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後遺障害9級【肩関節・膝関節機能障害】で約3500万円を獲得

2026-04-22

事案の概要

 事故の状況は、被害者がバイクで停車していたところ、前方にいた自動車が後退してきてバイクに衝突し、被害者の脚が自動車と地面に挟まれてひきずられるような形になったというものでした。

 被害者の方は、この事故で右肩腱板断裂、左前十字靭帯損傷、左膝後十字靭帯損傷、左膝内側側副靭帯損傷、左膝内側半月板損傷といった傷害を負い、膝については手術も行われました。

弁護士の活動

休業損害

 本件は、以前別件でご依頼いただいた方からのご依頼でしたので、初期の物損から含めての対応となりました。

 物損について示談した後、症状固定までの間は特に休業損害の発生等で争いは生じなかったのですが、本件では休業損害に一般的な事案と違うところがあり、事故後の休業が多く、仕事に復帰しても稼働時間や遂行可能な業務に請願があるなどしたため、降格となり、基本給部分も減少することになりました。

 交通事故で勤務先に作成してもらうことになる「休業損害証明書」では、通常だと、対象期間の基本給をベースに減給された額を書くことになるのですが、本件ではそのような書き方では基本給が減給となっていることが考慮されなくなってしまうため、この点を配慮した形で勤務先に休業損害証明書を書いてもらう必要がありました。

 この点は、弁護士と勤務先との間で書き方について調整をしました。

傷害部分の示談

 上記のとおり、本件では基本給から減給が生じており、一貫して一部休業が必要となったため、保険会社からの治療費が打ち切られることになる「症状固定」後も休業損害が発生していました。

 しかし、症状固定後の休業損害は、実務上「後遺障害逸失利益」として扱われるため、後遺障害認定を受けた後でなければ、保険会社から支払いを受けることはできません。

 そのため、生活費の問題が生じてきますので、まずは傷害部分(症状固定までの怪我に対する補償)の示談を先行させ、並行して後遺障害の被害者請求の準備を進めました。

後遺障害の被害者請求

 本件は、後遺障害の被害者請求をするにあたり、症状固定時期をいつにするのかが医療機関の対応との関係で問題となりましたが、症状固定日だけを引き延ばしても、休業損害がいつまでも保険会社から支払われる保証はなく(実際に保険会社からのプレッシャーがありました)、症状に改善が見られないようであれば、症状固定として後遺障害診断書を作成してもらった方が生活費の観点から良いように思われましたので、その旨を被害者の方に説明し、後遺障害の被害者請求を行うこととしました。

 結果として、右肩腱板断裂後の右肩関節可動域制限(10級10号)、左膝が「重激な労働等の際以外には硬性補装具を必要としないもの」として左膝関節機能障害(12級7号)が認定され、全体として併合9級の認定を受けることができました。

後遺障害に関する示談交渉

 この後遺障害の認定結果を受けて、加害者側の保険会社と交渉を行ったところ、傷害部分も含めて約3500万円(治療費を除き、後遺障害の自賠責保険金616万円を含む)の賠償を受ける内容で示談をすることができました。

ポイント

 本件のポイントはいくつかありますが、賠償金に影響を与える部分としては、収入に関する損害(休業損害・逸失利益)の点が挙げられます。

 既に述べたように、本件では治療期間中に降格処分がされ、基本給が下がることとなったのですが、それに加えて、事故の少し前まで別の事情で長期にわたり休職していたという事情もありました。

 交通事故の休業損害や後遺傷害逸失利益では、事故当時の収入がどれだけであったかが重要です。

 一般的には、休業損害の場合は事故前3か月の給与の平均値が、後遺障害逸失利益の場合は事故前年の年収がベースになって金額を計算します。

 本件の場合、このいずれの数値も使えなかったという問題がありました。

 しかし、事故当時既に復職を果たしてはいたこと、その時点で新たな労働契約が締結されていたこと、復職の労働契約は休職前と同様であったこと等の事情があったため、事故当時の労働契約の内容にしたがって交渉を行いました。

 本件は、早い段階からのご依頼となったため、弁護士が介入していなかった場合にどれだけの補償が受けられたのかは分かりませんが、相当厳しい内容になっていたのではないかと思います。

