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肩関節可動域制限の後遺症で逸失利益を540万円から1260万円に増額した事案

2024-10-29

事案の概要

 本件は、歩行者が見通しの悪い道路を横断しようとしたところ、右側からきたバイクに衝突されたというのものです。

 被害者は、左上腕骨近位端骨折などの傷害を負いました。

 本件は加害者が無保険という問題があったため、自身で加入されていた人身傷害保険によって治療費などの補償を受けていましたが、左上腕骨近位端骨折後の左肩関節機能障害等が後遺障害として残存しました。

 人身傷害保険会社の事前認定により、後遺障害12級6号が認定されましたが、金額に疑問を持たれたため、弊所にご相談いただきました。

 

弁護士の活動

後遺障害認定

 本件は、人身傷害保険の事案でしたが、人身傷害保険の場合でも、事前認定により後遺障害等級の認定を受けることができます。

 本件では、肩関節機能障害が「1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」として自賠法施行令別表第二第12級6号が認定されました。

 他に左肩痛も後遺症として残っていましたが、これは機能障害と通常派生する関係にあるため、機能障害の認定に含まれて評価されることになります。

保険会社との交渉

 人身傷害保険の場合、慰謝料の計算方法は契約(約款)で定められていますので、一般の交通事故の事案のように、保険会社と交渉して増額させることはできません。

 しかし、後遺障害逸失利益については、後遺障害の内容や被害者の仕事の内容、実際の減収の有無などによって増減しうるので、保険会社との間で見解の相違が生じることがあります。

 本件では、被害者のデスクワークが中心という仕事の内容で実際に収入の減少も見受けられなかったため、肩関節機能障害による収入への影響がほとんどないのではないかという点が問題とされ、かなり低い金額が提示されていました。

 弁護士が介入し、交渉を行ったところ、若干の増額はみられましたが、想定していた金額を大幅に下回ったため、やむを得ず人身傷害保険会社に対して訴訟を行うこととなりました。

 また、訴訟提起に先立って、自賠責保険の被害者請求を行い、最低限の保険金を確保しておきました。

裁判所での和解

 裁判を行った場合、交渉の場合よりも厳格に説明や証明を求められることになります。

 本件のような後遺障害の逸失利益が問題となる場合、どのような形で仕事に支障があり、現実に損害が発生しているのかを丁寧に説明する必要があります。

 様々な主張・立証を尽くした結果、最終的には、後遺障害逸失利益を当初の540万円から1260万円に大幅に増額させた形で保険会社と和解することができました。

ポイント

 後遺障害逸失利益は、後遺症によって仕事に支障が生じ、その結果収入が下がってしまうことの損害を補填するものです。

 したがって、減収が生じていることが大前提となります。

 ところが、(特に後遺障害の程度が比較的軽微な場合)後遺症があっても仕事は問題なくこなしているということが少なくありません。

 そこで、減収がない場合の後遺障害逸失利益をどう考えるか、ということが、交通事故事案の実務上、主要なテーマとしてこれまでに多くの議論が行われてきました。

 これを考える場合、後遺障害逸失利益というのが、どんな損害を補填しようとするものなのかを基本に立ち返って考え、過去の裁判ではどのような点が考慮されて判断されているのかを吟味する必要があります。

 そうすることで、実際の裁判で何を主張しなければいけないのかが見えてきますし、弁護士の視点でいうと、依頼人からどのような事情を聴き出さなければいけないのかが分かってきます。

 この点は、弁護士によってかなり違いが出てくる場面ではないかと思います。

 当事務所では、人身傷害保険の場合でも、後遺障害逸失利益の増額交渉をお受けしておりますので、金額にご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

 

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減収がなくても後遺障害逸失利益の請求はできる

鎖骨の変形障害の後遺症で逸失利益を270万円から660万円に増額した事案

2024-04-02

事案の概要

 本件は、視界が悪い道路をバイクで走行中の自損事故で、被害者は、鎖骨骨折、肋骨骨折などの傷害を負いました。

 本件は加害者がいる事故ではないため、自身で加入されていた人身傷害保険によって治療費などの補償を受けていましたが、鎖骨骨折部は元通りにはならず、変形障害を残すこととなりました。

