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交通事故の入通院慰謝料とは
交通事故の入通院慰謝料とは、交通事故で怪我をして入院や通院をしたときに、その入院や通院の期間、怪我の内容に応じて支払われる慰謝料のことをいいます。
慰謝料とは、諸説ありますが、精神的・身体的な苦痛に対する賠償金のことを指します。
つまり、入通院慰謝料とは、怪我の痛みや入院や通院によって生じた日常生活に生じた支障などの苦痛を金銭的に評価したものということです。
保険会社との間で生じる問題
交通事故で入院や通院を必要とするような怪我を負った場合、最終の通院を終えた段階で、保険会社から最終の支払いに向けて、示談金額が提示されます。
この中に、入通院慰謝料慰謝料が含まれています。
この流れには問題はないのですが、問題はその金額です。
精神的な苦痛と言われても、その金額がどのくらいなのかを感覚的に分かるという人はまずいないでしょう。
そのような中で、保険会社が金額を計算してくるのですが、この金額が適正とは言い難いのです。
金額がおかしいのであれば、保険会社の担当者との間で金額の交渉をして金額の修正をもとめなければなりません。
これが、交通事故の入通院慰謝料をめぐって保険会社との間で生じる問題です。
なぜ入通院慰謝料をめぐって問題が生じるのか
上で述べたように、入通院慰謝料は、その金額がどのくらいなのかを感覚的に分かるようなものではないので、目安が必要となります。
この目安が、任意保険会社が設定している「任意保険基準」と呼ばれるものと、過去に裁判で争われてきた膨大なデータを元に設けられた「裁判基準」との間にかなりの開きがあります。
そのため、保険会社が計算してきた額が、法律的に見て適正といえる金額と比べて低いという問題が生じるのです。
どうやって適正な入通院慰謝料の額で示談するか
裁判基準の入通院慰謝料は、大雑把に言うと、入院と通院の長さによって決まっています。
例えば、典型的な怪我であるむち打ち症で6か月間の通院をした場合、89万円が通院慰謝料の目安となります。
この目安は、一般の方でもインターネットで調べれば分かるかもしれません。
しかし、この数値を保険会社に示したからといって、保険会社がこの金額で示談に応じるわけではありません。(その理由はこちら→「保険会社が出す慰謝料の額はなぜ低いのか」)
特に、一般の方が交渉をする場合に気を付けていただきたいのは、少し交渉をするくらいであれば良いのですが、語気を強めたり、威迫するような言動をとってしまうと、保険会社側が弁護士を立ててくることがあり、そうなると、相当厳しい対応となる可能性が高くなります。
適正額での示談を希望されるのであれば、弁護士に依頼されることをおすすめします。特に、弁護士特約にご加入の方であれば、弁護士費用の負担を気にする必要もありませんので、早期にご依頼いただいた方が良いかと思います。

千葉で交通事故のご相談なら福留法律事務所へ
当事務所は、千葉県を中心に交通事故の被害者救済に特化し、10年近くで500件以上の解決実績がある法律事務所です。
交通事故の示談交渉で保険会社から提示される賠償金額は、本来受け取るべき適正額より低いことがほとんどです。
特に、後遺障害が残る事故や死亡事故では、弁護士が交渉することで賠償金が大幅に増額されるケースも少なくありません。
当事務所では、交通事故被害に遭われた方の正当な権利を守るため、豊富な経験を持つ弁護士が示談金の増額交渉や後遺障害等級の認定を強力にサポートいたします。
保険会社とのやり取りで生じる精神的なご負担も、私たちが代理人となることで軽減できます。
「保険会社から提示された金額が妥当か知りたい」という方のために、賠償金額の無料診断サービスも行っております。
ご相談は千葉県全域に対応しており、後遺症に関するお悩みは全国からの電話相談も可能です。
ご来所が難しい場合でも、まずはお気軽にお問い合わせください。
保険会社が出す慰謝料の額はなぜ低いのか
慰謝料の保険会社の算定基準
保険会社が計算してくる慰謝料の金額は、「保険会社基準」などと言われることもありますが、一般的に裁判をした場合に裁判所で認められる金額よりも低くなっていることが多いとされています。
保険会社は、会社である以上利益を最大化させなければならず、支払額を小さくできるのであれば、できるだけ小さくしようとするのは当然のことです。
しかし、例えば怪我をして通院したような場合の治療費については、一般的に想定されている範囲を超えない限り、保険会社が治療費を値切ってきたりすることはほとんどありません。
では、なぜ慰謝料については、相場といえる金額があるのに低く見積もってくるのでしょうか?それには理由があります。
裁判基準は目安に過ぎない
結論を端的に言うと、弁護士が保険会社との交渉で用いる金額(裁判基準とか弁護士基準とか言われるもの)は、実際に裁判で認められる金額というわけではないからです。
実際に裁判をした場合には、下がることも少なくありませんし、(稀ですが)上がることもあります。
「裁判基準」は、文字通り慰謝料の額を決めるための基準であり、これに従わないといけないのではないか?と思われるかもしれません。
しかし、実際にはそんなに甘いものではないのです。
裁判で慰謝料の額が基準を下回ることがあるのはなぜか
「一般的に想定されている範囲を超えない限り、保険会社が治療費を値切ってきたりすることはほとんどない」と述べました。
これは、あくまでも、裁判をせずに一応円満に話し合いで解決しようとしている場合の話です。
いざ裁判をすると、保険会社はほぼ確実に弁護士をつけてきて、これまで争いになっていなかった部分も含めて徹底的に闘ってきます(多少弁護士によって熱量に違いがあります)。
典型的なのは、通院先からカルテ等を取り寄せて、入通院の必要性を争ってくるというものです。
カルテの記載をみると、怪我の内容にもよりますが、被害者側にとって不利になるようなことが書かれていることが少なくありません。
保険会社側の弁護士は比較的優秀な者が多いため、そのような記載を見逃さず、「入通院が必要以上に長過ぎる」といった主張を展開してきます。
慰謝料の額は入通院の長さによって決まる傾向にありますので、入通院が短縮されれば、その分慰謝料の額も低くなります。
それに対して、こちら側からは、治療経過や同種の怪我の一般的な治療期間などについて根拠を示した上で主張し、入通院が必要であったことを証明しなければなりません。
その結果、こちらの言い分を裁判所が認めれば、請求額どおりの慰謝料が認められますし、保険会社側の言い分を一部でも裁判所が認めれば、治療費が減額となるほか、慰謝料の額も減額となります。
これが、裁判で慰謝料の額が基準を下回ることがある理由です。
保険会社も基準を下回ることは想定している