後遺障害14級【むち打ち】主婦の方で約290万円の支払いを受けたケース

2026-04-14

事案の概要

 事故の状況は、路外の駐車場から飛び出してきた加害車両が、片側3車線道路の第2車線を走行していた被害車両の左側面に衝突したというものでした。

 被害者の方は、頚椎捻挫・腰椎捻挫等の傷害を負い、治療を終えても首の痛みや右上肢のしびれなどの後遺症が残ることとなりました。

弁護士の活動

後遺障害認定

 本件は治療中からのご依頼でしたが、通院を半年続けても症状がなくならなかったため、その時点で後遺障害認定を受けることとなりました。

 そして、当事務所で被害者請求を行った結果、後遺障害14級9号の認定を受けました。

示談交渉

 この後遺障害の認定結果を受けて、加害者側の保険会社と交渉を行ったところ、治療費のほかに、約290万円(自賠責保険金75万円を含む)の賠償を受ける内容で示談をすることができました。

ポイント

 本件のポイントは、まず後遺障害認定の部分にありました。本件のお怪我の内容は、いわゆるむち打ち症でしたが、むち打ちの場合の後遺障害認定の場合、事故の衝撃がどれだけ大きいかがまず重要です。

 本件の場合、車両が横転するような一見して衝撃が大きいと分かるような事故ではなく、フレームの修理もそれほどありませんでしたが、写真を見る限りドアパネルのへこみははっきりと分かるほど大きなものでした(修理費は60万弱)。

 また、MRIではヘルニアを確認することもできました。

 ただ、最近の非該当事例を見ると、同程度の車両の損傷で、ヘルニアがあるような人でも認定を受けられていない方もいるので、限界事例に近かったのではないかと思います。

 その他、過失相殺が15%あったのですが、その代わり後遺傷害部分の損害額の認定は当方の請求額どおりとなっており、過失相殺前の損害金額は、治療費を除いて約360万円となっており、よい示談ができたのではないかと思います。

後遺障害12級【骨盤骨変形】で治療費等を除き1300万円の支払いを受けたケース

2026-03-31

事案の概要

 事故の状況は、店舗の駐車場で、ブレーキとアクセルを踏み間違えた車両が後退してきて、被害者が店舗と車両に挟まれて負傷したというものです。

 被害者は、骨盤輪損傷、左寛骨臼骨折、左脛骨骨折、左膝前十字靭帯損傷、左膝内側側副靭帯損傷の傷害を負い、今後の対応に不安を感じられてご依頼となりました。

 

弁護士の活動

後遺障害認定

 本件では、被害者の方は手術が必要となるほどの重傷を負われたのですが、術後の予後は悪くなく、自覚可能な深刻な可動域制限などはありませんでした。

 ただ、骨盤骨の変形障害は残ってしまったため、その点で「骨盤骨の著しい変形」として後遺障害12級5号の認定を受けました。

示談交渉

 この後遺障害の認定結果を受けて、加害者側の保険会社と交渉を行ったところ、治療費のほか、自宅の一部改造費や休業損害といった既に補償を受けていた部分を除いて、約1300万円(自賠責保険金224万円を含む)の賠償を受ける内容で示談をすることができました。

ポイント

 本件のポイントは後遺障害部分の補償に関する部分で、被害者ご本人様の自覚症状としては大きな後遺症がなく、日常生活にも大きな影響がないように思われたことでした。後遺障害に対する補償で大きな割合を占めるのは後遺障害逸失利益(仕事への支障とそれに伴う収入の減少)ですが、まったく仕事に支障がないということになれば、この後遺障害逸失利益自体がないという判断にもなりかねません。

 今回後遺障害の認定を受けたのは骨盤骨の変形障害ですが、骨の癒合に問題があり、その程度が大きい場合、「変形障害」として後遺障害の認定を受けることがあります。

 痛みを伴う場合には後遺障害12級13号という等級もあり、痛みに伴う日常生活への支障も生じているのが通例ですので、逸失利益の主張をするのはそう難しくありません。

 しかし、中には、レントゲンなどではっきり分かる変形が確認できても、仕事にはほとんど支障がないという人もいます

 このような場合には、逸失利益の評価が難しくなります(特に鎖骨や脊柱の変形障害で問題となることが多いです)。

 そもそも後遺障害は、将来も治る見込みがないものですから、今の時点で特に仕事に支障がなくても、業務内容に変更が生じたり、転職が必要となった時点で問題が生じてくるかもしれません。

