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後遺障害等級14級9号で,提示額0円→約83万円となった事例

2018-08-30

事案の概要

 事案は,右折待ちで停車中に,加害車両に追突されたというもので,ご相談時点で頚椎捻挫後の頚部痛・右上肢しびれの症状について被害者請求で後遺障害等級14級9号が認定されていましたが,相手方保険会社から,自賠責の認定額以上に支払うものはないとして,追加の賠償金0円の提示を受けていました。

 

当事務所の活動

 本件は,元々後遺障害非該当だったものを,過去に事故歴があった被害者本人が異議申立て手続きを行って14級9号を獲得したというものでした。

 そして,事故の直前に職を変わるなどしていたため,確実に安定した収入を認定するのが難しいという問題がありました。

 このような理由から,保険会社は,自賠責保険金以上のものを支払うことはできないと主張していました。

 しかし,事故後の仕事の状況や現在の裁判実務等について根気強く説明して交渉した結果,約83万円で示談とすることができました。

 

コメント

 通常,むちうち症で後遺障害等級14級9号が認定された場合,後遺傷害部分に関する賠償交渉で問題になることはさほど多くありません。

 まず,後遺障害の慰謝料は,裁判実務上,後遺障害等級に応じて定額が支払われることがほぼ定着しているといってよく,入通院慰謝料のように人によって幅が出ることもあまりないので,争いの余地はほとんどありません。

 後遺障害逸失利益は,一般的には①基礎収入,②労働能力喪失率,③労働能力喪失期間が問題となります。

 ①は,年度ごとの収入の増減が激しいとか会社役員等でなければ,事故前年の収入を示せばよいので,それほど問題になりません。

 ②は,後遺障害等級が労働能力喪失率に見合っていないのではないかという疑義がある一部の後遺障害を除けば,ほとんど問題になりません。

 ③は,むちうち症で14級9号の場合は,裁判実務上,5年とすることが定着してきていますので,他の費目との兼ね合いもありますが,大きな乖離が出ることは多くありません。

 

 本件の場合,過去に事故歴があったことや事故前の就労の実績が十分でなかったことが,相手が支払いを躊躇した理由だったようです。

 本件では,結果的に賠償金を獲得することができましたが,事故歴が多く,その他に通常のケースと異なる点がある場合,相手方から問題視される可能性があります。

 そのような場合,交渉の難易度は他のケースと比較して高くなりますので,事故歴が多い方は,必要以上に仕事を休まない・不要な通院を繰り返さないといった点等を特に気を付けてください。

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後遺障害診断書の訂正で10級10号・約1800万円を獲得した事例

2018-08-14

事案の概要

 事案は,青信号で道路を横断中,右折してきた車が衝突してきたというもので,被害者は右橈骨粉砕骨折の重傷を負いました。

 

当事務所の活動

 ご相談に来られた時点で治療は終盤となっていましたが,可動域制限が残り,改善の見込みもないということでしたので,後遺症の問題がありました。

 

後遺障害診断書の作成

 後遺障害の申請に当たって,まずは主治医に後遺障害診断書の作成を依頼することとなりました。

 私がご相談時に被害者に状態を直接確認した際,手首が通常の半分も曲がらず,しかもそれが痛みによるものではなく,物理的に無理ということでしたので,後遺障害等級10級10号が見込まれると判断していました。

 ところが,出来上がった後遺障害診断書を見ると,患側(けがをした方)の可動域と健側(けがをしていない方)の可動域を比較したときに,患側の可動域が健側よりも制限されているとはいえ,3分の2程度は曲がるという結果になっていました。

 この場合,認定される後遺障害等級は12級6号となり,想定していた後遺障害等級とは異なります。

 手や足など,身体の左右があるものの可動域制限に関する後遺障害等級は,原則としてけがをした方とけがをしていない方の可動域を比較することによって等級が認定されるのです。

後遺障害診断書の訂正

 どうして想定と異なる結果となったのか,よくよく後遺障害診断書を確認してみると,左手(けがをしていない方)の可動域が健康な人よりも制限されていることになっていることが分かりました。

 そこで,左手もあまり曲がらないのか被害者に確認してみると,全く問題なく曲がるということだったので,この点に記載の誤りがあることが分かりました。

 そのため,この点について後遺障害診断書を作成した主治医に訂正してもらう必要が生じましたので,弁護士が同行して,再度左手の可動域を計測し,正しい値を後遺障害診断書に記入してもらうことができました。

 医師によると,完全に誤りだったということでした。

 そして,訂正された自賠責保険会社に提出したところ,無事後遺障害等級10級10号が認定され,自賠責保険金461万円が支払われました。

示談交渉

 被害者は,兼業主婦の方だったのですが,それまでに休業損害として支払われていたのはパートの仕事に関するものだけでした。

 そこで,休業損害について家事労働の点を踏まえて再計算したものを請求しました。

 後遺障害部分については,逸失利益は家事労働をベースに就労可能年限まで,慰謝料は裁判基準で請求を行いました。

 その結果,休業損害の額は約2倍になり,後遺障害に関する賠償は裁判基準の満額で示談することができ,自賠責保険金と合わせて約1800万円が追加で支払われることとなりました。