このように、「裁判基準」といっても、実際にはそれほど強固な基準ではなく、個々の事情によって増えたり減ったりするものなので(実際に問題になるのは減額の有無であることが大半)、保険会社としては、裁判基準どおりには支払わないということなのです。
しかも、被害者本人とのやり取りの中では、裁判基準から大幅に減額した額を提示してくることが少なくありません。
どうやって裁判基準での支払いを受けるか
保険会社が裁判基準を下回る金額を示してきたとしても、それ自体がおかしいわけではありません。
しかし、その差額の大きなものとなれば、被害者としては許容できるものではないでしょう。
そこで、保険会社との間で交渉を行い、可能な限り裁判基準に近い金額で示談できるようにする必要があります。
弁護士による交渉で何が変わるか
弁護士による交渉と被害者本人による交渉での違いは、知識や闘う手段(裁判等)の有無は当然ですが、大事なポイントして、ご自身の請求がどれだけ適正なものなのかを把握されているかどうか、ということがあります。
自分の通院が不当なものであると認識しつつ通院している人はほとんどいません。
しかし、客観的に怪我の内容は回復状況から見ると、妥当な範囲を超えてしまっているということは少なくありません。この点は、法律上の考え方と、医師や被害者本人の感覚との間でズレがあるところですので分かりにくいと思います。
こうしたズレに気付かないままで交渉をしようとしても、かえって保険会社の態度を硬化させてしまい、適正な示談からは遠ざかってしまいます。
交通事故を専門的に取り扱っている弁護士であれば、法律上はどの程度まで支払いが認められ、保険会社がどの程度のラインであれば示談可能なのかをある程度把握しています。
それらの知識を駆使して、保険会社との間で適正額での示談を成立させているのです。
まとめ
このように、保険会社が計算する慰謝料の額が低いのには理由がありますが、出された額を増額させるための交渉を弁護士が行うことは可能です。
適正な額での示談をお望みであれば、一度弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

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事故直後でも法律相談を受けた方が良い理由
まず、交通事故に遭われたときに法律相談に行く最適なタイミングですが、私自身のこれまでの経験上、「事故直後」をおすすめします。
事案によっては、事故直後でなくても良いケースもありますが、早めに行って存することはありませんが、相談が遅くなると、もう対応のしようがないということがあるからです。
なぜ法律相談は早めに行った方が良いのか
事故に遭った直後は、特に過失割合が0:100であるようなケースであれば、保険会社が治療費を支払ってくれますし、仕事を休むことになっても、多少であればその分の保険会社が(計算方法の問題はありますが)支払ってくれますので、特に保険会社との対応で困ることもなく、法律相談の必要はないと思われるかもしれません。
しかし、お怪我の内容にもよりますが、漫然とこの時期を過ごしていると、後になって必要な補償が受けられなくなるといったことがありますので、一度弁護士にご相談いただき、通院方法などについてアドバイスを受けることをおすすめします。
実際にあった事例
症状の一部が見過ごされるケース
これは、入院が必要になるような比較的重い怪我をされた場合に見られるのですが、入院中は、頭部外傷や内臓の損傷など、生命に関わるようなものの治療に医療機関側も集中するため、その他の軽微な怪我については後回し(治療できないことも多い)となることがよくあります。
医療機関の対応としてはそれでも問題はないのでしょうが、加害者側に賠償金を請求するという場面では問題が生じることがあります。
というのも、頭部外傷や内臓の損傷等については、手術などによって比較的短期間で事故前の状態と同じように過ごせることになったものの、事故当初は軽微であると思われて特に対応されていなかった怪我の症状が長引くということがあるのですが、この場合に、事故当初に症状の訴えがカルテや診断書に記載されていない場合、「事故との因果関係が認められない」という理由で、治療費の支払いがされなかったり、後遺障害の認定が受けられないということがあります。
このようなことは、重症の事例でなくても生じ得ることで、受傷当初は足があまりに痛くて足の痛みしか訴えしかしていなかったが、実は首も最初から痛めていたというようなケースで、後になって首に関する治療を受けようとしても受けられないということがあります。
交通事故では、「症状の一貫性」についての資料の裏付けが非常に重要なのです。
このように、医師への説明の仕方が後で賠償が受けられるかどうかに影響してくることがありますので、この辺りについて弁護士に確認された方が良いかと思います。
証拠の保全
お怪我に関する補償に関する重要なポイントとして、「事故によって怪我をしたということ(因果関係)を客観的な資料で証明しなければならない」ということがあります。
骨折をしたときのレントゲンやCT画像といったものが典型例です。
ここで問題となるのが、「医学的には保存療法をとるしかないため厳密に怪我の状態を確認する必要はないが、賠償との関係では厳密な証明が要求される」ということがしばしば見られることです。
時間の経過によって組織は修復されていきますので、後になって、画像上の異常所見が見つかったとしても、事故とは無関係のものとの判別ができず、事故との因果関係が認められないということがあり得ます。
これも、医学的には治療方法に違いが出ないため、医療機関に問題があるというわけではありませんので、検査によって怪我の状態が明確になっていない場合には、必要に応じて被害者の側から医師に検査を依頼しなければなりません。
その他
その他の事例としては、休業損害や通院交通費に関するもので、休業損害は仕事を休んだ分だけ、通院交通費は通院をした分だけ支払われるものと考え、治療が終わった段階でまとめて請求をしようとしたところ、保険会社から支払いを拒まれるというケースがあります。
休業損害は、怪我の内容や仕事内容に照らし、休業が相当といえる場合でなければ支払われません。
また、通院についても、何十キロも離れたところに頻繁に通わなければならないということは通常ありませんので、そのような不自然な通院をしていた場合、その全てが支払われる保証はありません。
このような事態は、実際に支払われるのはどの程度までなのか、といったことを事前に知っていれば回避できたことです。
まとめ
このように、事故直後から弁護士にご相談いただくことで、後の後遺障害認定や示談交渉に備えることができ、不測の事態を回避できるということもありますので、交通事故に遭われたら、お早目にご相談いただくことをおすすめします。

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交通事故で弁護士に依頼すると本当に示談金は増額する?
