければきちんと補償を受けることは困難ですので,まずはお気軽に弁護士にご相談ください。

後遺障害分の請求が満額認められた事例

2018-07-13

事案の概要

 事案は,道路で停車中に後続車から追突されたというもので,過失割合に争いはありませんでしたが,経済的全損の損害額に争いがあったことから,事故直後からのご依頼となりました。

 また,事故で負った怪我が治療をしても完全には治らなかったため,後遺障害の申請をしたところ,腰椎捻挫後の臀部の痛み等について後遺障害等級14級9号が認定されました。

 

交渉経過

物損

 経済的全損とは,損傷した車を修理するよりも同種の車両に買い替えた方が安く済む場合のことで,この場合,賠償の対象となるのは,買い替えに要する費用に限られます。

 このときに争いになるのが,買い替えをする車の時価額や乗り出しのための諸費用です。

 今回は,時価額を新車価格の10%とされていて,諸費用については特に計上されていませんでした。

 そこで,時価額・諸費用についてそれぞれ調査を行って交渉を行った結果,当初の金額約12万円から約37万円への増額に成功しました。

人身

 本件は後遺症が残っていたため,後遺障害等級の認定を受ける必要があったのですが,後遺障害診断書上,目立った異常所見やそれに一致する神経症状は見受けられず,これのみで認定を受けられるかは微妙なケースでした。

 ただ,本件は事故による衝撃が大きく,日常生活にも支障が生じていたため,そうしたことを車両の損害レポート等の資料と共に意見書の形にして自賠責保険会社に提出し,結果として後遺症が等級14級9号の認定を受けることができました。

 さらに,保険会社との交渉では,慰謝料や逸失利益の金額について争いになることが多いのですが,本件では弁護士が交渉を行った結果,後遺障害分については慰謝料・逸失利益ともに請求金額の満額が認められて示談することができました。

 

ポイント

物損

 経済的全損となった場合,オートガイド社が発行しているレッドブックという本に掲載されている価格が時価額の基準とされることが多いのですが,この金額は実際の中古車市場との間で乖離が見られることも多く,一定年数を経過した古い車両は掲載もされないという問題があります。

 そこで,車両の時価額については,被害者がインターネット等で中古車市場の状況を確認する必要があります。

 特に,レッドブックに掲載されないような車両は,保険会社から新車価格の10%といった提案がされることも多く(本件もそうでした。),一層チェックの必要が出てきます。

 また,買い替えに要する諸費用については,当然こちらから請求しなければ相手方は認定してくれませんので,これも調査をする必要があります。

 この買い替え諸費用は,どの費目でも認められるわけではなく,裁判でも判断が分かれるものもありますので,算出が難しい部分でもあります。

人身

 後遺障害に関する損害は,裁判上,傷害部分(治療中の分)以上に賠償金の定額化が進んでいるところですので,安易に妥協することはできません。

 ただ,逸失利益については,被害者の仕事の復帰状況などによっては実際の損害額に違いが出ることもありますので,その辺りのリスクも踏まえて最終的な示談金額を協議していくことになります。

 

まとめ

 物損・人身いずれも,現在の裁判実務でどのような判断がされているのかについて知識がなければ,妥当な金額を導き出すことは難しいところがあります。

 示談にあたって,どの程度の金額が妥当なのか,お気軽に弁護士にご相談ください。

過失割合50:50から20:80に変更した事例

2018-05-18

 今回は,当事務所で取り扱った交通事故の案件の中で,弁護士が交渉を行ったことで過失割合が大きく変更されたケースについてご紹介します。

 

事案の概要

 事案は,交差点を通過した被害者の乗った自動車が,交差点の先にある住宅の前を通過しようとしたところ,その住宅の駐車スペースにバックで駐車すべく右側に停車していた加害者の車両が,バックのために膨らんできたために衝突してきたというものです。

 被害者は,円満解決を望んでいて,自分も動いていたこともあったので,多少減額されても仕方がないと当初思っていたのですが,加害者から,60対40と思ったより減額を主張されて驚いていたところ,話をしているうちに50対50などと言われるようになったため,当事務所にご依頼いただくことになりました。

 

交渉経過

 事故は,被害者が加害者の車の横を通過しているときに,突然加害者の車が膨らんできたというものであったため,被害者にとって回避することは非常に難しいものでした。

 そのため,過失割合が50対50ということはあり得ないと考えられましたので,まずはその旨を道路交通法の条文などを引用しつつ説明しました。

 これに対し,おそらく相手の保険会社は,加害者の責任が大きくなることについて異存はなかったようなのですが,加害者本人が頑として譲らず,話し合いが平行線となってしまいました。