弁護士の活動

後遺障害認定の結果

 本件は、加害者がいない事故で、加害者の自賠責保険を使うことはできませんが、人身傷害保険を使用する場合でも、自賠責保険と同様に後遺障害等級の認定が行われます。

 本件の場合、認定された後遺障害等級は、自賠法施行令別表第二第12級5号の「鎖骨に著しい変形を残すもの」でした。

 他に、肩関節可動域制限と骨折部の疼痛などもありましたが、可動域制限については認定の対象となる数値までわずかに足りず、疼痛は、上記変形障害から派生する障害にあたるため、変形障害に含まれて評価される(別途評価はしない)ことになりました。

保険会社との交渉

 人身傷害保険の場合、慰謝料の計算方法は契約(約款)で定められていますので、一般の交通事故の事案のように、保険会社と交渉して増額させることはできません。

 しかし、後遺障害等級が認定された場合、後遺障害逸失利益の計算が、人身傷害保険の契約に照らしても妥当ではないことが少なからずあります。

 本件でも、弁護士が見て、後遺障害逸失利益の計算が正しく行われていないと考えられましたので、この点の交渉を行いました。

 その結果、逸失利益の額が2倍以上となって保険金の支払を受けることができました。

ポイント

 後遺障害逸失利益の増額交渉は、加害者がいる場合に行う任意保険会社との交渉とほとんど変わりません。基礎収入の設定が人身傷害保険の方が有利になっていることはありますが、労働能力喪失率や労働能力喪失期間といった金額に大きく影響する部分についての考え方は共通しています。

 本件の場合、鎖骨の変形障害という、裁判実務上も後遺障害逸失利益が生じるかどうかに見解の違いがあるようなケースで、保険会社からも、「通常労働能力の喪失は想定されない」などとして、金額を著しく少なく認定されていました。

 しかし、本件の場合、たしかに、一見すると後遺障害の対象となったのは鎖骨の変形障害のみに見えるのですが、その他に骨折部の痛みがあり、可動域制限についても、等級認定にはわずかに届かなかったものの、相当程度生じていたほか、現実に事故前に行っていた仕事を辞めざるを得なくなるほどの生活に支障も生じていましたので、適切に評価されていないことは明らかでした。

 そこで、弁護士が、参考文献やカルテの記載内容を指摘しつつ、逸失利益の存在を丁寧に説明していった結果、後遺障害逸失利益が当初の2倍以上とすることで合意に至ることができました。

 鎖骨の変形障害は、後遺障害の中でも逸失利益の算定が難しいケースではありますが、関連する専門書を読みこみ、どういった議論があるのかを熟知した上で、裁判の傾向を掴んでいれば、どの辺りが妥当な金額なのかを知ることができ、それによって交渉を有利に進めていくことができます。

 当事務所では、人身傷害保険の場合でも、後遺障害逸失利益の増額交渉をお受けしておりますので、金額にご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせください。

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「鎖骨骨折による後遺症」

【頚椎・腰椎捻挫】比較的軽微な事故で後遺障害14級が認定されたケース

2024-03-11

事案の概要

 事故の状況は、T字路の交差点を直進中、右側の後方から右折してきた車が、被害車両の右側面(後方)に衝突してきたというものでした。

 被害者は、首と腰からくる痛みやしびれを訴えており、後遺障害認定に進む段階で依頼となりました。

弁護士の活動

自賠責保険の後遺障害認定

 本件は、後遺障害の被害者請求を行うところから開始することとなりましたので、まずは保険会社から診断書・診療報酬明細書といった資料を取り付けると共に、医療機関からも画像資料の提供を受けて自賠責保険の後遺障害認定手続きに進むことになりました。

 その結果、首・腰ともに後遺障害14級(併合14級)の認定を受けることができました。

保険会社との交渉

 後遺障害の認定結果を踏まえて相手の保険会社と裁判基準に基づいて交渉を行ったところ、家事の休業損害を70万円弱、後遺障害逸失利益は労働能力喪失率5%、労働能力喪失期間5年という裁判の相場に従い、慰謝料についても裁判基準の9割程度で示談をすることとなりました。