コメント

 本件は,後遺障害診断書の記載に誤りがあったという事案で,しかも,けがをした部分に関する記載の誤りではなく,健康な部分に関する記載に誤りがあったというもので,誤りに気付きにくい事案でした。

 医師は,日々大量の患者さんを診察する中で後遺障害診断書の作成を行いますので,ときとして誤りを記入してしまうことがあります。

 その場合,誤りを正すのは被害者が自ら行わなければなりません。

 そして,本件のようなケースで左手側の記入ミスが後遺障害等級との関係で問題になることに気付くには,後遺障害等級が健側と患側の比較によって決まるということを最低限知っておく必要があります。

 私は,後遺障害の申請が被害者請求なのか事前認定なのかによって結果が大きく変わることはないと基本的に考えていますが,本件のように,後遺障害診断書を漫然と保険会社に提出するだけでは適切に補償を受けられないことがあることを改めて認識させられました。

 また,本件で被害者は,医師から後遺障害の認定は受けられないだろうという話をされていたそうです。他の被害者の方からも,このように言われたという話を聞くことがあります。

 しかし,損害賠償上の後遺障害は,医師が想定しているものと必ずしも一致しません。

 そのため,医師にこのように説明されたときでも,後遺症が気になる場合は,後遺障害の認定が受けられるかどうか弁護士にご相談されることをおすすめします。

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弁護士による示談交渉の役割

2018-07-27

 このサイトをご覧になっている方は,交通事故に遭って,何らかの点でお困りで,情報を探されている方だと思います。

 しかし,弁護士が間に入って交渉する必要がそもそもあるのか疑問に思われる方も多いのではないでしょうか?

 そこで,弁護士による示談交渉がどういった場面で必要になるのか,簡単な事例にして説明します。

 

慰謝料の交渉の場合

 治療が終わると,慰謝料の支払いを受けて示談という場面になりますが,この慰謝料の交渉について考えてみます。

 このとき,相手から例えば「あなたの慰謝料は50万円です。」と言われたときに,あなたはそれが適切かどうか判断できるでしょうか?

 慰謝料とは,端的に言うと,精神的な苦痛に対する賠償で,精神的な苦痛にかかわるあらゆる事情が考慮されて決定されるものです。

 当然,この判断は難しいので,当事者間で話し合いをする場合,ある程度の幅を持った金額とならざるを得ず,裁判になれば,裁判所は最終的な金額を判定しなければならない立場なので「65万円」などと金額をきっちり決められますが,この金額は裁判をして初めて確定するものです。

 そのため,裁判をせずに早期に示談で解決しようと思えば,先の例でいうと,「正確なところは分からないものの,50万円から70万円の間と考えられるので,この範囲で妥当なところ」で示談金額を決めていかなければなりません。

 

保険会社の立場になって考える

 ここで,保険会社の立場で考えていただきたいのですが,金額が50万円~70万円と予想されるときに,70万円を支払うでしょうか?

 保険会社はビジネスで保険金の支払いをしているので,50万円の可能性もあるのに上限の70万円を支払うということは通常あり得ないということが分かるでしょう。

 むしろ,できるだけ下限の50万円で済ませようとするはずです(ケースによってどの程度下げてくるかは差がありますが,少なくとも上限の金額をすすんで払うというケースは,少なくとも私は見たことがありません。)。

 しかし,逆に下限の金額であるとすれば,裁判をすれば金額が上がる可能性が非常に高いので,言い換えると,その金額で示談すると被害者が損をする可能性が高いです。

 そのため,この金額をできる限り適正な金額に近づける必要があります。

 

実際に交渉をする

 保険会社の提示する金額が基本的に低いことが分かったところで,次に交渉です。

 ここで,あなたが,「50万円では納得できない60万円払ってほしい」と言ったとします。

 これに対して,保険会社から,「うちの計算では50万円なので,これ以上払えない。」と言って譲らなかったら,どうしますか?

 保険会社が自社の見解を持つのはもちろん自由なので,これを覆すためには,相応の根拠を示さなければなりません。

 具体的には,こちらから「過去のデータや文献ではこうなっているので,これだけは支払わないといけないはずだ。」などとして説得していく必要があります。

 

それでも効果が出なかった場合は?