 このような背景として,調査会社が行った調査の結果が50対50とされたことがあるようでした。

 調査会社というものは耳慣れない方が多いかと思いますが,保険会社が過失割合の認定をする際に,判断に迷った場合,外部に調査を依頼することがあるのです。

 そのため,そのような結果を受けてか,加害者本人が非常に強気になっていました。

 

訴訟の提起

 話し合いでは妥当な解決が図れない可能性が高まったことから,被害者と協議の上で,裁判で決着をつけることとしました。

 裁判では,刑事記録(今回の場合は物件事故報告書というものになります。)を警察から取り寄せ,各種証拠と共に裁判所に提出することになります。

 また,裁判所の判断を仰ぐため,こちらの主張が認められるように内容を訴状という形にして整理します。

 そして,準備が整ったので,実際に裁判所に書類を提出しました。

 裁判所に書類を提出すると,裁判所から加害者本人に対して書類が送られることとなります。

 

和解の成立

 そうして,裁判の日にちも決まって備えていたのですが,相手の保険会社から,加害者本人が過失割合20対80とすることに応じるとの連絡がありました。

 被害者は,元々円満解決を望んでおられたこともあり,これに応じることとしました。

 その結果,実際に裁判が始まる前に訴えを取り下げることとなり,意外な形で解決となりました。

 

ポイント

 過失割合は,通常,別冊判例タイムズNo.38「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(東京地裁民事交通訴訟研究会 編)を参考にして決められることが実務上定着しています。

 これは,相手方の保険会社も同様ですので,一般的な事故類型であれば,保険会社から極端におかしな過失割合が示されることはほとんどありません。

 しかしながら,本件は,自宅の駐車スペースに入れるために対向車線に一度停車し,そこからバックのために膨らんできて被害車両にぶつけるというもので,およそ通常では起こり得ないような事故類型でした。

 そのため,この本に書かれている基準をそのまま使うことができず,そのような場合,本の内容を参考にしつつも,妥当な過失割合を当事者の間で話し合って決めなければなりません。

 このときに,調査会社というものが出てきて過失割合について見解を述べることがありますが,調査会社は,法的な資格に基づいて過失割合を判断しているわけでなく,弁護士から見たときに見当違いの見解を述べることが少なくありません。

 しかし,保険会社は,この判断をかなり重視することがありますので,それがおかしいことについて丁寧に説明する必要があります。

 また,それ以上に過失割合の交渉が難しいのは,あくまでもどちらが悪いのか?という感覚的な問題なので,形式的な基準がないとなると加害者本人が素人判断で見当違いの過失割合を主張してくることがあるということです。

 そうなると,なかなか理論的な説得が通じないことがあり,今回のように訴訟に踏み切らざるを得ないということも出てきます。

 ただ,それでも根気強く丁寧に説明をすることで,最終的には合意に至ることもありますので,この辺りは弁護士の力量が試されるところかもしれません。

 

まとめ

 過失割合の交渉は,慰謝料の交渉とは違って,加害者本人の意向なども絡んで難しいことが多い部分です。それでも,粘り強く交渉することで過失割合が変更されることも少なくありませんので,相手方が明らかに不当な主張をしているような場合には,一度弁護士にご相談されることをおすすめします。

後遺障害等級14級(むちうち)で請求のほぼ満額の支払いを受けた事例

2018-04-26

 今回は,当事務所で取り扱った交通事故の案件の中で,後遺障害等級14級9号が認定され,請求額のほぼ満額が支払われたケースをご紹介します。

 

事案の概要

 事案は,信号待ちで停車中の被害車両に後方から加害車両が衝突してきて,被害者量が衝撃で前に止まっていた車に衝突したという玉突き事故です。

治療終了間際で,後遺症の申請サポートからのご依頼でした。

 

当事務所の活動

 まずは,後遺障害の被害者請求を行うところから着手しました。

 また,同時並行で治療期間中(傷害部分)の損害賠償の請求も行いました。

 怪我の内容がむちうちであったため,後遺障害等級が認定されるかは不透明で,出来上がった後遺障害診断書を見ると,神経根症状誘発テストの結果が陰性となっているなど,少し気になる内容でした。

 そこで,必須書類の他にも書類を添付し,被害者請求を行いました。

 その結果,無事,14級の認定を受けることができましたので,その結果を受けて相手方と後遺障害部分の交渉を行うこととなりました。

 