 本件は過失相殺がある事案でしたので、裁判をすることで増額の可能性もあったのですが、家事の休業損害の額が大きかったため、示談とすることとなりました。

ポイント

 本件は、後遺障害の認定が受けることができたのですが、弁護士が最初に資料を確認した段階では、認定は厳しいのではないかという印象を受けました。

 というのも、事故状況は側面衝突だったのですが、修理費用の額は約30万円と比較的低額で(側面衝突の場合、傷の範囲が複数にまたがって修理費用が高額になることが多い)、事故車両の写真を見ても、事故の衝撃は大きいようには見えなかったためです。

 また、治療経過を見ても、特筆すべき事情は見受けられませんでした。

 近年の頚椎捻挫・腰椎捻挫の後遺障害認定では、事故状況が重視されていると考えられていますので、認定は難しいのではないかと思われたのです。

 さらに、後遺障害診断書では、ジャクソンテスト、スパーリングテスト、SLRテストといった神経症状誘発テストの結果はいずれも陰性となっており、後遺障害診断書上の記載でプラスとなる要素はありませんでした。

 それでも、実際に後遺障害認定が受けられたのは、被害者の年齢が60歳を超えており、MRI上、腰椎について神経根の圧迫のようなものが確認されたことが大きかったではないかと思います。

 というのも、このような年齢・所見からすると、そうでない若い健常者と比較して事故によって負った怪我が完治することが難しくなり、後遺症として痛みなどが残ったとしてもおかしくはないからです。

 なお、後遺障害認定の理由が記載された通知書では、実際に何が決定打となったのかを見極めることができないので、上記はあくまでも他の事例と比較した推測にはなりますが、MRI所見の重要性は一般的に指摘されているところであり、今回の認定理由の中でも神経根の圧迫は指摘されていました。

 このように、今回のケースでも、後遺障害14級が認定されるべき事情は存在していましたが、それは通院回数や後遺障害診断書の記載のような被害者や医師にコントロールできるようなものではなく、MRI画像という誰が見ても明らかなような客観的な証拠でした(他覚的所見といいます)。

 本件でも、改めて後遺障害認定で重要なのは客観的な証拠であると感じた次第です。

整形外科の通院日数がわずか9日でむちうちの後遺障害14級認定

2024-01-23

事案の概要

 事故の状況は、被害者が信号機のある交差点をバイクで直進していたところ、対向の右折車に衝突されたというものです。

 被害者は、外傷性頚部症候群(むちうち)等の傷害を負うことになりました。

 被害者は整形外科や整骨院に通院して治療を続けていましたが、事故から7か月弱が経過したところで相手の保険会社から治療費の支払いを打ち切られたため、ご相談となりました。

弁護士の活動

自賠責保険の後遺障害認定

 本件は、事故から約7か月が経過しており、治療によって完治することは期待できない状態であったため、まずは後遺障害について自賠責保険の被害者請求を行うこととしました。

 その結果、首や上腕の痛みについて、後遺障害14級9号の認定を受けることができました。

保険会社との交渉

 後遺障害の認定結果を踏まえて相手の保険会社と裁判基準に基づいて交渉を行ったところ、治療費を除いて約320万円(被害者請求で獲得した後遺障害分の自賠責保険金を含む)を獲得することができました。

ポイント

 上記の流れ自体は、典型的なむち打ち症等に見られる経過で、特に特筆すべきところはありません。

 ただ、このケースでは、通常と異なる点がありました。

 それは、整形外科の通院が極端に少なかったということです。

 この方の場合、整形外科の通院は月に1回程度と極端に少なく、合計で9日しかありませんでした。これに対して、整骨院への通院は多く、合計が130日を超えていました。

 これまでの経験上、むち打ち症のような他覚的所見がない神経症状については、整形外科にしっかりと通院した人でないと、いくら整骨院へ通院していても後遺障害認定は受けられないという印象を持っていましたので、今回のケースはいい意味で驚きでした。