 こうなってしまっては,話し合いでは解決できないので,裁判などの特別な手続きを踏む必要がありますが,この手続きは一言でいうと非常に面倒で時間と手間がかかる手続きです。

 

弁護士の役割

 こういったことを一人でやり切れるという場合は,弁護士は不要です。

 しかし,一般的に上記のようなことをご自身でやろうとするのは困難ですので,これをご本人に代わって行うのが弁護士です。

 特に,交通事故に強い弁護士であれば,データや知識を豊富に持っているので,このようなことをスムーズに行うことが期待できます。実際には,裁判までいかずに,話し合いで解決に至る場合も多いでしょう。

 紹介した事例は慰謝料の増額の件ですが,その他にも休業損害の補償,逸失利益の交渉等,さまざまな場面で同じようなことが起こり得ます。

 それらを適切な形で解決していくのが,我々弁護士による示談交渉の役割なのです。

後遺障害等級12級で当初約960万円の提示から約1580万円に増額した事例

2018-07-17

事案の概要

 本件は,バイクと車の出合い頭の交通事故で,骨折等の傷害を負い,後遺症に後遺障害等級12級加害者側に弁護士がついていて,示談金額の提示が既にされていたという事案でした。

当事務所の活動

本件の特徴

 本件は,被害者に過失があると見込まれる事案で,相手方の弁護士から提示された金額も決して低いものではなかったため,通常の交渉ではそれほど増額が見込める事案ではありませんでした。

 しかし,本件は,人身傷害保険が利用できる事案でもあり,この点に特徴がありました。

人身傷害保険

 人身傷害保険とは,被害者の過失の程度にかかわらず,原則として被害者に生じた損害を補填するということを目的とするもので,金額の算定は,保険会社が独自に設定している基準に基づいて行われます。

 そして,この基準は,裁判所で認められる実際の損害額よりも低いことが通例です。

 そのため,加害者がいる場合には,この保険を使うメリットはあまりありません。

 しかし,被害者に過失がある場合は,保険会社の基準の限度で,過失分の埋め合わせをできるという性質もあるというのがこの保険の隠されたメリットです。

 そこで,この保険を最大限活用し,過失分も含めて損害を完全に填補することを目標に活動を行いました。

保険金の支払い

 本件では,上記の方針に従って,まず人身傷害保険金について保険会社から約1100万円の支払いを受けることとしました。

訴訟の提起

 次に,この人身傷害保険金は,すでに述べたとおり保険会社の基準に従って金額が決まるため,実際の損害額よりも不足していたことから,この不足分について加害者に対して請求する訴訟を提起しました。

 詳細は割愛しますが,上記のメリットを活かすためには,人身傷害保険の保険会社が,支払った保険金について,全額を加害者に対して求償するということを防ぐ必要があります。

 そのために,通常,裁判手続きで全体の損害額を確定する必要があるのです。

 この訴訟の中では,逸失利益の額等が争われることになったのですが,関連する裁判例を参考にしつつ反論し,結果として遅延損害金等を含めて,約480万円が支払われることで和解することとなりました。

 その結果,人身傷害保険金を含めると,当初の金額の約960万円から約1580万円と約620万円の増額となりました。

コメント

 本件は,人身傷害保険を利用することで,結果として被害者の過失分も含めて賠償金の回収を行うことができましたが,このような保険の仕組みは,人身傷害保険の保険会社の担当者も十分に理解していないことが多いです。

 また,上記のような事情もあって,人身傷害保険を十分に活かすためには,基本的に裁判を行って全体の損害額を確定する必要がありますが,この裁判はかなり難しいため,ご自身で行うことは非常に困難なものとなります。

 人身傷害保険を利用できる場合は,特に交通事故に強い弁護士のサポートがなければきちんと補償を受けることは困難ですので,まずはお気軽に弁護士にご相談ください。

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後遺障害分の請求が満額認められた事例

2018-07-13

事案の概要

 事案は,道路で停車中に後続車から追突されたというもので,過失割合に争いはありませんでしたが,経済的全損の損害額に争いがあったことから,事故直後からのご依頼となりました。

 また,事故で負った怪我が治療をしても完全には治らなかったため,後遺障害の申請をしたところ,腰椎捻挫後の臀部の痛み等について後遺障害等級14級9号が認定されました。

 

交渉経過

物損

 経済的全損とは,損傷した車を修理するよりも同種の車両に買い替えた方が安く済む場合のことで,この場合,賠償の対象となるのは,買い替えに要する費用に限られます。

 このときに争いになるのが,買い替えをする車の時価額や乗り出しのための諸費用です。

 今回は,時価額を新車価格の10%とされていて,諸費用については特に計上されていませんでした。

 そこで,時価額・諸費用についてそれぞれ調査を行って交渉を行った結果,当初の金額約12万円から約37万円への増額に成功しました。

人身

 本件は後遺症が残っていたため,後遺障害等級の認定を受ける必要があったのですが,後遺障害診断書上,目立った異常所見やそれに一致する神経症状は見受けられず,これのみで認定を受けられるかは微妙なケースでした。

 ただ,本件は事故による衝撃が大きく,日常生活にも支障が生じていたため,そうしたことを車両の損害レポート等の資料と共に意見書の形にして自賠責保険会社に提出し,結果として後遺症が等級14級9号の認定を受けることができました。

 さらに,保険会社との交渉では,慰謝料や逸失利益の金額について争いになることが多いのですが,本件では弁護士が交渉を行った結果,後遺障害分については慰謝料・逸失利益ともに請求金額の満額が認められて示談することができました。