相手方保険会社との交渉

 今回は,後遺障害分の被害者請求と並行して傷害部分(治療終了までの部分)の示談交渉を進めました。

 傷害部分で問題となったのは,休業損害の不足額と傷害慰謝料の額でしたが,休業損害の方は当方の提示額の満額,傷害慰謝料の額も裁判基準(赤い本)の約97%とほぼ満額で示談することができました。

 続いて,後遺障害の認定を得ることができましたので,後遺障害分についても追加で請求を行いました。

 その結果,後遺障害分については,働能力喪失率5%,労働能力喪失期間5年の満額と後遺障害慰謝料は裁判基準(赤い本)の約99%で示談をすることができました。

 

後遺症傷害の申請のポイント

 本件は,むちうち症の後遺障害等級14級9号という後遺障害の中では最もポピュラーな事案です。

 しかし,むちうち症は,他人から見ると症状の原因がよく分からないということがほとんどで,近年では,単に被害者が痛みを訴えるのみでは自賠責でいう後遺障害には当たらないとされることが多く,認定を受けるのは容易ではありません。

 そのため,後遺障害の申請の段階から,できるフォローはしておいた方が良いと思います。

 本件の場合,玉突き事故であったことが特徴の1つで,軽い事故であれば玉突き事故にはなりません。

 この点から,被害者の身体にもかなりの衝撃が加わったことが分かりました。

 そこで,被害者から車両の写真を取り付け,それを申請書類に添付することで,事故の衝撃の大きさを明らかにしました。

 次に,被害者は,手のしびれを訴え,そのことは後遺障害診断書には書かれていたのですが,それ以前の毎月作成される診断書にはそのことの記載が全くありませんでした。

 そこで,カルテを取り寄せ,治療の当初からしびれが一貫して存在していたことを明らかにしました。

 自賠責保険では,症状の連続性や一貫性が重視されているといわれているためです。

こうして,自賠責保険に提出する必須書類に加え,追加書類を添付して後遺障害の申請を行ったところ,無事等級の認定を受けることができました。

 

交渉のポイント

 本件の交渉は,相手方の対応があまり強硬ではなかったこともあり,裁判基準のほぼ満額を支払うことについて,早期に合意に至ることができました。

 

 

コメント

 インターネット上の情報を見ると,後遺障害の申請は必ず被害者請求で行うべきであるというようなものが見受けられます。

 しかし,私の経験上は,被害者請求の方が事前認定よりも有利な結果が出やすいということは必ずしもないように思えます(事前認定であっても,適切に認定されることは数多くあります。)。

 ただ,必須書類のみでは伝わらないような事情があるような場合には,やはり被害者請求でその点が分かるような書類を添付しておいた方がいいように思えます。

 実際,事前認定では後遺障害の等級が認められなかったものが,書類を追加して異議申し立てを行ったところ,等級が認められたということもあるからです。

 申請に当たって,どこまでフォローをすべきかはケースによりますが,後遺症のことで気になることがおありでしたら,お気軽にお問い合わせください。

その他の事例はこちら→「解決事例一覧」

 

当初約6万6000円の提示から約68万円に増額した事例

2018-04-13

 今回は,当事務所で取り扱った交通事故の案件の中で,通院機関4か月半と比較的短期の通院期間で,当初の賠償金の提示額が低かったケースについてご紹介します。

 

事案の概要

 事案は,青信号で交差点を直進していた原付バイクに対抗右折車両が衝突してきたという交通事故です。

 本件は,弁護士費用の特約の利用はなく,後遺障害の認定もないケースではありましたが,弁護士へ支払う費用を考慮しても十分にメリットがあると考えられたため,ご依頼となりました。

 

当事務所の活動

 本件は,依頼者様が特に早期の解決を望まれている事案だったので,依頼後,すぐに交渉を開始しました。

 

相手方保険会社との交渉

 

 本件は,怪我の内容の中に腰椎の横突起骨折が含まれていて,捻挫・打撲のみで他覚的所見がないようなケースと比較して慰謝料の額が高額になると考えられるケースでした。

 しかし,当初保険会社から提示されていた慰謝料の金額は,自賠責保険の基準(4,200円×実通院×2)という非常に低い金額となっていました(約22万円)

 そこで,この点について弁護士が示談交渉を行い,慰謝料の金額は約90万円となりました

 また,休業損害については,ご依頼前にパートの仕事を実際に休んだ分が支払われていたのですが,依頼者様はパートの他に家事労働に従事する兼業主婦の方でしたので,その点を踏まえた増額のための示談交渉を行いました。

 その結果,休業損害は元々約73万円とされていたのですが,主婦業を考慮して,約87万円を認めさせることができました

 そのため,合計額は,当初と比較して約73万円増額し,過失分が差し引かれたものの,最終の支払額は当初の提示額約6万6000円から約68万円に増額しました。

 また,本件は,ご依頼から賠償金の入金まで約4週間でしたので,ご依頼者様のご希望に沿うことができたのではないかと思います。

 

コメント

 多くの方からご相談をいただく中で,「こんな小さな事故で依頼をしてもいいんでしょうか?」とか「費用が気になる…」とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。

 しかし,そういった方こそ,是非一度ご相談ください!