 したがって、現状だけを見て、安易に妥協するのは危険です。

 本件は骨盤骨の変形障害で、鎖骨や脊柱の変形障害のときほどこの点が問題となったわけではありませんが、後遺障害認定の結果と自覚症状にギャップがあるような場合には、逸失利益の金額をどのようにすべきかは慎重に行う必要があります。

死亡事故で近親者慰謝料を考慮して相場を上回る額で和解したケース

2026-03-17

事案の概要

 事故の状況は、被害者がバイクで十字路交差点を直進しようとしたところ、右折のトラックにはねられたというものでした。

 被害者は大腿骨遠位端開放骨折、橈骨・尺骨遠位端骨折、頭骨骨折、肋骨骨折、恥骨骨折、等の多数の骨折のほか、外傷性クモ膜下出血・脳挫傷の重傷を負いました。

 事故直後はせん妄状態で意思疎通は困難で、入院を経て意思疎通もできるようになったものの、事故前の状態まで回復することなく施設に入所されることとなり、施設で亡くなられました(直接の死因は貧血となっています)。

弁護士の活動

後遺障害認定の検討

 本件は、被害者のご家族がご相談にみえられ、当初は高次脳機能障害について後遺障害認定を受けてから、加害者側と賠償交渉を行う予定でした(その時点ではご本人様も意思疎通はできる状態でした。)。

 しかし、後遺障害診断書の取り付けがスムーズにいかず、自賠責保険会社への申請の準備に時間がかかっていたところ、ご本人様が亡くなられたため、後遺障害認定ではなく死亡事故として加害者側へ賠償金の請求を行うこととしました。

示談交渉~訴訟提起

 本件は、当初は保険会社とやり取りをしていましたが、ご本人様が亡くなられたことから、相手方に弁護士がつくこととなり、事案の性質上、訴訟提起が望ましかったため、訴訟提起をすることとなりました。

 また、それに先立って、自賠責保険会社に対して死亡事故として保険金の請求を行い、自賠責保険会社において事故と死亡の間の因果関係が認められ、保険金が支払われることとなりましたので、不足分について訴訟提起をしました。

訴訟~和解

 本件の裁判での争点は過失割合や逸失利益など複数ありましたが、特に重要だったのは慰謝料の額です。

 死亡事故の場合の慰謝料の額は、家族構成(扶養している家族の有無)や被害者の年齢などが重視されて決められる傾向にあります。

 本件では、ご本人様の事故当時の年齢は81歳で、一人暮らし、同居している家族もいないという状況でした。

 慰謝料の額の目安は、日弁連交通事故相談センター東京支部が発行している「損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)が参照されることが多いですが、このように単身で扶養する家族のいない被害者の場合、2000万円~2500万円が相場とされていて、さらに、高齢の被害者の場合は、若年の被害者と比較すると低額になる傾向があるため、本件のような高齢の被害者の場合は、この下限に近いものとされています。

 したがって、本件の場合2000万円程度が慰謝料の目安となります。

 しかし、本件では、慰謝料を増額するための事情を説明し、最終的に、死亡慰謝料として2300万円(近親者慰謝料含む)が和解金として認められ、これに入院慰謝料300万円を加えて和解することができました。

※実際の賠償金は、逸失利益等を加算した上で、事故状況による過失相殺もありました。

ポイント

 上記のように、本件では死亡慰謝料の額がポイントとなりましたが、本件で特徴的だったのは、ご本人様に6名のお子様がいらっしゃったということです。

 死亡事故の場合、民法711条により、被害者本人だけでなく、身近な人を亡くした近親者にも固有の慰謝料が認められることになります。

 そして、上で述べた目安金額には、この近親者慰謝料の額も含まれているとされています。

 しかし、このような考え方をとると、同居したり扶養したりしている家族がいない被害者の場合、近親者がいてもいなくても慰謝料の総額は変わらないこととなり、近親者慰謝料が考慮されていないのと同様の結果になります。

 それでは近親者固有の慰謝料が認められている意味がありませんので、この裁判では、生前の被害者と家族との交流状況等について説明し、被害者本人の慰謝料に加算する形で近親者慰謝料を認めてもらうことができました。その分目安金額よりも慰謝料の額が高くなっています。

 このように、交通事故の損害賠償では目安となる「赤い本」という基準がありますが、それをそのまま使用していればよいというわけではなく、事案に応じて修正する必要もあります。