 

ポイント

物損

 経済的全損となった場合,オートガイド社が発行しているレッドブックという本に掲載されている価格が時価額の基準とされることが多いのですが,この金額は実際の中古車市場との間で乖離が見られることも多く,一定年数を経過した古い車両は掲載もされないという問題があります。

 そこで,車両の時価額については,被害者がインターネット等で中古車市場の状況を確認する必要があります。

 特に,レッドブックに掲載されないような車両は,保険会社から新車価格の10%といった提案がされることも多く(本件もそうでした。),一層チェックの必要が出てきます。

 また,買い替えに要する諸費用については,当然こちらから請求しなければ相手方は認定してくれませんので,これも調査をする必要があります。

 この買い替え諸費用は,どの費目でも認められるわけではなく,裁判でも判断が分かれるものもありますので,算出が難しい部分でもあります。

人身

 後遺障害に関する損害は,裁判上,傷害部分(治療中の分)以上に賠償金の定額化が進んでいるところですので,安易に妥協することはできません。

 ただ,逸失利益については,被害者の仕事の復帰状況などによっては実際の損害額に違いが出ることもありますので,その辺りのリスクも踏まえて最終的な示談金額を協議していくことになります。

 

まとめ

 物損・人身いずれも,現在の裁判実務でどのような判断がされているのかについて知識がなければ,妥当な金額を導き出すことは難しいところがあります。

 示談にあたって,どの程度の金額が妥当なのか,お気軽に弁護士にご相談ください。

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過失割合50:50から20:80に変更した事例

2018-05-18

 今回は,当事務所で取り扱った交通事故の案件の中で,弁護士が交渉を行ったことで過失割合が大きく変更されたケースについてご紹介します。

 

事案の概要

 事案は,交差点を通過した被害者の乗った自動車が,交差点の先にある住宅の前を通過しようとしたところ,その住宅の駐車スペースにバックで駐車すべく右側に停車していた加害者の車両が,バックのために膨らんできたために衝突してきたというものです。

 被害者は,円満解決を望んでいて,自分も動いていたこともあったので,多少減額されても仕方がないと当初思っていたのですが,加害者から,60対40と思ったより減額を主張されて驚いていたところ,話をしているうちに50対50などと言われるようになったため,当事務所にご依頼いただくことになりました。

 

交渉経過

 事故は,被害者が加害者の車の横を通過しているときに,突然加害者の車が膨らんできたというものであったため,被害者にとって回避することは非常に難しいものでした。

 そのため,過失割合が50対50ということはあり得ないと考えられましたので,まずはその旨を道路交通法の条文などを引用しつつ説明しました。

 これに対し,おそらく相手の保険会社は,加害者の責任が大きくなることについて異存はなかったようなのですが,加害者本人が頑として譲らず,話し合いが平行線となってしまいました。

 このような背景として,調査会社が行った調査の結果が50対50とされたことがあるようでした。

 調査会社というものは耳慣れない方が多いかと思いますが,保険会社が過失割合の認定をする際に,判断に迷った場合,外部に調査を依頼することがあるのです。

 そのため,そのような結果を受けてか,加害者本人が非常に強気になっていました。

 

訴訟の提起

 話し合いでは妥当な解決が図れない可能性が高まったことから,被害者と協議の上で,裁判で決着をつけることとしました。

 裁判では,刑事記録(今回の場合は物件事故報告書というものになります。)を警察から取り寄せ,各種証拠と共に裁判所に提出することになります。

 また,裁判所の判断を仰ぐため,こちらの主張が認められるように内容を訴状という形にして整理します。

 そして,準備が整ったので,実際に裁判所に書類を提出しました。

 裁判所に書類を提出すると,裁判所から加害者本人に対して書類が送られることとなります。

 

和解の成立

 そうして,裁判の日にちも決まって備えていたのですが,相手の保険会社から,加害者本人が過失割合20対80とすることに応じるとの連絡がありました。

 被害者は,元々円満解決を望んでおられたこともあり,これに応じることとしました。

 その結果,実際に裁判が始まる前に訴えを取り下げることとなり,意外な形で解決となりました。

 

ポイント

 過失割合は,通常,別冊判例タイムズNo.38「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(東京地裁民事交通訴訟研究会 編)を参考にして決められることが実務上定着しています。

 これは,相手方の保険会社も同様ですので,一般的な事故類型であれば,保険会社から極端におかしな過失割合が示されることはほとんどありません。

 しかしながら,本件は,自宅の駐車スペースに入れるために対向車線に一度停車し,そこからバックのために膨らんできて被害車両にぶつけるというもので,およそ通常では起こり得ないような事故類型でした。

 そのため,この本に書かれている基準をそのまま使うことができず,そのような場合,本の内容を参考にしつつも,妥当な過失割合を当事者の間で話し合って決めなければなりません。

 このときに,調査会社というものが出てきて過失割合について見解を述べることがありますが,調査会社は,法的な資格に基づいて過失割合を判断しているわけでなく,弁護士から見たときに見当違いの見解を述べることが少なくありません。