 交通事故の被害をご自身で正確に把握するということは想像以上に難しいことで,思った以上に損害が発生しているということは珍しくありません。

 そのため,ご自身では小さい事故だと思っていても,弁護士に依頼した結果,思いのほか大きい金額を受け取ることができたということが非常に多いのです。

 この方の場合も,弁護士費用の特約へのご加入はありませんでしたが,増額分が約60万円でしたので,弁護士費用(増額分の10%+15万円)を差し引いても十分なメリットがありました。

 法律相談は無料若しくは弁護士費用特約の利用でご自身のご負担はありませんので,まずはお気軽にご相談ください。もちろん,経済的なメリットがでないケースもあり得ますが,そういった場合,ご依頼前にその旨をはっきりとお伝えし,メリットが出ないのに無理に依頼をすすめるということはありませんのでご安心ください。

 

賠償金が〇倍にアップ?

 ところで,インターネット上で,当初の金額から〇〇倍に金額がUP!といったことが書かれているホームページをよく見かけます。

 同じような書き方をすれば,本件の場合も10倍以上にアップしたということになるのでしょう。

 しかし,個人的には,このような書き方では,見た人が誤った印象を受けてしまうのではないかなと思っています。

 今回のケースもそうですが,被害者にも過失があるような場合,それまでに相手方から満額支払われていた治療費や休業損害についても,最終の支払いの際に清算の対象となります。

 そのため,そういった場合,相手方の当初の提示額が非常に低いものになりがちで,場合によってはゼロとなります。

 このような場合に,元の金額をベースに〇倍という書き方をすると,ものすごくインパクトのある数字になってしまうのです。

 

 わかりやすい例を挙げますので,以下のような例があったと考えてください。

  過失割合 20対80

  治療費 100万円(支払い済み)

  休業損害 100万円(支払い済み)

  慰謝料 保険会社の提示額50万円(裁判基準100万円)

 この場合,慰謝料だけでみると,過失分を引かれても,50万円の80%で40万円を受け取れそうです。

 しかし,治療費と休業損害で,相手方は,これまでに本来支払わなくても良いはずの20%分まで全額支払っていて,この払いすぎた分は200万円の20%で40万円になります。

 そのため,この分が最終的には清算されますので,結果的に受け取れる慰謝料の額はゼロということになるのです。

 これを,弁護士が交渉して裁判基準での慰謝料の支払いを認めさせることができれば,100万円の80%で80万円から40万円を差し引いた40万円を受け取ることができます。

 この場合,先の書き方にならえば,0円から40万円にUP!ということになるのでしょう(金額が少し変われば,1万から40万円に40倍になった!などとなるでしょう。)。

 しかし,交渉する立場からしてみれば,過失割合が変更できないのであれば,過失ゼロのケースで50万円から100万円にするのも(これだと増額は当初の2倍),上で挙げた例で0円から40万円にするのも交渉の難しさは変わりませんし,被害者の方にとっても,〇倍になったことが重要なのではなく,最終的な支払額がいくらになったのかの方が重要なはずです。

 そのため,色々な弁護士のホームページをご覧になっている方も,〇〇倍になった!というインパクトよりも,その中身の部分で,弁護士がどのような活動を行っているのかというところに着目されると良いかと思います。

 

 当事務所では,なぜ相手の提示額が低くなっているのかなどについても,できるだけ分かりやすく説明するように心がけていますので,交通事故の賠償の件で少しでも気になることがある場合は,お気軽にお問い合わせください。

その他の事例はこちら→「解決事例一覧」

 

主婦の休業損害を含め約180万円の支払いを受けた事例(治療費は除く)

2018-03-30

今回は,当事務所で取り扱った交通事故の案件の中で,兼業主婦をされていた被害者の方の事例をご紹介します。

 