実際の交渉状況
交通事故の被害者の方で、インターネットで弁護士を探されている方は、弁護士に依頼して本当に示談金が増額するのか?ということを疑問に思われているかもしれません。
結論から申し上げますと、交通事故のお怪我に関する「損害額」の部分については、弁護士に依頼した場合、少なくとも弊所にご依頼ただいた事案に関しては、ほとんどのケースでそれまでに保険会社から示されていた金額よりも交渉により増額されています。
もちろん、事案によりますので断定的なことを申し上げることはできませんが、これまでの経験上、保険会社が全く交渉に応じないということはほとんどないと言ってよいかと思います。
注意が必要な場合
弁護士費用特約がない場合の注意点
増額ができたとしても、その増額幅に対して支払う弁護士費用の方が高いのであれば、弁護士に依頼した意味がありません。
そのため、弁護士費用特約のご加入がない場合には、増額の見込み額と弁護士費用を比較して、弁護士に依頼するべきかどうかを見極める必要があります。
この点は、ご依頼前の段階で、どれだけのメリットが見込めるのかご案内していますので、それを踏まえてご依頼いただければと思います。
これに対し、弁護士費用特約のご加入がある場合には、増額分を上回る負担をするということはほぼないと言ってよいので、この点を心配する必要はありません。
過失が大きい場合
交渉をしても増額ができないケースの典型例は、こちら側の過失が大きい場合です。
このような場合でも、費目ごとの、例えば「慰謝料の額」自体については増額となることが多いです。
しかし、過失がある場合には、その分加害者側の負担額が減ることになり、実際に支払われる額も小さくなります。
ただ、これだけであれば、割合で最終的な受取額が小さくなるだけで、弁護士の交渉に意味がなくなるわけではありません。こちらの過失が大きくても、その割合なりに慰謝料の額は増額となるからです。
交通事故の特殊なところは、強制保険の自賠責保険が存在することで、弁護士に依頼するメリットがあるかどうかは、自賠責保険の補償でも足りるかどうかという観点からも考えなければなりません。
一般的に、こちら側の過失が40%だとすると、治療費や慰謝料などの損害の合計額のうち、加害者が支払うのは60%分のみです。自賠責保険は、よほど過失が大きくない限り、支払額が減額されることはありません。
慰謝料が100万円となっても、相手の支払額は60万円に過ぎないのです。
これに対し、自賠責保険の場合は、上限が120万円となっていたり、慰謝料の算出方法が低くなっているといった問題はありますが、原則100%補償されます。
このようなケースでは、加害者側から支払われる賠償金の額よりも、自賠責保険金の額の方が大きくなるということがあり得ます。
その場合は、加害者との関係で賠償金の増額が見込めず、敢えて弁護士に示談交渉を依頼する必要はないということがあります。
ただし、こうした場合でも、人身傷害保険の加入がある場合には、弁護士に依頼するメリットがあります。詳しくは弁護士にご確認ください。
その他増額が期待できないケース
その他、あまり見られませんが、被害者本人と保険会社との交渉で、法律的にはまず認められないような支払いを保険会社が認めているようなことがあります(実費や特殊な休業損害のような部分で稀に見られます)。
このような場合には、慰謝料等の部分で増額が期待できたとしても、慰謝料のところで強く交渉をした結果、それまで認めていた部分が撤回されるということにもなりかねませんので、どこまで交渉するかは慎重に見極める必要があります。
まとめ
以上のように、過失が絡んだり、弁護士特約のご加入がなく比較的軽微なお怪我の場合には、増額が見込めないこともありますが、特に慰謝料の評価額については、弁護士が交渉すればほとんどのケースで増額が見込めるといって差し支えないと思います。
基本的には、弁護士に依頼するメリットがあるものと考えて法律相談をご利用いただき、実際に弁護士に依頼すべきかどうかは弁護士から見通しの説明を受けていただいてからご判断いただければよいかと思います。

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死亡事故の慰謝料の相場について詳しく解説します
死亡慰謝料の基本的な考え方
交通事故で被害者が亡くなった死亡事故の場合、慰謝料の額も高額になります。
死亡事故の慰謝料は、一般的には被害者が家族の中でどのような立場にあったのかによって変わると言われていて、①「一家の支柱」が2800万円、②「母親、配偶者」が2500万円、③その他(独身者、子供、幼児等)が2000万円~2500万円というのが相場であると言われています。
(日弁連交通事故相談センター東京支部『2025年版 損害賠償額算定基準』(赤い本)』205頁より)
※③の「その他」に幅があるのは、被害者が子供である場合もあれば高齢者である場合もあり、実際に裁判で認められている金額にかなりの幅があるためです(若年者は高額になる傾向にあると言われています)。
ただし、個々の被害者の家族との関係や事故態様、加害者側の態度など、様々な事情によって死亡事故の慰謝料の金額は変動するとされており、実際に裁判所で出された金額を見ても、かなりの幅が見られます。
そこで、ここでは具体的な事例でどのくらいの死亡慰謝料が認められてきたのかについて、実際に最近の令和4年から令和5年の間に出された判決を調査した結果を踏まえて解説します。
死亡慰謝料額の調査結果
最近の裁判の全体的な傾向
まず、裁判所が認定した死亡慰謝料の全体的な傾向ですが、概ね上記の目安金額に沿った判断がされているといえます。
その中で、飲酒運転や、加害者が不合理な弁明を行ったりするなど、加害者が強く非難されるべき事案の場合には、上記の目安を超えて高額の慰謝料が認められています。
例えば、大阪地裁令和5年11月17日判決では、原付バイクに乗った被害者が赤信号で停止していたところ、無免許・飲酒運転の加害自動車に追突され、そのままビルの壁まで進んで圧し潰された挙句、救護義務を果たすことなく加害者が立ち去ったという事案で、死亡慰謝料として3300万円が認められています。
他にも、東京地裁令和5年10月27日判決の、アクセルとブレーキを踏み間違えて自車を加速させ、赤信号無視をして、青信号で横断歩道を横断していた母子をはねて死亡させたという事案では、過失の大きさや刑事事件において自身の過失を一向に認めようとしなかった加害者の態度などを考慮して、母子それぞれに死亡慰謝料3100万円が認められています。この事案は、ニュースなどで大きく報道されていましたので、ご存知の方も多いと思います。
実際の認定のされ方
死亡事故の場合、亡くなった被害者本人の慰謝料に加え、大切な家族を失った遺族(近親者)固有の慰謝料というものが認められ、これらは、計算上は区別されるというのが基本的な考え方です。
では、遺族の数が多ければその分トータルで支払われる慰謝料の額が多くなるかというとそういうわけではなく、上で示した目安の金額は、被害者本人の慰謝料と遺族固有の慰謝料の額を合算したものとされています。
つまり、遺族の数によって慰謝料の合計額が変わることは予定されていないということです。
例えば、一家の支柱であった被害者が事故で亡くなった場合、目安によれば慰謝料の額は2800万円ですが、残された家族が、妻と子供2名であるというような場合、被害者本人の慰謝料が2400万円、妻の慰謝料が200万円、子供の慰謝料が100万円×2となり、合計が2800万円などとされます。
年齢による違い
遺族の数によって慰謝料の総額は変わらないと言いましたが、実際に裁判例を見てみると、20代など若くして被害者が亡くなったケースで、配偶者や子供がいる場合、その親もまだ存命であることが少なくなく、そうした場合、子供に先立たれた親の苦痛は想像に難くないため、こうした親の慰謝料の額を合算すると、上記の目安の金額を超えるということも多いです。
このような点も考慮すると、やはり被害者が若い場合に慰謝料の額が大きくなりやすいということは言えると思います。