 しかし,保険会社は,この判断をかなり重視することがありますので,それがおかしいことについて丁寧に説明する必要があります。

 また,それ以上に過失割合の交渉が難しいのは,あくまでもどちらが悪いのか?という感覚的な問題なので,形式的な基準がないとなると加害者本人が素人判断で見当違いの過失割合を主張してくることがあるということです。

 そうなると,なかなか理論的な説得が通じないことがあり,今回のように訴訟に踏み切らざるを得ないということも出てきます。

 ただ,それでも根気強く丁寧に説明をすることで,最終的には合意に至ることもありますので,この辺りは弁護士の力量が試されるところかもしれません。

 

まとめ

 過失割合の交渉は,慰謝料の交渉とは違って,加害者本人の意向なども絡んで難しいことが多い部分です。それでも,粘り強く交渉することで過失割合が変更されることも少なくありませんので,相手方が明らかに不当な主張をしているような場合には,一度弁護士にご相談されることをおすすめします。

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後遺障害等級14級(むちうち)で請求のほぼ満額の支払いを受けた事例

2018-04-26

 今回は,当事務所で取り扱った交通事故の案件の中で,後遺障害等級14級9号が認定され,請求額のほぼ満額が支払われたケースをご紹介します。

 

事案の概要

 事案は,信号待ちで停車中の被害車両に後方から加害車両が衝突してきて,被害者量が衝撃で前に止まっていた車に衝突したという玉突き事故です。

治療終了間際で,後遺症の申請サポートからのご依頼でした。

 

当事務所の活動

 まずは,後遺障害の被害者請求を行うところから着手しました。

 また,同時並行で治療期間中(傷害部分)の損害賠償の請求も行いました。

 怪我の内容がむちうちであったため,後遺障害等級が認定されるかは不透明で,出来上がった後遺障害診断書を見ると,神経根症状誘発テストの結果が陰性となっているなど,少し気になる内容でした。

 そこで,必須書類の他にも書類を添付し,被害者請求を行いました。

 その結果,無事,14級の認定を受けることができましたので,その結果を受けて相手方と後遺障害部分の交渉を行うこととなりました。

 

相手方保険会社との交渉

 今回は,後遺障害分の被害者請求と並行して傷害部分(治療終了までの部分)の示談交渉を進めました。

 傷害部分で問題となったのは,休業損害の不足額と傷害慰謝料の額でしたが,休業損害の方は当方の提示額の満額,傷害慰謝料の額も裁判基準(赤い本)の約97%とほぼ満額で示談することができました。

 続いて,後遺障害の認定を得ることができましたので,後遺障害分についても追加で請求を行いました。

 その結果,後遺障害分については,働能力喪失率5%,労働能力喪失期間5年の満額と後遺障害慰謝料は裁判基準(赤い本)の約99%で示談をすることができました。

 

後遺症傷害の申請のポイント

 本件は,むちうち症の後遺障害等級14級9号という後遺障害の中では最もポピュラーな事案です。

 しかし,むちうち症は,他人から見ると症状の原因がよく分からないということがほとんどで,近年では,単に被害者が痛みを訴えるのみでは自賠責でいう後遺障害には当たらないとされることが多く,認定を受けるのは容易ではありません。

 そのため,後遺障害の申請の段階から,できるフォローはしておいた方が良いと思います。

 本件の場合,玉突き事故であったことが特徴の1つで,軽い事故であれば玉突き事故にはなりません。

 この点から,被害者の身体にもかなりの衝撃が加わったことが分かりました。

 そこで,被害者から車両の写真を取り付け,それを申請書類に添付することで,事故の衝撃の大きさを明らかにしました。

 次に,被害者は,手のしびれを訴え,そのことは後遺障害診断書には書かれていたのですが,それ以前の毎月作成される診断書にはそのことの記載が全くありませんでした。

 そこで,カルテを取り寄せ,治療の当初からしびれが一貫して存在していたことを明らかにしました。

 自賠責保険では,症状の連続性や一貫性が重視されているといわれているためです。

こうして,自賠責保険に提出する必須書類に加え,追加書類を添付して後遺障害の申請を行ったところ,無事等級の認定を受けることができました。

 

交渉のポイント

 本件の交渉は,相手方の対応があまり強硬ではなかったこともあり,裁判基準のほぼ満額を支払うことについて,早期に合意に至ることができました。

 

 

コメント

 インターネット上の情報を見ると,後遺障害の申請は必ず被害者請求で行うべきであるというようなものが見受けられます。

 しかし,私の経験上は,被害者請求の方が事前認定よりも有利な結果が出やすいということは必ずしもないように思えます(事前認定であっても,適切に認定されることは数多くあります。)。