事案の概要

 事案は,停車中の被害車両に,前方から突然バックしてきた加害車両が衝突してきたという交通事故です。

 自営業を営みながら通院をすることとなるなど,事故後の対応に不安な点も多かったことと,弁護士費用の特約にご加入されていたこともあって,事故当初からのご依頼となりました。

 

当事務所の活動

 弁護士がお話を詳しく伺ったところ,事故後の通院や症状の影響から,たしかに自営のお仕事への影響があり,その分の休業損害の請求も可能なケースでした。

 しかし,自営業の休業損害の場合,休業が必要だったのか,あるいは,必要だったとしてどの程度の休業が必要だったのかという点で難しいところが多く,金額の計算も,相手方の交渉では争いとなることが少なくありません。

 他方で,今回の場合,自営の仕事の他に主婦業もされている方であったところ,実務上で認められる主婦業に関する休業損害の金額は決して低くありません。

 そこで,休業損害については,治療終了後,主婦の休業損害として請求することにしました。

 なお,今回は,特に後遺症は問題となりませんでした。

 

相手方保険会社との交渉

 今回は,初回に賠償金額の提示を受ける前に,保険会社の担当者と簡単な交渉を行っていましたので,初回の提示額の時点で約128万円の提示を受けていました。

 しかし,その後,さらに交渉を進め,最終的に約180万円の支払いを受けることで示談が成立しました。

 

交渉のポイント

兼業主婦の休業損害の計算

 まず,兼業主婦の休業損害なのですが,一見すると,実際に休んだ仕事の損害分しか加害者に請求できないという感覚になるのではないでしょうか。

 しかし,実務上,専業主婦の場合でも,女性労働者の平均賃金を使って賠償の請求ができるとされており,パートなどをしながら兼業主婦をしている人が,専業主婦の場合よりも受け取れる賠償金の額が小さいというのは不合理ですので,現実の収入額と女性労働者の平均賃金を比較して,高い方を用いて賠償金の計算をすることが認められています。

自営業の休業損害の請求の難しさ

 自営業の休業損害の請求が難しいところは,実際に休業したのか,休業をしたとして,その休業が本当に必要だったのかが容易に分からないという点にあります。

 サラリーマンであれば,実際に休業していたかどうかは会社に問い合わせれば分かりますし,会社との関係上,不必要に休業を続けることも通常はできません。

 そのため,サラリーマンであれば,極端な休業の仕方をしなければ,この点が問題になることはあまり多くありません。

 逆に,自営業であれば,誰かに勤怠を管理されているわけではないので,この点の検証が非常に難しいのです。

 そのため,保険会社は,自営業の場合の休業損害の認定について厳しい態度をとってくることが多いです。

 さらに,自営業の場合,所得の低下の他に,固定経費が無駄になるという問題もあります(例えば,休業していても発生するような店舗の家賃など)。

 このような経費分も加害者に請求することが可能なのですが,この点も保険会社はすんなりとは認めません。

 このように,自営業の休業損害について,適正な額の支払いを受けることは,一筋縄ではいきません。

主婦の休業損害として請求した理由

 これに対し,主婦業の場合,まず基礎収入に関しては,実務上の考え方は固まっていますので,ほとんど問題になりません(保険会社は自賠責基準の5700円を主張することもありますが…)。

 休業の日数については,明確な決まりがなく争いになりやすいところではありますが,自営業の場合よりは,緩やかに認められることが多いように思います。

 この辺りは,同種の過去の事例のデータを元に妥当なラインを探るほかありません。

 いずれにしても,今回は,支払いを受けられる金額の見込みを考慮して,主婦の休業損害として請求を行いました。

 

コメント

 今回は,保険会社との交渉であまり争いになりませんでしたが,通常,主婦の休業損害の額はかなり大きな争いになります。

 したがって,一般的には,弁護士が交渉を行ったからといって,このケースのようにすんなりと支払いが受けられるとは限りません。

 しかし,そのように元々難しい問題であるからこそ,ご自身で解決することが一層難しい部分でもあります。

 主婦の休業損害は,そもそもそのような賠償が可能であること自体気付かないことも多いのですが,金額は決して小さくありません。交通事故で負ったケガの影響で主婦業に支障が出ているような場合には,まずはお気軽に弁護士にご相談ください。当事務所では無料相談も実施しております。

その他の事例はこちら→「解決事例一覧」

 

後遺障害等級12級6号が認定され約580万円獲得した事例

2018-03-06

今回は,当事務所で取り扱った交通事故の案件の中で,後遺障害等級12級6号が認定された事例をご紹介します。

 