 また、今回は説明を割愛していますが、死亡事故の場合、訴訟提起をすることにより相手方と有利な条件で和解できる可能性があります。

 死亡事故の場合、どのように手続を進めていけばよいか、賠償金額はどれくらいが適正なのかを判断するのが難しい部分がありますので、弁護士へのご依頼を強くおすすめします。

異議申立てで【14級→12級】平衡機能障害が認定され、訴訟で和解したケース

2026-03-04

事案の概要

 事故の状況は、横断歩道を歩いて横断していた被害者が、右折してきた自動車にはねられたというものです。

 被害者は、頭を強く打ち、急性硬膜下血腫等の傷害を負った結果、通院加療を受けたものの、めまい等の神経症状の後遺症が残りました。

 本件は、別の弁護士からの引継ぎの事案でしたが、その時点で、めまいの症状について、局部に神経症状を残すものとして、後遺障害14級9号の認定を受けていました。

 

弁護士の活動

自賠責保険の異議申し立て

 本件では、めまい症状とは別に、事故後に腱板断裂について手術を受けるなどしていたのですが、これについては、事故から治療開始までに時間が空いていたことなどを理由に後遺障害認定には至っていませんでした。

 前任の弁護士は、この腱板断裂部分で異議申立てを検討していたようでした。

 しかし、腱板断裂は、日常生活の中で生じることもある疾患であり、自覚症状がないこともあるため、事故によって生じたものであるかどうかは、慎重に判断する必要があります。

 本件では、事故前に肩の痛みを訴えて通院をしており、事故直後にMRI検査を行ったわけでもなかったため、腱板断裂について後遺障害を得るのは難しいと判断しました。

 その一方で、めまいの症状については、ご本人様からうかがった話によれば、日常生活への影響は深刻で、後遺障害の等級として釣り合っていないように思われましたので、こちらで異議申立てができないか検討しました。

 そこで改めて後遺障害診断書を見ると、「明らかな眼振は見られない」との記載があり、この点に問題があるように思われました。

 めまいの後遺障害で、最も重視されているのが眼振の有無です。

 眼振は、自分でコントロールできるものではないため、眼振が認められれば、障害については証明できたことになります。

 そこで、まず、改めて耳鼻咽喉科で眼振を含む後遺障害認定に必要となる各種検査を受けていただき、後遺障害診断書も新たに作成してもらうようにお願いしました。

 その結果、やはり眼振が認められ、その結果を後遺障害診断書にも反映してもらうことができましたので、それを元に異議申し立ての手続を行い、結果として、12級13号の認定を受けることができました。

示談交渉~訴訟提起

 本件では、相手方の保険会社には既に弁護士がついていたため、異議申し立ての結果を踏まえて交渉を行いましたが、金額の乖離が大きかったため、やむを得ず訴訟を提起することとなりました。

 裁判では、ご本人の症状が12級13号でも評価しきれていないように思いましたので、後遺障害9級を前提に請求を行いました。

 結果として、9級の認定を受けるためには裏付けが不足していたため、12級13号の認定にとどまりましたが、12級13号を前提とした請求額としては満額で早期に和解することができました。

 

ポイント

 本件は、ご本人が申告されている症状と後遺障害診断書の内容が見合っていないことに着目して後遺障害診断書の記載内容を改めることで異議申し立てが認められた事案です。

 異議申し立てができるかどうかは、単純に資料だけを見ても判断できず、被害者ご本人からしっかりお話をうかがうことが大事であることを改めて認識させる事案でした。

 また、訴訟提起をしたことで、交渉で得られるよりも手厚く補償を受けることができましたので、時間はかかりましたが、よい解決に至れたのではないかと思います。

後遺障害14級【耳鳴り】が認定、後遺症慰謝料・逸失利益を取得したケース

2025-12-01

事案の概要

 事故の状況は、信号待ちで停車中に後方から追突されたという事故で、被害者は、頚椎捻挫の他に耳鳴り症を訴えており、治療中の段階からのご依頼となりました。

弁護士の活動

自賠責保険の後遺障害認定

 本件は、追突事故でむち打ち症を発症したという、典型的な交通事故の事例でしたが、首の痛み等は比較的早い段階で収まったのに対し、耳鳴りの症状が強く、しかも長引いていたという点に特徴がありました。

 耳鳴り症も一定の条件を満たせば、後遺障害の認定を受けることができますので、聴覚検査を複数回受けていただき、後遺障害診断書にオージオグラムを添付して被害者請求を行った結果、「14級相当」の後遺障害認定を受けることができました。