 ただ,必須書類のみでは伝わらないような事情があるような場合には,やはり被害者請求でその点が分かるような書類を添付しておいた方がいいように思えます。

 実際,事前認定では後遺障害の等級が認められなかったものが,書類を追加して異議申し立てを行ったところ,等級が認められたということもあるからです。

 申請に当たって,どこまでフォローをすべきかはケースによりますが,後遺症のことで気になることがおありでしたら,お気軽にお問い合わせください。

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当初約6万6000円の提示から約68万円に増額した事例

2018-04-13

 今回は,当事務所で取り扱った交通事故の案件の中で,通院機関4か月半と比較的短期の通院期間で,当初の賠償金の提示額が低かったケースについてご紹介します。

 

事案の概要

 事案は,青信号で交差点を直進していた原付バイクに対抗右折車両が衝突してきたという交通事故です。

 本件は,弁護士費用の特約の利用はなく,後遺障害の認定もないケースではありましたが,弁護士へ支払う費用を考慮しても十分にメリットがあると考えられたため,ご依頼となりました。

 

当事務所の活動

 本件は,依頼者様が特に早期の解決を望まれている事案だったので,依頼後,すぐに交渉を開始しました。

 

相手方保険会社との交渉

 

 本件は,怪我の内容の中に腰椎の横突起骨折が含まれていて,捻挫・打撲のみで他覚的所見がないようなケースと比較して慰謝料の額が高額になると考えられるケースでした。

 しかし,当初保険会社から提示されていた慰謝料の金額は,自賠責保険の基準(4,200円×実通院×2)という非常に低い金額となっていました(約22万円)

 そこで,この点について弁護士が示談交渉を行い,慰謝料の金額は約90万円となりました

 また,休業損害については,ご依頼前にパートの仕事を実際に休んだ分が支払われていたのですが,依頼者様はパートの他に家事労働に従事する兼業主婦の方でしたので,その点を踏まえた増額のための示談交渉を行いました。

 その結果,休業損害は元々約73万円とされていたのですが,主婦業を考慮して,約87万円を認めさせることができました

 そのため,合計額は,当初と比較して約73万円増額し,過失分が差し引かれたものの,最終の支払額は当初の提示額約6万6000円から約68万円に増額しました。

 また,本件は,ご依頼から賠償金の入金まで約4週間でしたので,ご依頼者様のご希望に沿うことができたのではないかと思います。

 

コメント

 多くの方からご相談をいただく中で,「こんな小さな事故で依頼をしてもいいんでしょうか?」とか「費用が気になる…」とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。

 しかし,そういった方こそ,是非一度ご相談ください!

 交通事故の被害をご自身で正確に把握するということは想像以上に難しいことで,思った以上に損害が発生しているということは珍しくありません。

 そのため,ご自身では小さい事故だと思っていても,弁護士に依頼した結果,思いのほか大きい金額を受け取ることができたということが非常に多いのです。

 この方の場合も,弁護士費用の特約へのご加入はありませんでしたが,増額分が約60万円でしたので,弁護士費用(増額分の10%+15万円)を差し引いても十分なメリットがありました。

 法律相談は無料若しくは弁護士費用特約の利用でご自身のご負担はありませんので,まずはお気軽にご相談ください。もちろん,経済的なメリットがでないケースもあり得ますが,そういった場合,ご依頼前にその旨をはっきりとお伝えし,メリットが出ないのに無理に依頼をすすめるということはありませんのでご安心ください。

 

賠償金が〇倍にアップ?

 ところで,インターネット上で,当初の金額から〇〇倍に金額がUP!といったことが書かれているホームページをよく見かけます。

 同じような書き方をすれば,本件の場合も10倍以上にアップしたということになるのでしょう。

 しかし,個人的には,このような書き方では,見た人が誤った印象を受けてしまうのではないかなと思っています。

 今回のケースもそうですが,被害者にも過失があるような場合,それまでに相手方から満額支払われていた治療費や休業損害についても,最終の支払いの際に清算の対象となります。

 そのため,そういった場合,相手方の当初の提示額が非常に低いものになりがちで,場合によってはゼロとなります。

 このような場合に,元の金額をベースに〇倍という書き方をすると,ものすごくインパクトのある数字になってしまうのです。

 

 わかりやすい例を挙げますので,以下のような例があったと考えてください。

  過失割合 20対80

  治療費 100万円(支払い済み)

  休業損害 100万円(支払い済み)

  慰謝料 保険会社の提示額50万円(裁判基準100万円)

 この場合,慰謝料だけでみると,過失分を引かれても,50万円の80%で40万円を受け取れそうです。

 しかし,治療費と休業損害で,相手方は,これまでに本来支払わなくても良いはずの20%分まで全額支払っていて,この払いすぎた分は200万円の20%で40万円になります。

 そのため,この分が最終的には清算されますので,結果的に受け取れる慰謝料の額はゼロということになるのです。

 これを,弁護士が交渉して裁判基準での慰謝料の支払いを認めさせることができれば,100万円の80%で80万円から40万円を差し引いた40万円を受け取ることができます。

 この場合,先の書き方にならえば,0円から40万円にUP!ということになるのでしょう(金額が少し変われば,1万から40万円に40倍になった!などとなるでしょう。)。