その反面、高齢者が被害者となった場合、事故当時に同居する配偶者がいた場合でも、2500万円を下回る金額しか認められないケースが散見されました。
やはり、年齢によって死亡慰謝料の額に違いが出ると考えた方が良さそうです。
ただ、被害者が高齢であった場合でも、会社の代表取締役として相応の報酬を得ていたような場合には、比較的大きな慰謝料が認められているものもありますので、よく事案を分析する必要があります。
まとめ
最近の死亡事故の裁判の傾向を見ると、目安となる基準から大きく増減することは多くないと言えそうです。
ただ、特に事故状況や相手の態度など、軽微な事故ではあまり慰謝料の額には関わらないような事情でも、死亡事故の場合は数百万円単位で違いが出ることがあるので、交渉を行う場合には、こういった事情を漏らさずに言っていく必要があります。
また、以前から指摘されているところですが、被害者が高齢者である場合、若年者の場合と比較すると慰謝料の額が低くなる傾向にはあるようです。
しかし、被害者が高齢者の場合でも、基準によれば死亡慰謝料が2000万円くらいまで下がってもおかしくないところですが、そこまで低い金額となっていることは珍しいので、高齢者だからといって上記の基準から2000万円まで下げることは応じがたいところです。
死亡事故の場合、考慮しなければならないことが多岐にわたりますので、示談の前に弁護士にご相談していただくことをおすすめします。

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PTSDなど精神障害と賠償の問題
最近、有名人がPTSDになったというニュースを目にすることがありますが、交通事故の場合でも、PTSDの発症が問題になることがあります。
また、弁護士業務との関係では、労働関係の仕事をしていると、パワハラや過剰労働を理由として精神疾患をり患したという方の相談を受けることも珍しくありません。
このような経験を踏まえて最近の世論の状況を見ていると疑問に思うことが多々あります。
そこで、今回は、被害者が精神障害を発症した場合の賠償の考え方や、他の怪我とは異なる注意点などについて解説します。
※なお、ここで述べるのは、あくまでも弁護士の視点から見解を述べるものであり、最新の医学的知見に基づくものではありません。
PTSDとは
PTSDとは、自分自身又は他人の生命や身体に脅威を及ぼすような、著しい精神的ショックを与えるような心的外傷体験となる出来事に曝されることで生じるとされていて、具体的なトラウマ体験として、自然災害や事故、火災、戦争、性犯罪、激しい暴力、虐待などが挙げられています。
また、症状としては、フラッシュバックや悪夢、トラウマ事象に関連する刺激の回避、否定的な考えや気分、イライラや怒りっぽさ、不眠などがみられるとされています(一様ではありません)。
そして、他の精神疾患との合併があると、重症化しやすいということです。
なお、性的暴行の被害者の場合、症状が残存しやすいという報告があるそうです。
(医学書院「標準精神医学 第9版」より)。
PTSDの賠償金の額
被害者がPTSDなどの精神障害を発症した場合の賠償金の額ですが、非常に高額になることがあります。
一般の方が抱くイメージでは、賠償金というと慰謝料や、問題を解決するために示談金(上乗せ)というものではないかと思います。
たしかに、精神障害の場合でも慰謝料の額が重要となるのは間違いありませんが、現実的に金額が大きくなる要因は、仕事を休業したことへの補償の部分です。
例えば、トラウマとなるような体験があった後、仕事に復帰できない状態が続いたとなれば、その間の給料の補償を加害者が行わなければなりません。
この額は、単純計算で、年収が1000万円の人が半年休業すれば500万円、1年休業すれば1000万円となります。
さらに、症状が完治しないまま1年ないし2年が経過するなど、長期の療養を経ても症状が寛解しない場合、短期的に完治することは見込めず、後遺症として長期間にわたって症状が残存してしまう可能性があります。
また、その結果、元どおりに仕事をすることができなくなるということも予想されます。
そうすると、賠償金を一時金で払うとなると、この将来にわたる損害を予測した上で計算する必要がありますので、その額は被害者の年収に応じて高額となっていきます。
入院加療を要するような精神疾患を発症したような場合であれば、相当重度の後遺症(交通事故の場合、自賠責保険の認定では、14級、12級、9級がありえますが、実際の症状を見て、より重く見ることも考えられます)として取り扱うことになりますので、上記の年収1000万円で9級相当の後遺症が残ったとすると、事故当時の年齢で大きく変わりますが、20代であれば、賠償金の額はこれだけで8000万円を超えるような額となります(実際の計算では修正が必要となることは後述)。
ここに、将来の医療費や慰謝料が加算されることになります。
したがって、このような金額で示談したからといって、「金持ちがお金で解決した」とか「口止め料が含まれている」とかいうわけではないのです。
交通事故実務での取り扱い
交通事故の場合は、PTSDと医師に診断されているかどうかに縛られることはなく、「非器質性精神障害」という大きな括りで事故との因果関係などを考慮することになります。
※非器質性精神障害に対し、「器質性精神障害」とは、脳に器質的(臓器・組織の形態的異常にもとづく)損傷が生じたことにより精神作用が障害された場合、「高次脳機能障害」として取り扱われることになります。
精神障害の場合に特有の問題
原因が一つではないこと
精神障害の場合、障害を発生する原因は一つの出来事だけではなく、その他の出来事や人間関係など、元々被害者が抱えていた問題も原因となっている可能性があります。
そうすると、損害賠償という観点で見ると、実際に生じている損害をどこまで加害者に負担させてよいのかを検討する必要があります。
被害者本人の特性も考慮しなければならないこと
上記の点にも関連しますが、精神障害は、同じ体験をすれば誰もが発症するものではなく、発症しやすさには個人差があります。
このような個人差の問題も、加害者の責任を考えるときに考慮しなければなりません。
具体的には、実際の出来事の程度に比較して被害者の訴えている症状が著しく大きい場合、それが詐病などでなくても、その責任をすべて加害者に負わせることはできないでしょう。
この点は、損害賠償の実務上は、「素因減額」という概念で処理されることになります。
これは、被害者の特性に応じて加害者側の賠償の責任を軽減するというもので、認められると、例えば「損害が1000万円だったとしても、3割(この割合は事情により大きく増減します)を差し引いて賠償すべきなのは700万円」といった結果になります。
症状がいつまで続くのかを予測するのが困難であること
精神障害は、器質性の障害とは異なり、時間の経過と共に寛解する可能性があります。
したがって、賠償金の計算にあたっても、一生涯障害が続くものとはせずに、賠償の対象を一定期間に限定することがあります。
非器質性精神障害の場合、この期間を10年程度とされることも少なくありません。
まとめ
以上のように、ある出来事によってPTSDを発症したといっても、発症にその出来事がどこまで影響しているのか、被害者自身の特性はどうだったのか、将来にわたる損害の発生はどのように考えればよいのかといった点について考慮すべきことは多いです。
また、実際に生じた出来事(事故)の大きさと、被害者の訴える症状・損害が必ずしも釣り合っているわけではありません(少なくとも、裁判実務の考え方からすると明らかに損害が過大であるということがあります)。
確実に言えることは、断片的な事実によって事実を推測できるようなものではなく、賠償金の額についても、素人考えで高いとか低いとか言えるようなものではないということです。

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交通事故と消滅時効