 さらに、首の痛みについては、後遺障害診断書上、「時々痛む」と記載されていて、後遺障害の認定基準にある、「ほとんど常時疼痛を残すもの」という条件を満たしていないため、後遺障害が認定される可能性はかなり低いように見受けられました。

 これに対してプラスの事情としては、通院中に撮影されたMRIの画像を見ると、私は読影の専門家ではありませんが、ヘルニアのようなものと、神経根が圧迫されているような状態は確認することができました。

 その他、本件はよくある自動車搭乗中の追突事故ではなく、自動車とバイクの衝突事故であり、身体への衝撃が強いと思われるということも特徴として挙げられるでしょう。

 本件は、後遺障害診断書の末尾の「今後の緩解の見通し」欄について多少の修正をお願いしたほかは、弁護士が後遺障害認定のために特別な活動をしたというわけではありません(示談交渉の場面で全力を尽くしたことは言うまでもありません)。

 これらの事情からすると、やはり後遺障害の認定で重視されているのは、事故の状況やMRI等の画像といった客観的な資料なのだと改めて思いました。

 被害者請求の審査の中での「事故状況」という要素は、最近の審査の中で被害車両に関する資料の提出が必須になったのことですので(自賠責保険会社の担当者から聞きました)、特に重視されているものと考えられます。

 これに対し、医師に働きかけて後遺障害診断書を有利に書いてもらう、通院の日数を稼いで重症であるかのようにアピールするといった小手先の手法は、書く人や被害者の行動次第でいくらでもコントロールできるもので簡単に鵜呑みにすることはできませんので、ますます通じなくなってきているのではないかと思います。

 つまり、「これだけ大きな事故で、症状が長期化するような身体的な特徴があるのだから、後遺症が残ることも医学的な説明がつく」というような本人の自己申告以外の事情が必要だと考えられます。

 本ホームページでは再三述べていることですが、後遺障害の認定は、被害者側で狙って取りにいくようなものではないのです。

異議申立で【非該当→後遺障害14級】(むちうち等)となり約300万円の賠償

2023-11-08

事案の概要

 事故の状況は、被害者の車が信号待ちで停車していたところ、後方から加害者の車に追突されたという典型的な追突の交通事故です。

 被害者は、外傷性頚部症候群(むちうち)、腰椎捻挫、左膝関節捻挫の傷害を負うことになりました。

 被害者は整形外科に通院して治療を続けていましたが、事故から6か月弱が経過したところで相手の保険会社から治療費の支払い打ち切りの話が出たため、ご相談となりました。

弁護士の活動

打ち切りの関係

 骨折等がない打撲・捻挫の場合、6か月程度経過してくると、症状固定といって、痛みなどの症状が治療によってもなくなる見込みがなくなってくるので、その場合、治療費の支払いはストップします。

 本件の場合、治療打ち切りの時点で、医師から「もう少し通院すれば良くなる」という話が出ていたため、症状固定に至っていない可能性があったため、ひとまず通院を続けていただき、改善が見られるか様子を見てもらうことにしました。

 しかし、その後も症状の改善が見られなかったため、一旦症状固定を前提として医師に後遺障害診断書を作成してもらうことにしました。

自賠責保険の後遺障害認定

 作成された後遺障害診断書を元に、弁護士が自賠責保険の被害者請求を行いましたが、残念ながら「自賠責保険の後遺障害には該当しない」という回答が来ました。

 しかし、保険会社からの支払いが出ないにもかかわらず、被害者は痛みの緩和の必要性から通院を継続しており、相当に症状が強く残っていて、生活にも支障が生じていることがうかがえました。そこで、認定結果に対して異議申立ての手続を行うことにしました。

異議申立て手続

 本件は、被害車両の写真や修理費用の額からすると、それほど被害車両の破損が大きくなく、事故状況だけからすると後遺症の発生について説得力を欠くものでした。

 ただ、自費になっても通院を継続しなければ生活が維持できないという被害者の症状固定後の態度は真摯なものでしたし、後遺障害診断書の記載を見ても、医師は今後治る見込みはないと断言していました。