 しかし,交渉する立場からしてみれば,過失割合が変更できないのであれば,過失ゼロのケースで50万円から100万円にするのも(これだと増額は当初の2倍),上で挙げた例で0円から40万円にするのも交渉の難しさは変わりませんし,被害者の方にとっても,〇倍になったことが重要なのではなく,最終的な支払額がいくらになったのかの方が重要なはずです。

 そのため,色々な弁護士のホームページをご覧になっている方も,〇〇倍になった!というインパクトよりも,その中身の部分で,弁護士がどのような活動を行っているのかというところに着目されると良いかと思います。

 

 当事務所では,なぜ相手の提示額が低くなっているのかなどについても,できるだけ分かりやすく説明するように心がけていますので,交通事故の賠償の件で少しでも気になることがある場合は,お気軽にお問い合わせください。

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主婦の休業損害を含め約180万円の支払いを受けた事例(治療費は除く)

2018-03-30

今回は,当事務所で取り扱った交通事故の案件の中で,兼業主婦をされていた被害者の方の事例をご紹介します。

 

事案の概要

 事案は,停車中の被害車両に,前方から突然バックしてきた加害車両が衝突してきたという交通事故です。

 自営業を営みながら通院をすることとなるなど,事故後の対応に不安な点も多かったことと,弁護士費用の特約にご加入されていたこともあって,事故当初からのご依頼となりました。

 

当事務所の活動

 弁護士がお話を詳しく伺ったところ,事故後の通院や症状の影響から,たしかに自営のお仕事への影響があり,その分の休業損害の請求も可能なケースでした。

 しかし,自営業の休業損害の場合,休業が必要だったのか,あるいは,必要だったとしてどの程度の休業が必要だったのかという点で難しいところが多く,金額の計算も,相手方の交渉では争いとなることが少なくありません。

 他方で,今回の場合,自営の仕事の他に主婦業もされている方であったところ,実務上で認められる主婦業に関する休業損害の金額は決して低くありません。

 そこで,休業損害については,治療終了後,主婦の休業損害として請求することにしました。

 なお,今回は,特に後遺症は問題となりませんでした。

 

相手方保険会社との交渉

 今回は,初回に賠償金額の提示を受ける前に,保険会社の担当者と簡単な交渉を行っていましたので,初回の提示額の時点で約128万円の提示を受けていました。

 しかし,その後,さらに交渉を進め,最終的に約180万円の支払いを受けることで示談が成立しました。

 

交渉のポイント

兼業主婦の休業損害の計算

 まず,兼業主婦の休業損害なのですが,一見すると,実際に休んだ仕事の損害分しか加害者に請求できないという感覚になるのではないでしょうか。

 しかし,実務上,専業主婦の場合でも,女性労働者の平均賃金を使って賠償の請求ができるとされており,パートなどをしながら兼業主婦をしている人が,専業主婦の場合よりも受け取れる賠償金の額が小さいというのは不合理ですので,現実の収入額と女性労働者の平均賃金を比較して,高い方を用いて賠償金の計算をすることが認められています。

自営業の休業損害の請求の難しさ

 自営業の休業損害の請求が難しいところは,実際に休業したのか,休業をしたとして,その休業が本当に必要だったのかが容易に分からないという点にあります。

 サラリーマンであれば,実際に休業していたかどうかは会社に問い合わせれば分かりますし,会社との関係上,不必要に休業を続けることも通常はできません。

 そのため,サラリーマンであれば,極端な休業の仕方をしなければ,この点が問題になることはあまり多くありません。

 逆に,自営業であれば,誰かに勤怠を管理されているわけではないので,この点の検証が非常に難しいのです。

 そのため,保険会社は,自営業の場合の休業損害の認定について厳しい態度をとってくることが多いです。

 さらに,自営業の場合,所得の低下の他に,固定経費が無駄になるという問題もあります(例えば,休業していても発生するような店舗の家賃など)。

 このような経費分も加害者に請求することが可能なのですが,この点も保険会社はすんなりとは認めません。

 このように,自営業の休業損害について,適正な額の支払いを受けることは,一筋縄ではいきません。

主婦の休業損害として請求した理由

 これに対し,主婦業の場合,まず基礎収入に関しては,実務上の考え方は固まっていますので,ほとんど問題になりません(保険会社は自賠責基準の5700円を主張することもありますが…)。

 休業の日数については,明確な決まりがなく争いになりやすいところではありますが,自営業の場合よりは,緩やかに認められることが多いように思います。

 この辺りは,同種の過去の事例のデータを元に妥当なラインを探るほかありません。

 いずれにしても,今回は,支払いを受けられる金額の見込みを考慮して,主婦の休業損害として請求を行いました。

 