保険会社との交渉

 後遺障害の認定結果を踏まえて相手の保険会社と裁判基準に基づいて交渉を行ったところ、後遺障害慰謝料について満額の支払いを受けることで示談が成立しました。

 逸失利益については、事故後に減収がなく、むしろ収入が増えていたという問題がありましたが、同年代の男性の平均賃金を用いて計算する方法で合意に至ることができました。

ポイント

 むち打ち症で耳鳴りを訴える方は多くはありませんが、稀ではありません。また、一度症状が出ると、他のむち打ち症の症状のように長期化する可能性があります。

 このような場合に適切に賠償を受けるためには、早い段階で耳鼻科を受診していただき、事故後に症状が一貫して存在することを明確にしておくことが重要です。

 また、後遺症が存在するにもかかわらず、収入が減るどころか増えているというような場合、逸失利益(後遺症による減収)を請求するには、相応の理由の説明が必要となります。

 本件の場合、転職を伴っていたこともあり、この辺りの説明が通常以上に難しい点がありましたが、逸失利益についても一般的なケースとそん色ないような形で賠償を受けることができましたので、いい示談ができたのではないかと思います。

後遺障害14級【頚椎捻挫】が認定され、後遺症慰謝料を満額取得したケース

2025-04-01

事案の概要

 事故の状況は、十字路交差点を直進中、右側から一時停止無視の車が被害車両の右側面に衝突してきたというものでした。

 被害者は、首に痛みを訴えており、後遺障害認定に進む段階で依頼となりました。

弁護士の活動

自賠責保険の後遺障害認定

 本件も後遺障害の被害者請求を行うところから対応を開始しましたので、交通事故証明書や診断書・診療報酬明細書、物損に関する資料の取得から始めました。

 書類を整えて自賠責保険会社に被害者請求を行った結果、首の痛みについて後遺障害14級9号の認定を受けることができました。

保険会社との交渉

 後遺障害の認定結果を踏まえて相手の保険会社と裁判基準に基づいて交渉を行ったところ、後遺障害慰謝料について満額の支払いを受けることで示談が成立しました。

ポイント

 本件は、資料を取得した段階で、後遺障害の認定を受ける可能性が高いのではないかと思いました。

 というのも、車の破損状況を見ても、側面のドアが大きくへこみ、フレームにも損傷が生じており、運転席にいた被害者への衝撃も相当であったことがうかがえたほか、被害者は年齢が70代の高齢者で椎間板の膨隆も見られたため、一度症状が出ると容易に完治しない(後遺症として残りやすい)と考えられたためです。

 また、通院の頻度も2~3日に1回程度と少なくありませんでした。

 このようなケースは、後遺障害認定が受けられる典型的なものといえます。後遺障害診断書の記載内容が良かったとか、弁護士の活動が功を奏したというわけではありません(示談交渉の場面では弁護士の力を発揮しています)。

 あくまでも、事故状況や被害者自身の身体の状態といった客観的な事情が重要であるということです。

高齢者の死亡事故で慰謝料を約2400万円として示談した事案

2025-01-29

事案の概要

 本件は、被害者(事故当時80代)が道路を横断していたところ、前方不注視の自動車にはねられ、約5か月間の入院の後、亡くなられてしまったという事案です。

弁護士の活動

 死亡事故の場合、一般的に交渉が必要となる事項は、逸失利益(就労、年金、退職金等)、慰謝料、過失割合といったものになります。

 本件の場合、被害者は一人暮らしで就労はなく、逸失利益は年金のみでしたので、特に交渉が必要となったのは慰謝料と過失割合の部分でした。

慰謝料

 死亡事故の慰謝料の額は、一般的に家族構成や年齢に左右されるとされていて、家族を扶養する一家の大黒柱が亡くなった場合、慰謝料の額も高くなり、また、高齢者と比較すると若年者の方が慰謝料の額が高くなるとされています。

 一般的に慰謝料の基準額として用いられている、日弁連交通事故相談センター東京支部が作成している「損害賠償額算定基準」(赤い本)によると、一家の支柱が2800万円、母親、配偶者が2500万円、その他が2000万円~2500万円とされています。