 また、MRI画像を見るとかなり強くヘルニアが出ているところがあり、素人目ではありますが、神経根を圧迫しているように見えました。

 そこで、前回の後遺障害診断以降の通院を踏まえて後遺障害診断書を新たに作成してもらうとともに、意見書もあわせて作成を依頼して診療録も取り付け、MRI検査の結果も踏まえて弁護士が異議申立書を作成することで異議申立てを行いました。

 その結果、各後遺症について後遺障害14級9号が認定されることになりました。

保険会社との交渉

 後遺障害の認定結果を踏まえて相手の保険会社と裁判基準に基づいて交渉を行ったところ、治療費を除いて約300万円(被害者請求で獲得した後遺障害分の自賠責保険金を含む)を獲得することができました。

ポイント

 本件は異議申立てに成功した事例ですが、ポイントは被害者が自費でも通院を続けなければならないくらいに痛みを訴えていて(頻度も多かったです)、症状も一貫していたということにあったと思います。また、医師の意見も被害者に有利なものだったため、それを書面かすることができたのも大きかったです。

 異議申立ては簡単に成功するものではなく、アプローチの仕方も事案によって異なりますが、その辺りは事案の全体を見て、弁護士が判断していくことになります。

 本件は、異議申立てが成功したことで、治療打ち切り後の通院を含めた後遺症部分についての補填が受けられたため、良い解決になったと思います。

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後遺障害認定の異議申立て

てんかん症状で裁判により【自賠責非該当→後遺障害9級10号】2400万円で和解

2023-10-20

はじめに

 本件は非常に特殊な事例であり、一般的な交通事故の事案とは異なるのですが、弁護士が交通事故事案を取り扱っていくために必要となる知識・経験・取り組み方などを総動員した結果、良い解決に至ることができた事例なのでご紹介します。

事案の概要

 本件は、交差点での自転車と車の出合い頭事故で、被害者は事故当時小学生でしたが、頭を打つ怪我をして軽度の脳挫傷との診断を受けました。事故後の通院は比較的短期間であったため、弁護士に依頼することなく示談が成立していました。

 ところが、事故から8年近くが経過した時点で、突然てんかん発作を発症し、病院に救急搬送されることになりました。

 その後も何度かてんかん発作を起こす中で、初回の発作から1年ほどが経過したところで、MRI検査を行ったところ、交通事故で頭を打ったところと同じ場所に陳旧性(古い傷)の脳挫傷の形跡が見られ、EEG(脳波計)による検査の結果、てんかんと診断されることになりました。

 その後、服薬によりてんかん発作を抑えていましたが、完全にてんかん発作がなくなることはなく、医師からは事故との因果関係は否定できないとの見解も示されていたため、弊所へのご相談となりました。この時点で事故から19年以上が経過していました。

当事務所の活動

証拠の収集

 加害者側の任意保険会社と交渉しようにも、自賠責保険で後遺障害認定が出ていなければ、任意保険会社が後遺傷害部分の支払いに応じることはまずありません。

 そこで、まずは自賠責保険の後遺障害認定を受けるべく、資料を集めることにしましたが、ここで問題が生じました。

 通常、交通事故の示談交渉について依頼を受けると、任意保険会社が保有している診断書・診療報酬明細書といった医療機関が作成した資料を取り寄せ、これによって被害者がどのような怪我を負ったのか、どういった治療経過を辿ったのかを確認することになります。

 ところが、本件の場合、事故から20年近くが経過していたため、既に任意保険会社には当時の記録が残っていませんでした。

 同様に、自賠責保険会社にも記録は残っていませんでした。

 そこで、事故当時かかっていた医療機関の方に記録が残っていないのか確認することにしました。

 通常、カルテ(診療録)は5年間は保管されることになりますが、医療機関によって自主的にそれ以上の期間保管していることもあります。

 本件でも医療機関に記録が保管されていることに期待したのですが、やはり診療から20年近くが経過していたため、記録は残っていないということでした。

 現在であれば、様々な記録がデータ化されるようになっていますので、古い記録でも残っている可能性があったと思いますが、20年近く前だとそうしたことも広まっていませんでしたので、やむを得ないことだったと思います。