コメント

 今回は,保険会社との交渉であまり争いになりませんでしたが,通常,主婦の休業損害の額はかなり大きな争いになります。

 したがって,一般的には,弁護士が交渉を行ったからといって,このケースのようにすんなりと支払いが受けられるとは限りません。

 しかし,そのように元々難しい問題であるからこそ,ご自身で解決することが一層難しい部分でもあります。

 主婦の休業損害は,そもそもそのような賠償が可能であること自体気付かないことも多いのですが,金額は決して小さくありません。交通事故で負ったケガの影響で主婦業に支障が出ているような場合には,まずはお気軽に弁護士にご相談ください。当事務所では無料相談も実施しております。

その他の事例はこちら→「解決事例一覧」

ご依頼の場合の料金はこちら→「弁護士費用」

 

後遺障害等級12級6号が認定され約580万円獲得した事例

2018-03-06

今回は,当事務所で取り扱った交通事故の案件の中で,後遺障害等級12級6号が認定された事例をご紹介します。

 

事案の概要

 事案は,自転車で横断歩道を横断中,左側から交差点に進入しようとした自動車に衝突されたというもので,被害者は,右手舟状骨骨折の傷害を負いました。

 治療中の慰謝料等についてはご自身で示談をした後で,後遺障害に関する申請からの依頼となりました。

 

当事務所の活動

被害者請求

 本件では,右手関節の可動域制限や疼痛等の神経症状が残存しており,後遺障害の認定が見込まれました。

 そこで,各種資料を取り寄せ,被害者請求によって自賠責保険会社に保険金請求を行いました。

 事前認定による申請もあり得たところでしたが,被害者請求は,提出書類を吟味できるほか,事前認定よりも早く賠償金を獲得できるというメリットがありますので,被害者請求を行いました。

※事前認定と被害者請求の違いについてはこちら

 申請の結果,可動域制限について,後遺障害等級12級6号が認定され(疼痛は可動域制限と通常派生する関係にあるため,これに含まれる。),保険金として224万円が支払われました。

 

相手方保険会社との交渉

 自賠責保険は,あくまでも最低限の補償を迅速に行うためのものですので,被害者に対する賠償としては不足しています。

 そこで,その分をカバーするための保険である,加害者側の任意保険会社に対して,差額の支払いの交渉を行いました。

 当初,相手方は,慰謝料の額を裁判基準の8割,逸失利益は労働能力喪失期間を10年間と主張し,過失分と自賠責分を除いた最終の支払額を約220万円としていました。

 しかし,弁護士が交渉を行った結果,慰謝料は満額,逸失利益は労働能力喪失期間が15年となり,最終の支払額は約360万円となって,140万円の増額に成功しました(弁護士介入後の獲得金額は約580万円)。

 

交渉のポイント

 後遺障害に関する損害賠償の場合,将来にわたって発生する損害を予測することになりますので,どうしても金額が不明確になる部分があります。

 このケースの場合,特に問題になるのは逸失利益の部分で,逸失利益とは,将来後遺症を原因としてどの程度の減収が発生するのかを予測して請求するのですが,これは,厳密に予測することは不可能なので,通常は,事故前の収入に認定された後遺障害の等級に応じて決められた労働能力喪失率をかけ,その減収がどの程度の期間続くのかという形で計算します。

 今回認定された12級6号の場合だと,労働能力喪失率について争われることはあまり多くなく,争いになるのは減収が何年間続くのかという形で争われることが多いです(労働能力喪失期間)。

 後遺障害は,基本的に永久に残存するものについて認定されるものですので,単純に考えると,働ける間は減収が続くということになります(一般的には67歳までとされます。)

 ところが,実際には,そもそも労働能力喪失率どおりに減収が生じていなかったり,将来改善する可能性があるといった事情から,労働能力喪失期間で調整が行われることがあります。

 また,むち打ち症に関して12級の13号が認定された場合,労働能力喪失期間が一般的に10年間とされることが多いことから,保険会社は12級となると10年という主張をしてきます。

 12級6号の場合,基本的に,画像を見て可動域制限の原因が分かるような場合でなければ認定されず,画像上はっきりと原因が分かるような場合であれば,一生涯改善の見込みはないと考えられますので,労働能力喪失期間も基本的に67歳までと考えられます。

 しかし,減収がないような場合には,裁判をしても見込んだとおりの金額が認められるとは必ずしも限りません。

 本件の場合,ご本人の早期解決のご意向が強かったことや,慰謝料は満額となっていたこと,労働への支障も現時点ではそれほど大きくなかったことから,労働能力喪失期間を15年とすることで示談としました。

 

コメント

 後遺障害は,等級の数字だけではなく,どういった後遺症に対して等級が認定され,実際にどのような支障が生じているのかということを見ながら,適正な賠償金額を判断していくことになります。

 本件のような12級6号と,神経症状について認定される12級13号とでは,賠償上の違いがありますし,その他の等級(例えば変形障害や醜状障害など)の場合でも,特別な考慮が必要となることがあります。

 この辺りの判断は,専門家でなければ難しいところですので,後遺症が気になる場合は,おひとりで悩まれずにお気軽に弁護士にご相談ください。当事務所では無料相談も実施しております。

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