2つの時効期間
一般的にはあまり知られていないと思いますが、交通事故の損害賠償請求の権利は、一定期間放置しておくと時効が成立し、行使することができなくなります。
このように、法律で定められた一定の間、権利行使をしないことにより権利が消滅してしまうという制度のことを消滅時効といいます。
交通事故の場合の損害請求の基礎となるのは、民法で規定されている不法行為ですが、不法行為の消滅時効期間は2つあり、1つは被害者(又はその法定代理人)が損害及び加害者を知った時から3年間、もう1つは不法行為の時から20年間です(民法724条)。
短期消滅時効
上記の3年の時効期間のことを短期消滅時効といいます。
これについては、2020年3月31日以前の改正民法施行前の事故については、人身損害と物件損害の区別によって違いがありませんでした。
しかし、2020年4月1日の改正民法施行後は、両者を区別し、生命身体に対する不法行為に関しては、5年となっています(民法724条の2)。
また、それ以前に発生した事故についても、経過措置(附則35条2項)により、2020年4月1日時点で5年が経過していなければ、消滅時効は成立しません。
したがって、2017年4月1以降に「被害者(又はその法定代理人)が損害及び加害者を知った」場合、人身損害の消滅時効の期間は3年ではなく5年ということになります。
これに対し、物件損害の場合、民法改正による違いはなく、3年で時効により権利が消滅してしまいます。
この3年間(5年間)の時効については、もしかするとご存じの方もいるかもしれませんし、一般的によく問題になるのはこちらの方です。
この3年(5年)の期間については、あくまでも被害者が損害や加害者を知った時からなので、スタートのタイミングをずらすことが可能です。例えば、一般的に怪我に関する損害賠償請求は、症状固定時期をスタートと解することが多く、必ずしも事故当日から5年以内に権利行使をしておかなければならないわけではありません(もっとも、早めに権利行使しておいた方がよいことは言うまでもありません)。
長期消滅時効
20年の消滅時効は、「不法行為の時」からとされています。
被害者側の認識に左右されないので、基本的にはスタートのタイミングをずらすことはできないと考えておいた方がよいでしょう。ただし、事故から損害の発生までに時間を要するような特殊な怪我を負った場合には、損害の発生時をもって起算点とされる余地があります。
民法改正前の除斥期間
2020年4月1日の改正民法施行前の事故については、20年の期間制限が消滅時効ではなく、除斥期間といって、消滅時効よりも厳格で基本的に期限の延長などもできないものとされていました。
また、権利行使の方法も、裁判外でもよいのか、裁判で行う必要があるのかも判例上明らかではなく、相手方による消滅時効の援用も必要ないとされているため、相手方が除斥期間の主張をすることが権利の濫用だとか主張することも困難でした。
したがって、事情があって権利行使が遅れていたり、相手方との間で交渉が長引いていたような場合でも、事故のあったときから20年以内に裁判を起こさなければ権利が消滅してしまう可能性がありましたので、確実に事故から20年以内に裁判を起こす必要がありました。
この点は、民法の改正によって消滅時効とされることになりましたので、相手方が賠償の責任自体は認めていれば債務の承認による時効期間の更新となると考えることができ、それでも不安な場合は、相手方との間で時効の完成を猶予することについて書面で合意することもできます。
2020年3月31日以前の事故で、事故から長期間が経過している場合、この除斥期間の問題が生じますので注意しましょう。

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当事務所は、千葉県を中心に交通事故の被害者救済に特化し、10年近くで500件以上の解決実績がある法律事務所です。
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労働能力喪失期間の問題
労働能力喪失期間とは
労働能力喪失期間とは、交通事故の被害者が後遺障害を残してしまった場合に、「事故がなければ被害者が仕事をして獲得できていただろうと考えられる収入」を賠償する際に、その金額を計算するために用いるものです(死亡事故の場合も同様ですが、死亡事故では労働能力喪失期間はそれほど問題になりません)。
例えば、事故で足腰が悪くなり、それまでは1日8時間働けていたのが1日に6時間しか働けなくなったというような単純な例で考えると、2時間働く時間が短くなったことで収入もそれに応じて減額となると考えられます。時給1000円であれば、事故前が1日に8000円稼いでいたところが事故後は1日6000円に減額となってしまいます。
この、事故がなければ被害者が獲得できていたと考えられる収入のことを「逸失利益」と呼んでいます。
逸失利益は、ベースとなる年収の額に、後遺障害による収入へのマイナスの程度、後遺障害によって収入が下がってしまう期間をそれぞれかけて計算することになります。
この後遺障害によって労働能力の一部が損なわれ、収入が下がってしまう期間のことを「労働能力喪失期間」と呼んでいます。
つまり、労働能力喪失期間とは、後遺障害による収入への影響が何年続くかを表す数字ということになります。
労働能力喪失期間の基本的な考え方
労働能力喪失期間は、このように後遺障害が収入(仕事)に与える影響がどの程度続くのかというものですので、仕事への影響が1年で済めば1年になりますし、定年まで続くのであれば定年までということになります。
ここで、後遺障害がどのようなものだったのかを考えると、後遺障害とは、分かりやすくいうと、「これ以上良くならない症状が残っていて、将来的にも改善の見込みがないもの」のことを指します。
つまり、後遺障害として認定された症状は一生続くということが前提となっています。
症状が変わらない以上、仕事への影響も同じように一生続くと考えるのが自然な考え方です。
したがって、労働能力喪失期間は、仕事ができなくなるまでの期間とするのが基本的な考え方で、一般的な就労可能な期間として67歳までとされることが多いです。
実際には、これから先、高齢者の雇用に関する考え方がどうなるか分かりませんし、早めにリタイアする人もいるとは思いますが、それは誰にも分からないことなので、基本的にこの67歳という数字が基準とされています。
労働能力喪失期間が短くなるケース
このように、労働能力喪失期間は67歳までとされるのが原則ですが、例外的に、そこまで労働能力の喪失(収入の減少)が続かないのではないかとされる後遺障害が存在します。
典型例が、元々の怪我が打撲や捻挫であった場合の痛みやしびれについて認定される自賠法施行令別表第二第14級9号の「局部に神経症状を残すもの」という後遺障害の場合です。
特に、交通事故でよく見られるむち打ち症で問題となりますが、むち打ち症について後遺障害14級9号が認定された場合、裁判では、労働能力喪失期間は5年とされる傾向にあります。
これは、腰椎捻挫等でも同様です。
このように、労働能力喪失期間が短くされる理由としては、元々14級9号というものが、症状の原因について医学的な証明ができていないものであることに加え、将来的な症状の回復の可能性があり、痛みへの馴れ等によって仕事への影響が軽減されるためなどとされています。
他にも、非器質性の精神障害について後遺障害14級9号が認定された場合も、67歳までではなく、10年などとされることがあります。
将来的な回復の可能性があるのであれば、もはや後遺障害とは呼べないのではないかという気もしますが、かといって、延々と治療費の支払い等を加害者に求めるのも現実的ではないので、このような扱いになっています。
同様に、骨折など、症状の原因がレントゲン画像等で確認できる場合に後遺障害12級13号が認定された場合にも、労働能力喪失期間が若干短くなることがあります。ただし、この場合は14級9号の場合と比較すると、長めの認定がされる傾向にあります。