 本件の被害者の場合、子供は独立し、一人暮らしをしていましたので、「その他」にあたります。

 そして、この「その他」の基準に幅があるのは、若年者と高齢者とで差が生じるためであるとされています。

 その結果、一人暮らしの高齢者の場合、この基準に従えば、その他の下限の2000万円に近い額となります(入院経過を考慮した増額もあり得ます)。

 本件では、事案を総合的に見て、入院時のものも含めて慰謝料の額を約2400万円とすることで保険会社との間で合意することができました。

過失割合

 過失割合は、当初保険会社から15%と主張されていましたが、刑事裁判の記録を精査したところ、加害者の脇見運転が疑われたため、過失0%で交渉を行いました。

 この点は、最終的に保険会社が過失0%を認めることはありませんでしたが、過失10%で示談とすることになりました。

ポイント

 本件は、争点もそれほど多くなく、過失割合で若干譲歩していること、自賠責保険金の枠を使い切っていないことから、裁判での解決もあり得るところでした(裁判には遅延損害金や弁護士費用の加算といったメリットがあります)。

 しかし、上では記載していませんが、本件では、過去の判例に照らせば請求が認められる可能性が低いものについて保険会社が支払いを認めていたという特殊事情があり、そのことを差し引くと訴訟提起のメリットが大きいとは考えられなかったため、ご遺族と相談の上で示談による解決としました。

 金額面で考えると、死亡事故であれば全て裁判をした方がよいようにも思われるのですが、実際に交渉をおこなってみると、裁判では認められないような慰謝料の増額や費目の計上が認められることもあります。

 この辺りの裁判を行うべきかどうかの見極めは、弁護士としての知識と経験が必要となりますので、死亡事故の場合、示談の前に迷わず弁護士にご相談していただくことをおすすめします。

肩関節可動域制限の後遺症で逸失利益を540万円から1260万円に増額した事案

2024-10-29

事案の概要

 本件は、歩行者が見通しの悪い道路を横断しようとしたところ、右側からきたバイクに衝突されたというのものです。

 被害者は、左上腕骨近位端骨折などの傷害を負いました。

 本件は加害者が無保険という問題があったため、自身で加入されていた人身傷害保険によって治療費などの補償を受けていましたが、左上腕骨近位端骨折後の左肩関節機能障害等が後遺障害として残存しました。

 人身傷害保険会社の事前認定により、後遺障害12級6号が認定されましたが、金額に疑問を持たれたため、弊所にご相談いただきました。

 

弁護士の活動

後遺障害認定

 本件は、人身傷害保険の事案でしたが、人身傷害保険の場合でも、事前認定により後遺障害等級の認定を受けることができます。

 本件では、肩関節機能障害が「1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」として自賠法施行令別表第二第12級6号が認定されました。

 他に左肩痛も後遺症として残っていましたが、これは機能障害と通常派生する関係にあるため、機能障害の認定に含まれて評価されることになります。

保険会社との交渉

 人身傷害保険の場合、慰謝料の計算方法は契約(約款)で定められていますので、一般の交通事故の事案のように、保険会社と交渉して増額させることはできません。

 しかし、後遺障害逸失利益については、後遺障害の内容や被害者の仕事の内容、実際の減収の有無などによって増減しうるので、保険会社との間で見解の相違が生じることがあります。

 本件では、被害者のデスクワークが中心という仕事の内容で実際に収入の減少も見受けられなかったため、肩関節機能障害による収入への影響がほとんどないのではないかという点が問題とされ、かなり低い金額が提示されていました。

 弁護士が介入し、交渉を行ったところ、若干の増額はみられましたが、想定していた金額を大幅に下回ったため、やむを得ず人身傷害保険会社に対して訴訟を行うこととなりました。

 また、訴訟提起に先立って、自賠責保険の被害者請求を行い、最低限の保険金を確保しておきました。

裁判所での和解

 裁判を行った場合、交渉の場合よりも厳格に説明や証明を求められることになります。

 本件のような後遺障害の逸失利益が問題となる場合、どのような形で仕事に支障があり、現実に損害が発生しているのかを丁寧に説明する必要があります。

 様々な主張・立証を尽くした結果、最終的には、後遺障害逸失利益を当初の540万円から1260万円に大幅に増額させた形で保険会社と和解することができました。

ポイント

 後遺障害逸失利益は、後遺症によって仕事に支障が生じ、その結果収入が下がってしまうことの損害を補填するものです。

 したがって、減収が生じていることが大前提となります。

 ところが、(特に後遺障害の程度が比較的軽微な場合)後遺症があっても仕事は問題なくこなしているということが少なくありません。

 そこで、減収がない場合の後遺障害逸失利益をどう考えるか、ということが、交通事故事案の実務上、主要なテーマとしてこれまでに多くの議論が行われてきました。

 これを考える場合、後遺障害逸失利益というのが、どんな損害を補填しようとするものなのかを基本に立ち返って考え、過去の裁判ではどのような点が考慮されて判断されているのかを吟味する必要があります。