事案の概要

 事案は,自転車で横断歩道を横断中,左側から交差点に進入しようとした自動車に衝突されたというもので,被害者は,右手舟状骨骨折の傷害を負いました。

 治療中の慰謝料等についてはご自身で示談をした後で,後遺障害に関する申請からの依頼となりました。

 

当事務所の活動

被害者請求

 本件では,右手関節の可動域制限や疼痛等の神経症状が残存しており,後遺障害の認定が見込まれました。

 そこで,各種資料を取り寄せ,被害者請求によって自賠責保険会社に保険金請求を行いました。

 事前認定による申請もあり得たところでしたが,被害者請求は,提出書類を吟味できるほか,事前認定よりも早く賠償金を獲得できるというメリットがありますので,被害者請求を行いました。

※事前認定と被害者請求の違いについてはこちら

 申請の結果,可動域制限について,後遺障害等級12級6号が認定され(疼痛は可動域制限と通常派生する関係にあるため,これに含まれる。),保険金として224万円が支払われました。

 

相手方保険会社との交渉

 自賠責保険は,あくまでも最低限の補償を迅速に行うためのものですので,被害者に対する賠償としては不足しています。

 そこで,その分をカバーするための保険である,加害者側の任意保険会社に対して,差額の支払いの交渉を行いました。

 当初,相手方は,慰謝料の額を裁判基準の8割,逸失利益は労働能力喪失期間を10年間と主張し,過失分と自賠責分を除いた最終の支払額を約220万円としていました。

 しかし,弁護士が交渉を行った結果,慰謝料は満額,逸失利益は労働能力喪失期間が15年となり,最終の支払額は約360万円となって,140万円の増額に成功しました(弁護士介入後の獲得金額は約580万円)。

 

交渉のポイント

 後遺障害に関する損害賠償の場合,将来にわたって発生する損害を予測することになりますので,どうしても金額が不明確になる部分があります。

 このケースの場合,特に問題になるのは逸失利益の部分で,逸失利益とは,将来後遺症を原因としてどの程度の減収が発生するのかを予測して請求するのですが,これは,厳密に予測することは不可能なので,通常は,事故前の収入に認定された後遺障害の等級に応じて決められた労働能力喪失率をかけ,その減収がどの程度の期間続くのかという形で計算します。

 今回認定された12級6号の場合だと,労働能力喪失率について争われることはあまり多くなく,争いになるのは減収が何年間続くのかという形で争われることが多いです(労働能力喪失期間)。

 後遺障害は,基本的に永久に残存するものについて認定されるものですので,単純に考えると,働ける間は減収が続くということになります(一般的には67歳までとされます。)

 ところが,実際には,そもそも労働能力喪失率どおりに減収が生じていなかったり,将来改善する可能性があるといった事情から,労働能力喪失期間で調整が行われることがあります。

 また,むち打ち症に関して12級の13号が認定された場合,労働能力喪失期間が一般的に10年間とされることが多いことから,保険会社は12級となると10年という主張をしてきます。

 12級6号の場合,基本的に,画像を見て可動域制限の原因が分かるような場合でなければ認定されず,画像上はっきりと原因が分かるような場合であれば,一生涯改善の見込みはないと考えられますので,労働能力喪失期間も基本的に67歳までと考えられます。

 しかし,減収がないような場合には,裁判をしても見込んだとおりの金額が認められるとは必ずしも限りません。

 本件の場合,ご本人の早期解決のご意向が強かったことや,慰謝料は満額となっていたこと,労働への支障も現時点ではそれほど大きくなかったことから,労働能力喪失期間を15年とすることで示談としました。

 

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 後遺障害は,等級の数字だけではなく,どういった後遺症に対して等級が認定され,実際にどのような支障が生じているのかということを見ながら,適正な賠償金額を判断していくことになります。

 本件のような12級6号と,神経症状について認定される12級13号とでは,賠償上の違いがありますし,その他の等級(例えば変形障害や醜状障害など)の場合でも,特別な考慮が必要となることがあります。

 この辺りの判断は,専門家でなければ難しいところですので,後遺症が気になる場合は,おひとりで悩まれずにお気軽に弁護士にご相談ください。当事務所では無料相談も実施しております。

その他の事例はこちら→「解決事例一覧」

 

後遺障害等級10級で3000万円超の損害額が認められた事例

2018-02-09

 今回は,当事務所で取り扱った交通事故の案件の中で,後遺障害等級10級が認定された事例をご紹介します。

 