自賠責保険の後遺障害認定

 結局、事故当時の診療の記録はなかったので、現在のかかりつけの医療機関から診療録や診断書を取り付けることにして(これは診療継続中だったため、古い記録も含めて残っていました)、それをもって自賠責保険の被害者請求(後遺障害申請)を行うことにしました。

 しかし、結果は後遺障害非該当となりました。

 理由は、端的に言うと、事故当時からてんかん発作までの経過に関する記録がなければ、現在のてんかん発作が事故によって起きたものか分からないからというものでした。

 その一方で、MRI検査で脳挫傷によるものと思われる信号変化が見られることまでは認められていました。

除斥期間による期間制限

本件は、後遺障害の申請結果が出た時点で、除斥期間20年が経過する間近でしたので、裁判によって賠償金の請求を行うことになりました。

裁判での論点

 本件の主な争点は、いうまでもなく、てんかん発作が20年前の事故によって生じたものかどうかでした。

てんかんの特性

 この点を考えるにあたっては、てんかん発作の特性を知っておく必要があります。

 てんかん発作の難しいところは、てんかんが外傷以外でも、遺伝子異常や感染症、代謝異常症、免疫性疾患によって発症することがあるほか、現代の医学では原因不明とされることも多いというところにあります。

 さらに、てんかん発作が外傷性のものであることを証明するにしても、客観的所見である脳波所見のみで外傷性によるものと判断することはできないとされているため、そもそも厳密な証明はできない病態ということがいえます。

 この点について、労災保険ではWalkerの6項目という基準が参考にされていますが、曖昧な部分があり、この要件を満たしていないからといって外傷性であることが否定されるわけでもありません(本件の場合、脳に対する衝撃の強さが不明であり、開放性外傷ではなかったので、要件を満たしているかは微妙でした)。

主治医との面談・意見書の作成

 このような中で、主治医が事故とてんかん発作の関係性を示唆する発言をしていたところから、まずは主治医に話を聞くことにしました。

 その結果、やはり上記のてんかんの特性から、今回のてんかん発作が事故によって起きたものであると断言することはできないという回答でしたが、他方で、事故によるものであることも否定はできないということでしたので、こちらで用意したフォーマットにあわせて、率直に意見を述べてもらうことにしました。

裁判所の判断と和解

 主治医の意見も必ずしも事故とてんかんとの因果関係を認めるものではなかったため、裁判所としても簡単には加害者の責任を認めてくれませんでした。

 この原因は、明らかに証拠の散逸による不足にあり、事故当時のMRI画像や当時の診療録などがあれば、問題なくこちらの請求が認められたかもしれません。

 しかし、これが失われていたことは既に述べた通りで、この点はどうすることもできませんでした。

 また、てんかんが外傷以外の原因で発症することもあるため、今回の場合も、事故から長期間が空いていたことも加味すれば、事故以外の原因で発症したことを完全に否定することはできませんでした。

 裁判所は、証拠によって証明できた事実しか認定してくれませんが、この証明の程度は、一般的に裁判官に確信を抱かせる程度のものが必要とされていて、高いハードルが設定されています。

 そこで、法律的な観点から、この証明のハードルを下げることができないかを検討しました。

 様々な文献を調査することで、本件に応用できそうなものが見つかったため、これを裁判所に示しました。

 その結果、裁判所の主導により、加害者側との間で2400万円の支払いについて和解が成立することとなりました。

ポイント

 本件は、多くのポイントがありますが、まず、てんかんに関する最低限の知識が必要となり、専門書を参照しながら主張を組み立てる必要がありました。

 また、主治医の判断は非常に重要なものですので、実際に主治医がどのように考えているのか、それを受けて本件の見通しがどうなるのかを検討する必要がありました。

 さらに、それらを踏まえて、証拠が不足しているというような場合に、どのような法律的な主張をすれば、こちら側の請求が認められる余地があるのかを検討する必要があり、この点はまさに弁護士としての能力が問われる部分だったと思います。