 そうすることで、実際の裁判で何を主張しなければいけないのかが見えてきますし、弁護士の視点でいうと、依頼人からどのような事情を聴き出さなければいけないのかが分かってきます。

 この点は、弁護士によってかなり違いが出てくる場面ではないかと思います。

 当事務所では、人身傷害保険の場合でも、後遺障害逸失利益の増額交渉をお受けしておりますので、金額にご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

 

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減収がなくても後遺障害逸失利益の請求はできる

鎖骨の変形障害の後遺症で逸失利益を270万円から660万円に増額した事案

2024-04-02

事案の概要

 本件は、視界が悪い道路をバイクで走行中の自損事故で、被害者は、鎖骨骨折、肋骨骨折などの傷害を負いました。

 本件は加害者がいる事故ではないため、自身で加入されていた人身傷害保険によって治療費などの補償を受けていましたが、鎖骨骨折部は元通りにはならず、変形障害を残すこととなりました。

弁護士の活動

後遺障害認定の結果

 本件は、加害者がいない事故で、加害者の自賠責保険を使うことはできませんが、人身傷害保険を使用する場合でも、自賠責保険と同様に後遺障害等級の認定が行われます。

 本件の場合、認定された後遺障害等級は、自賠法施行令別表第二第12級5号の「鎖骨に著しい変形を残すもの」でした。

 他に、肩関節可動域制限と骨折部の疼痛などもありましたが、可動域制限については認定の対象となる数値までわずかに足りず、疼痛は、上記変形障害から派生する障害にあたるため、変形障害に含まれて評価される(別途評価はしない)ことになりました。

保険会社との交渉

 人身傷害保険の場合、慰謝料の計算方法は契約(約款)で定められていますので、一般の交通事故の事案のように、保険会社と交渉して増額させることはできません。

 しかし、後遺障害等級が認定された場合、後遺障害逸失利益の計算が、人身傷害保険の契約に照らしても妥当ではないことが少なからずあります。

 本件でも、弁護士が見て、後遺障害逸失利益の計算が正しく行われていないと考えられましたので、この点の交渉を行いました。

 その結果、逸失利益の額が2倍以上となって保険金の支払を受けることができました。

ポイント

 後遺障害逸失利益の増額交渉は、加害者がいる場合に行う任意保険会社との交渉とほとんど変わりません。基礎収入の設定が人身傷害保険の方が有利になっていることはありますが、労働能力喪失率や労働能力喪失期間といった金額に大きく影響する部分についての考え方は共通しています。

 本件の場合、鎖骨の変形障害という、裁判実務上も後遺障害逸失利益が生じるかどうかに見解の違いがあるようなケースで、保険会社からも、「通常労働能力の喪失は想定されない」などとして、金額を著しく少なく認定されていました。

 しかし、本件の場合、たしかに、一見すると後遺障害の対象となったのは鎖骨の変形障害のみに見えるのですが、その他に骨折部の痛みがあり、可動域制限についても、等級認定にはわずかに届かなかったものの、相当程度生じていたほか、現実に事故前に行っていた仕事を辞めざるを得なくなるほどの生活に支障も生じていましたので、適切に評価されていないことは明らかでした。

 そこで、弁護士が、参考文献やカルテの記載内容を指摘しつつ、逸失利益の存在を丁寧に説明していった結果、後遺障害逸失利益が当初の2倍以上とすることで合意に至ることができました。

 鎖骨の変形障害は、後遺障害の中でも逸失利益の算定が難しいケースではありますが、関連する専門書を読みこみ、どういった議論があるのかを熟知した上で、裁判の傾向を掴んでいれば、どの辺りが妥当な金額なのかを知ることができ、それによって交渉を有利に進めていくことができます。

 当事務所では、人身傷害保険の場合でも、後遺障害逸失利益の増額交渉をお受けしておりますので、金額にご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

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