12級13号の場合には、症状の原因が存在し、今後もそれが変わることはないことも明らかなので、労働能力喪失期間を制限するという考えには疑問が残るところで、裁判上も制限されないケースも見られます。この点は、ご自身の実際の仕事の内容や後遺障害による仕事への支障の程度、収入の減少の有無などを見て、労働能力の低下について改善が見込めないような場合には、就労可能年限まで労働能力喪失期間を認めるように交渉を行う必要があるでしょう。
原則と例外
このように、労働能力喪失期間は、基本が67歳までであり、例外的に短くなるという関係にありますが、実際の実務の現場では、後遺障害の過半数が14級の事案であるため、例外的なはずの労働能力喪失期間が限定される事案がむしろ多数派になっているという現実があります。
その結果、保険会社の担当者も、「労働能力喪失期間は5年とか10年になるのが当たり前で、67歳までとするのは例外的な場合に限る」と考えている節があります。
つまり、原則と例外が逆転してしまったような状況になっています。
しかも、労働能力喪失期間が5年ないし10年となるのか、67歳までとなるのかは、被害者の年齢にもよりますが、賠償金の額に非常に大きな影響を与えます。
そのため、保険会社の担当者も、この点に強くこだわってきますし、交渉をしても容易に折れてきません。
対応方法
保険会社との交渉で労働能力喪失期間が問題となった場合、労働能力喪失期間の基本的な考え方について改めて説明し、裁判実務ではどうなっているのか(仮に裁判になったらどうなるのか)、実際に現在どのような支障が生じているのかを丁寧に説明していく必要があります。
ただ、金額が大きい部分ですので、交渉を尽くしても保険会社が支払いに応じないことも考えられます。その場合は、裁判をすることも検討していくことになります。
いずれにしても、中途半端な知識では説得することは困難ですので、専門家に交渉を依頼することをおすすめします。
〇関連記事
「後遺障害の逸失利益とは」

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「物損は受けられない」の意味
「交通事故に強い」、「交通事故専門」をうたう弁護士のホームページは、最近は数多くありますが、その中に、「物損のみのご相談は受け付けていません」といった注意書きが書かれていることがあります。
弊所でも、現在、物損のみの事案については、基本的にご相談をお受けしておりません。
その理由を結論から申し上げますと、物損で揉めている場合、①人身事故よりも解決までに時間がかかるケースの割合が多く、時間に見合った費用を頂くと被害者にとって経済的メリットがない、②法律的な考え方(裁判所の考え方)に従えば、被害者の要求が認められないことが少なくない(=泣き寝入りになる、納得のいく解決が望めない)ためです。
なぜ、弁護士は物損のみの依頼を受けることができないところが多いのか、この点についてご説明します。
よくある誤解
この点について、「弁護士が儲からないから受けられないのではないか」と思われることがあるようです。
これは、実際にお話を伺っていても、「こんな小さな案件だと受けてもらえないですか?」と聞かれることも多いですし、他の法律事務所の口コミを見ても、「儲からないから雑に扱われた」といったことが書き込まれていることがあるようですので、そういう印象を持たれている方は実際に多いのでしょう。
しかし、これには一部誤解があります。
弁護士の報酬は事件の内容に応じて弁護士が自由に設定することができますので、どんな案件でも弁護士に利益が出るような料金を設定することができます。したがって、弁護士が儲からないから受けられないということはあり得ないともいえます。
例えば、1万円を請求する事案でも、時間や手間がかかると思えば、50万円の費用を設定してもよいわけです(実際に過失割合で争いが生じている場合、裁判をして解決するまでの執務時間が数十時間に及ぶというケースも少なくありません)。
もちろん、1万円を請求するために50万円を払うという人はほとんどいないと思いますので、実際には契約が成立することはないでしょう。儲からないから受けられないということがあったとしても、その意味は、「依頼者が儲からない(利益がない)から受けられない」ということになります。
実際の料金設定
実際の弁護士費用の設定は、上記のように費用を50万円といった定額で定めるというよりも、タイムチャージといって、弁護士の執務時間に応じて報酬を受け取るという方式をとることが多いです。
弁護士特約でもこの方式は認められていて、その場合の費用は1時間当たり2万円(税別)となっています。
また、時間の上限は30時間となっていますが、裁判をしてもその程度で収まることが多いことに加え、事情があれば延長も可能です。
弁護士の側から見れば、タイムチャージ制であれば、事件をお受けしても赤字になるということは通常ありませんので、「少額だから受けられない」ということはないのです。(※事務所によっては、多額の経費により、タイムチャージ制では利益が出ないということもあり得るかもしれません…)
したがって、少なくとも弁護士特約に加入されているケースであれば、費用面の問題からお受けできないということはあまりありません(逆に言うと、弁護士特約に未加入の場合、タイムチャージ制をとると被害者の方にとって経済的にマイナスとなることが多いと思われますので、費用面からお受けすることができません)。
それにもかかわらず、弁護士特約に加入されている場合でも、「物損のみの場合にお受けできない」というのは、費用面以外の理由があるのです。
物損は被害者の納得感が得られにくい
物損で保険会社との間でもめることがあるとすると、代表的なものは以下のものになります。
①過失割合
②車両の時価額
③代車代
④評価損
過失割合
物損で争いが生じている場合、大部分が過失割合に関するものといってよいでしょう。
まず、過失割合については、実務上、相場というものがある程度固まってきているところですので、事故状況自体にあらそいがなく、被害者がこの相場そのものに納得できないという場合、結果を覆すことは困難です。
これに対し、過失割合の前提となる事故状況について、事故の加害者が事実とは違うとんでもないことを言っていることもあるでしょう。しかし、事故状況に争いがある場合、ドライブレコーダーのようなものがなければ、自分の訴えたい事故状況を証明するのは非常に難しいと言わざるを得ません。
どんなに相手が間違ったことを言っていても、こちらの言い分が正しいことを証明できるものがなければ、保険会社や裁判所を説得することはできないのです。
「被害者が泣き寝入りするのはおかしい!」と思われるかもしれません(その感覚は理解できます)。しかし、第三者から見ると、どちらが被害者なのかを知る手がかりがないのです。
厳密には、ドライブレコーダーのようなものがなくても、車の破損状況からおおよその事故状況を証明できることもありますが、そのように都合のよい形で傷が残されていることは多くありません。
交渉で過失割合を修正できる典型例は、基本の過失割合を修正できるような特殊な事情があって、保険会社がそのことを見落としているような場合です。
この点について、被害者の方がよく述べられるのは、ご自身が認識している事実を前提に、「ここにこういう傷がついているということは、事故状況は自分が言っていることが正しいということの証拠だ」というものです。
しかし、ほとんどのケースで、そのような訴えの前提に、ご自身の考え・認識といった証拠では明らかになっていないものが使われており、机上の空論となっています。仮に、決定的な証拠があるのであれば、そこまで争いになっていないはずです。
車両の時価額
車両の時価額で争いになった場合も難しい問題があります。中古車の時価額を知るための参考資料として「レッドブック」というものがありますが、ここに掲載されている金額が正しいものとは限りません。
そこで、レッドブックの価格に納得できない場合、時価額を算出するための資料を被害者側で用意しなければなりません。