事案の経過

 事案は,信号機による交通整理のされている交差点での事故で,バイクに乗って交差点を直進しようとした被害者が,右折をしようとした車にひかれたという交通事故です。

 被害者は,親指のMP関節尺側側副靭帯損傷・MP関節亜脱臼,右肩関節脱臼といった傷害を負いました。

 

当事務所の活動

ご依頼

 事故によって負った怪我の内容が比較的重く,初めての事故で不安に感じられていたため,事故当初からご相談に来られ,そのまま,物損も含めて弁護士が相手方との交渉を対応することとなりました(弁護士費用特約の加入はありませんでしたが,当事務所はそのような場合,相談料・着手金は無料ですので,当初からご依頼いただくこととなりました。)。

 

物損

 物損はそれほど争いにならなかったのですが,必要書類の提出や示談内容のチェックなどを行いました(この点は成功報酬の計算の対象外としています。)。

 

治療中

 治療中は,休業損害の請求などを弁護士が代わって行いました。この点も,あまり争いにならなかったので,成功報酬の計算の対象外としています。

 

治療終了後

 治療終了後は,指関節の可動域制限などの後遺症が残っていたため,後遺障害申請のサポートを行うとともに,並行して,それまでに発生した慰謝料等の請求を行いました。

 

後遺障害等級認定後

 後遺障害の申請を行った結果,後遺障害等級併合10級が認定されましたので,その結果を元に,後遺障害分について相手方の任意保険会社と交渉を行いました。

 金額が大きかったため,交渉に若干の時間を要しましたが,後遺障害の内容から逸失利益は問題にならないことなどを強く主張し,逸失利益については請求額の満額,慰謝料についても裁判基準をベースに若干の減額を受けたのみで,傷害部分も合わせると総額約3000万円(ただし,治療費も含みます。),過失相殺15%分を除いた支払総額は約2600万円となり,後遺症分の最終支払額は約2200万円となりました。

 その結果,ご依頼者様の早期解決の意向もあり,そのまま示談となりました。

 

メッセージ

 交通事故に遭うことは一生に一度あるかないかのことで,保険や賠償の仕組みのことなど分からないのが通常です。

 とはいえ,分からないからといって保険会社に任せきりでは,本来受けられるはずの補償が受けられないということは非常に多いです。

 交通事故の被害に遭った上に,自分でも資料を揃え,交渉を行わなければならないのはおかしいと思われるかもしれません。

 しかし,加害者としても,全てを言い値で支払うことはできませんので,どうしても最低限の資料や説明は必要となります。

 特に,後遺症となると,将来の損害を予測して賠償の請求をすることになることとの関係上,複雑な問題を含むことがむしろ多数で,しっかりとした根拠とともに請求を行わなければ,適切に補償を受けることは困難です。

 また,金額が大きければ,それだけ相手方のチェックも厳しくなります。

 そのため,重い後遺症が残りそうな場合には,お早めに弁護士にご相談いただき,適切に交渉を行っていくことを強くおすすめします。

その他の事例はこちら→「解決事例一覧」

 

人身傷害保険を組み合わせて過失分も含めて満額回収できた事例

2018-01-29

 今回は,当事務所で取り扱った交通事故の案件の中で,人身傷害保険を利用して過失分も含めて裁判基準で賠償金を回収できた事例をご紹介します。

 

事案の経過

 事案は,駐車場内の事故で,被害者が駐車スペースにバックで自車を停めようとしたところ,停めようとした駐車スペースの横のスペースに停まっていた車が突然後退してきたため,被害者が運転する車と衝突してしまったという交通事故です。

 

当事務所の活動

物損

 まず,今回の場合,駐車場内の車同士の事故であったため,過失なしとすることが難しいというところが問題となりました。

 感覚的には,安全を確認した上で駐車スペースに向けて進んでいるため,いきなりバックしてきた相手の車が一方的に悪いという風に感じられるところです。

 しかし,駐車場内の事故の場合に一般の道路と違うところは,車の間から歩行者が出てきたり,車が後退で動き出したりする可能性が高く,ドライバーが通常以上にそういったことに注意をしながら運転をしなければならないという点です。

 そのため,駐車場内の事故の場合,過失がゼロとなることは難しく,通路を進行する車と駐車スペースから出ようとする車の過失割合は,通路を進行する車が30,駐車スペースから出ようとする車が70とされることが一般的で(別冊判例タイムズNo.38),保険会社は,駐車場内の事故というだけで,50対50を主張してくることも珍しくありません。

 本件でも相手方は,当初過失割合を50対50と主張していました。

 しかし,ご依頼を受け,防犯カメラの映像を元に,事故状況から被害者が事故を回避することが困難であったことを丁寧に説明し,最終的に過失割合を25対75としつつ,相手方の修理費用については負担しない(片賠と言います。)という条件で示談することができました。