多くの場合、インターネット上の売出価格を元に算出し、それによって示談することもありますが、これはあくまでも売出価格であって成約価格ではないという問題や、実際に売られている車は、オプションの有無などに違いがあり、事故車と同種のものとは言い難いものが含まれているという問題があります。
さらに、年式が古い車の場合、レッドブックに掲載すらされておらず、インターネットで検索しても数台しかヒットしないようなこともあり、そのようなケースではデータの数として十分とは言えず、車両の状態にも大きな差があるため、適正額を定めるのは一層難しくなります。
このように車両の適正な時価額を厳密に証明するというのは簡単なことではありません。
特に、年式が10年以上前の車種の場合、実際に買い替えようとすると、交渉を行ったとしても、そこで得られる賠償金では不足するというケースが少なからずあります。
ここで問題となる車両の時価額とは、本人にとって物理的に移動手段として価値があるかどうかではなく、あくまでも第三者から見て経済的な価値があるかどうかです。移動手段としては十分利用できる場合でも、第三者から見ればほとんど価値がないということがあり得ますが、そうした場合、被害者の納得感の得られる賠償を受けることは難しいのです。
代車代
代車代も悩ましい問題があります。被害者からすると、「必要があって借りたのだから賠償されるのは当然」と考えるでしょう。しかし、それほど簡単な話ではありません。
通常の修理可能な案件で、過失割合に争いがないようなケースでは、保険会社のアジャスターが損害確認を行い、修理工場と協定を結んで、速やかに修理が行われ、その間に代車が必要になれば、代車代も支払われます。
保険会社によっては、過失が0:100でなければ払えないというところもありますが、この点は交渉で支払いを受けられるようにすることもそこまで難しくありません。
問題は、上で述べた過失割合や車両の時価額で争いがある場合です。
被害者からすると、「保険会社がおかしいことを言って交渉が長引いているのだから、その間に代車が必要になれば、それを保険会社が支払うのは当然」と思われるでしょう。
しかし、結果的にどちらがおかしいかは裁判をしてみなければ分からないことです。
また、賠償の基本は、被害者に生じた損害の実費清算なので、交渉に時間がかかりそうな場合、修理や買い替えを先行させて、立て替えた費用を後日相手方に清算してもらうことも可能です。
そのため、裁判上(法律上)、過失割合などの交渉に長期間の時間を要したとしても、その間の代車代を相手方に負担させることは困難です(相手方が調査をした後も全損か分損かの報告を怠っていたとか、事務的な遅れがあるような場合は別)。
他にも、高額な車が事故に遭ったとき、同様のグレードで代車を借りたいという気持ちは理解できるのですが、それをした場合、裁判をしても全額が認められないという可能性があります。
時間的な問題
上記の代車代との関係で、被害者がしっかり交渉を行いたい場合(弁護士に依頼するということはそういうケースだと思います)、先に自費で修理代や車の買い替え費用を捻出しなければならないのですが、金額が大きくなることもあり、何より被害者が負担しなければならないことへの抵抗感から、これに納得できないということは多いです。
例えば、「修理代金が100万円になったが、過失割合が0:100か20:80なのかで揉めている」というようなケースがあったとします。
この場合、事案にもよりますが、保険会社が20:80を提案してきているところを交渉で0:100にしていくのは難しいことが多く、刑事記録を取得する、裁判をする、といったことをしなければならないことも少なくありません。
このとき、刑事記録を取得して交渉をしたり、裁判をしている時間に代車を借り続けたとすると、代車代が100%加害者から支払われるということは期待できません。
仮に、相手との間の見解に開きが大きく、その点について一切譲歩できないという場合、修理代や車の買い替えの費用はご自身で立て替えていただく必要があります。
この点は、例えば、被害に遭った車が修理せずに自走できるとか、家族の車を使用するから代車は必要ないといった場合には問題となりません。
しかし、生活に必須となる車が事故に遭って動かせない場合、上記のとおり修理や車の買い替えを自費で行うことを覚悟していただく必要があるのです。
弊所で物損の依頼を受けられないことが多い理由としては、この点が大きいです。
弁護士にご依頼いただいて交渉を行う場合、状況にもよりますが、交渉に時間がかかることもあります。また、できるだけ時間のロスを少なくするために1つの事案への対応を最優先するとなると、他の事案への対応が遅れることにもなりかねません。
したがって、物損については、費用を他の事案よりも多めにいただく必要があるのですが(基本的に弁護士特約ではカバーしきれません)、そうすると結局被害者にとって不利益となりますので、端的に「物損については依頼を受けられない」としているのです。
評価損
これは、あまり争いになることは多くないのですが、修理をしても、事故車扱いとなって売却価格が下がってしまうことを損害として相手に請求するものです。
最近では、残価設定ローンにより、車の買取りが予定されていることも多く、価格の下落が現実的にマイナスとなるため、問題となることが増えています。
この点については、裁判上(法律上)の取り扱いは厳しく、外国車や国産の高級車であり、初度登録から間もない事故で、損傷の程度も一定以上のものであるといった条件をクリアしていなければ認められない傾向にあります。
実際、評価損は、事故車を買い替えるときにはじめて経済的なマイナスが生じるのであり、それがいつになるか分からず、したがって、このマイナスの額がいくらになるかも分かりません。廃車になるまで乗り続けるという人もいると思いますが、そうした場合、評価損が表面化することはありません。
したがって、評価損は当然に認められるものではないのですが、この点でも納得が得られないことが多いでしょう。
まとめ
以上のように、物損の場合、被害者にとって納得が得られないケースが多く、「物損のみは受けられない」という場合、これがその理由となっていることが多いのです。
既に述べたように、料金面では、弁護士特約を利用するなどすれば、問題なく依頼をお受けすることは可能です。
しかし、せっかくご依頼いただいても、納得の得られない結果に終わる可能性が高いのだとすると、何のために弁護士に依頼するのか分かりません。
しかも、その理由が、法律的な考え方や、時価額の問題等そもそも完璧な資料が存在していないという、弁護士の努力では如何ともしがたい部分による場合が多いので、費用面で問題がなかったとしても、どうしても初めからお断りするケースが多くなってしまうのです。
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交通事故の納得できないルール
交通事故事件で弁護士の対応が必要となるということは、加害者側の保険会社との間で何かしら争いあるのが通常です。
争いがあるパターンの1つは、被害者か保険会社のいずれかが法律上のルールや相場をよく理解していないというものです。
保険会社の理解が不足している場合、法律上のルールや相場を理解してもらうことで示談が成立する可能性が高まりますので、法律の条文を示したり過去の事例を示すことで交渉します。
問題となるのは被害者側が法律上のルールや相場に納得できないという場合です。
率直に申し上げて、法律のルールは、必ずしも交通事故の被害者にとって優しいものではありません。
様々な場面でそうしたことがあるのですが、これまでの経験から、ほとんどの問題の根本的な原因は、①被害者が自分の言い分を証明しなければならないこと、②相当因果関係の範囲外は賠償されないこと、の2点であると思います。
そこで、今回はこれらについて解説します。
証明責任
法律の世界では、一方当事者に「証明責任」があるというルールがあります。