 片賠の場合,通常であれば負担すべき相手の修理費用の一部の負担がなくなるため,上記の例でいうと,実質的には25対75よりも有利な条件となります。

人身

 物損については以上のように解決できましたが,人身の場合,片賠で解決ということにはなりません(加害者に人身損害が発生していたとしても,被害者の負担分は元々自賠責保険で賄って終了となるケースが多いため)。

 そうすると,人身事故の場合でも,25%分は自分の損害について自己負担が発生することになります。

 このときに注意をしなければならないのは,通常,被害者の過失割合が小さい場合であれば,加害者側の保険会社が治療費を全額負担してくれることが多いのですが,この分についても,実際には自己負担分が生じているということです。

 例えば,裁判基準で計算したときに100万円の慰謝料が見込める場合であったとします。

 このときに,過失が25%であったとすると,慰謝料として100万円×75%=75万円が受け取れるのかというとそうではありません。

 仮に,それまでに治療費として病院に100万円が支払われていたとすると,加害者は被害者の自己負担分の25万円分多く支払ったことになりますので,この分が最終的に清算の対象となるのです。 その結果,慰謝料は先ほど計算した75万円から25万円を差し引いた50万円しか受け取ることができず,元の計算の半分となってしまいます。

 この点は,気付いていないまま治療を受けている方がほとんどなので,自分に過失があるようなケースでは,治療費の総額をセーブすることも考えなければなりません。

 具体的には,健康保険を利用することや(労災適用の場合は使用不可),整骨院に毎日通院することは控えるなどすることが考えられます。

 このように,過失がある場合,被害者が受け取れる金額に大きな影響が出てくるのですが,このような過失の影響を受けずに済むような保険が後で説明する人身傷害保険です。

 今回の場合,人傷害保険金を先に回収し,残額を裁判で相手方に請求するという方針をとりました。

 そして,裁判所に提出する訴状と証拠を完成させた上で,相手方の保険会社に訴状をあらかじめ送付したところ,こちらが予定していた金額での和解に応じてくれたため(慰謝料は裁判基準の満額),実際には訴えを提起する前に解決となりました。

 

金額の変化

過失割合

 当初50対50から0対75へ

人身回収額

当初の相手方の提示額は約79万円だったのですが,人身傷害保険金約91万の支払いを受け(ここでも若干の交渉を行いました。),さらに追加で約55万円の支払いを受け,合計で約146万円の支払いを受けることができました。

 

交渉のポイント

過失の交渉

 過失割合については,通常想定されているケースとの違いを強く主張するとともに,片賠などで柔軟に解決方法を探ることが重要です。

人身傷害保険の特徴を知っておく!

 人身傷害保険とは,被害者(被保険者)が交通事故で怪我をしたときに実費相当額を自分の保険でカバーするためのもので,附帯率は平成28年3月時点で90%を超えるとも言われています。

 主に,自分の過失が大きい場合や,相手が保険に加入していなかったような場合に効果を発揮します。

 しかし,この保険は,自分の過失が小さい場合であっても,非常に使える保険なのです!

 人身傷害保険は,保険会社が定めた基準にしたがって保険金が支払われるもので,裁判基準を満額補償するものではありません。

 しかし,詳しい説明はかなり専門的なので割愛しますが,裁判をすることによって,ご加入の人身傷害保険の保険会社に自分の過失分について支払いをしてもらい,元々加害者が負担すべきであった分については加害者に負担させるということが可能になるのです。

 この点は保険会社の担当者もよく知らないことが多いのですが,人身傷害保険は裁判と組み合わせることによって,このような絶大な効果を発揮しますので,弁護士であれば当然この点も考慮しつつ方針を決めていくことになります。

 

メッセージ

 人身傷害保険を最大限に利用しようと思うと,自ずと裁判をすることを視野に入れていくことになりますが,その場合の請求の仕方は,単純に自分の損害を請求する場合よりもはるかに複雑です。

また,弁護士でも,人身傷害保険の仕組みをよく知らないということもあります。

そのため,基本的にご自身で行うことは困難ですし,人身傷害保険を使わない通常のケースと同じようにうっかり示談をしてしまうと,大きく損してしまうということもあり得ますので,人身傷害保険にご加入の場合で自分にも過失があるようなケースの場合,交通事故に強い弁護士にご依頼されることをおすすめします。

その他の事例はこちら→「解決事例一覧」

 

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