証明責任とは、専門的には、法律が適用されるために必要となる事実について、真偽不明の状態となった場合に、その法律の適用によって生じる効果を得られないという当事者の負担のことをいいます。
これだと分かりにくいので、交通事故の場合に即して解説します。
交通事故の場合
まず、交通事故の場合、民法709条や自賠法3条(自賠法3条は人身事故のみ)といった条文があることで、加害者に対して法律的に金銭の請求が可能となっています。
そのため、被害者としては、民法709条に書かれている条件を満たしているかどうかが非常に重要となります。
では、交通事故の場合、ここでいう条件がどのようなものかというと次のようなものです。
①相手が自動車事故を起こして自分が被害者となったこと
②自分に何らか損害が生じたことと、損害の金額
③自分に生じた損害と事故との因果関係
④相手に過失があること
これらについて「証明責任がある」ということは、これらを全て証明しなければ、民法709条の適用が認められず、加害者に対して金銭の請求ができないということになります。
そして、これらの「証明責任」は、被害者にあるとされています。
つまり、被害者には、上記の点について自分で証明しなければならないという法律上のルールがあります。
※④の相手の過失は、人身事故の場合、自賠法3条により相手が証明しなければならないのですが、実際に問題となるのは過失があるかないか(0か100か)ではなく、過失の割合がどの辺りなのかであり、細かい事故状況と過失の割合に争いがあれば、見解の相違がある事故状況については、結局被害者側が証明しなければなりません。
何で被害者が証明しなければならないのか
「自分は被害者なのに、なぜ資料を出したりしないといけないのか」といって不満を持つ人もいるでしょう。その気持ちは分かります。
しかし、いくら被害者だからといっても、加害者側が言い値で賠償しなければならないとするのはさすがに行き過ぎでしょう。
過大請求とまで言わなくても、被害者が計算の仕方を誤解している可能性もありますし、少なくとも加害者側でチェックをする必要があり、そうすると、最低限の資料は被害者が提出する必要があります。
もっと言うと、当たり屋に車をぶつけられたような場合でも、相手が「自分が被害者だ」と訴えてきた場合、何の証明もなく支払いに応じなければならない、もしくは、自分に何の落ち度もないことを証明しなければならないということになってしまいます。ドライブレコーダーもつけていないというような場合、それを証明するのは困難です。
このような事情からすれば、被害者側が損害の発生や額などを証明しなければならないというルールがあるのはやむ得ないというほかありません。
したがって、これを受け入れられないといって証明を怠れば、賠償も受けられないということになります。
また、「自分はもらい事故の被害者なのに」という方もいますが、もらい事故かどうかはこのルールとの関係では意味がありません。過失割合が5:5であろうと0:10であろうと、被害者側で必要な証拠を集める必要があります。
証明の程度
では、証明とはどの程度のものをいうのか?
法律上、明確な決まりがあるわけではありませんが、基本的には、第三者に確信を抱かせる程度の証明は必要とされています。
「被害者の言っていることがおそらく正しいだろう」という程度では足りず、「被害者の言っていることでほぼ間違いない」と言えるような、より強い証拠を出す必要があるのです。
このような証拠が出せない場合は、被害者側の請求は認められないということになります(多少の例外はありますが、基本的に認められないと考えた方がよいです)。
この場合、たしかに事故のせいで損害が発生しているのに、証拠が足りないため請求が認められないという事態に陥ります。
これが、証拠が足りないという問題です。
こういった事態を避けるためにできることですが、過失割合の関係でいうと、車にドライブレコーダーを取り付けておく、それがない場合、最低でも事故直後の車両の位置関係が分かるように写真を撮っておく、目撃者がいる場合は連絡先を聞いておくといったことが考えられます。
また、人身の関係では、症状の原因がレントゲンやCTでは分からない場合にはMRI検査を受けておく、少しでも気になる症状があれば、早めに受診して医師に症状を漏らさず伝えるといったことが必要になってきます。
他に、収入の関係では、自営業で確定申告をしていないような場合、休業損害の請求が認められる可能性は非常に低くなります。
このような対応をとらず、後になって証明の問題が出てきた場合、弁護士が介入したとしても、こちらの言い分を認めさせるのは困難な場合が多いです。
交通事故の被害に遭って大変な状態だとは思いますが、この証明責任のルールは非常に厳しいものであることを頭に入れておく必要があります。
相当因果関係
証明の問題と並んで、被害者の納得が得られないのが、因果関係のルールです。
交通事故の場合の因果関係とは、「事故がなければこうならなかった」といっただけでは足りず、「事故が起きれば、通常はそういう損害が発生するだろう」というものでならないというルールがあります。これを相当因果関係といいます。
逆に言うと、他の案件では生じないような自分に特有の損害が生じたような場合や、通常のケースと比較して過大な損害が発生しているような場合は、賠償の対象外となる可能性があります。
これは、先ほどの証明の問題とは異なり、「損害が発生していることを証明できたとしても認められないもの」になります。
典型例は、会社の役員が事故に遭って、重要な商談に参加できなくなった結果、会社に莫大な損害が生じたといったもので、そのような損害まで加害者は賠償しなくても良いとされています。
このように賠償の範囲が限定されている理由は、「損害の公平な分担」にあるなどとされていますが、被害者にとっては納得できるものではないでしょう。
しかし、この相当因果関係の考え方は、交通事故以外の損害賠償全般に用いられているものであり、誰しも、過失で他人に損害を発生させてしまうことはあり得る中で、被害者に一方的にその損害を負担させてしまうと、安全に取引や生活を行うことができなくなってしまいます。
そのため、相当因果関係の基本的な考え方についても、受け入れざるを得ないのが現状です。
ただし、何をもって「相当」といえるのかについては、判然としない部分もありますので、相手から「因果関係がない」と言われても、それが正しいとは限りません。その場合、交渉が必要となります。
この問題は、証明責任のルール以上に被害者としては納得できない部分ではないかと思います。証拠がないから認められないというのは、感情的にはともかく、理屈の上では理解しやすいのに対して、「事故がなければそんなことにならなかったことが証拠から明らかなのに請求が認められない」ということは、理屈の上でも納得しにくいと思われるからです。
まとめ
以上のように、保険会社の対応以前に、法律上のルールの関係で、被害者が納得できない部分が出てくる場合があります。
そういう場合、ルール自体がおかしいことを指摘しても、保険会社は応じませんし、裁判所の判断も変わらないでしょう。
被害者としては、ルールについては受け入れた上で、ルールの中で最大限できることを考えるという風に意識を切り替える必要があります。
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特に、後遺障害が残る事故や死亡事故では、弁護士が交渉することで賠償金が大幅に増額されるケースも少なくありません。
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保険会社とのやり取りで生じる精神的なご負担も、私たちが代理人となることで軽減できます。
「保険会社から提示された金額が妥当か知りたい」という方のために、賠償金額の無料診断サービスも行っております。
ご相談は千葉県全域に対応しており、後遺症に関するお悩みは全国からの電話相談も可能です。
ご来所が難しい場合でも、まずはお気軽にお問い合わせください。