 総合的に見て、交通事故を取り扱う弁護士に必要とされる様々なものを最大限活用する必要がある難しい事案でしたが、よい解決に導くことができて良かったと思います。

後遺障害14級【頚椎捻挫・会社員】で休業損害が比較的大きい事案

2023-10-05

事案の概要

 事故状況は、被害者が自転車で道路の左側を走行していたところ、路肩に停車していた加害車両が突然発進し、被害者の乗る自転車に後方から追突したというもので、被害者は転倒し、腰部や肩の打撲、頚椎捻挫の傷害を負いました。

 その後、被害者は通院を継続していましたが、事故から約7か月が経過した時点で保険会社から治療の打ち切りを告げられたため、ご依頼となりました。

当事務所の活動

治療の打ち切り

 まず、治療の打ち切りについては、弁護士から主治医に対して意見を照会するところから始めました。その結果、医師からはまだ症状の改善が続いており症状固定には至っていないとの回答を得られました。

 この点については、一旦打ち切りになった治療費の支払いが再開するには至らなかったものの、後日行った示談交渉の際に考慮されることになりました。

後遺障害認定

 その後、通院を継続したものの完治する見込みが薄くなったため、後遺障害の被害者請求を行うことになりました。

 後遺障害診断書見ると、「症状固定日」の記載が保険会社による治療の打ち切り日となっていましたが、主治医の見解によればそれは妥当ではないため、症状の改善が見込めなくなった日に訂正をしてもらいました。

 そして、申請の結果、後遺障害14級9号が認定されることになりました。

示談交渉

 示談交渉では、まず、症状固定時期(どこまで治療費を支払うか)が問題となりました。

 相手の保険会社が治療費を打ち切った、事故から7か月というタイミングは、一般的な頚椎捻挫の症状固定時期としてはおかしなところはありません。

 ただ、本件の場合、主治医が明確に症状固定に至っていないということを真摯に答えてくれていたので、その意見書を元に交渉を行いました。

 その結果、症状固定時期そのものを変更することはなかったものの、慰謝料部分で通常の金額に加算した額での支払いが認められることになったほか、休業損害の算定は後述のようにこちらの主張に沿ったものとなりました。

 次に、本件は、休業損害の額が比較的大きいという問題がありました。

 もっとも、この点については、休みが長期にわたって続いたというような事案ではなく、通院時に早退をしていたところ、通院期間が比較的長期になった結果、トータルの休業時間が長くなったというものでした。

 この点は、現実に収入の減少が生じている以上、妥協は難しいところでしたので、強く交渉を行った結果、治療の打ち切り後の分も含めて請求額どおり認められました。

 後遺障害部分については、逸失利益は裁判の相場に基づいて労働能力喪失期間を5年として計算を行い、慰謝料は裁判基準の90%を超える額で示談をすることができました。

 その結果、自賠責保険金75万円と合算して約560万円を獲得することができました。

 金額がやや大きいのは、休業損害が190万円となったためです。

ポイント

 本件は、症状固定時期と休業損害が特にポイントとなりましたが、どの辺りで示談をするべきかは、むち打ち症の一般的な治療期間がどうなっているのか、症状固定とはどういう概念なのか、主治医の意見はどの程度尊重されるべきなのかといったことを考えて行う必要があります。

 今回は、症状固定時期自体を延長するには至りませんでしたが、その分慰謝料額で調整をすることができたので、示談としてはいい形がとれたのではないかと思います。

 その際に主治医の意見書が重要なポイントになったことはいうまでもありません。

 休業損害についても同様に、むち打ち症の場合にどの程度の休業が一般的に必要になるのかを参考にしつつ、被害者の職業に照らして妥当な金額を検討する必要があります。

 今回は、通院のための早退でしたので、この問題が正面から問題となったわけではありませんが、金額的には大きくなったので交渉が必要となりました。

 この点も、単純に金額だけで見るのではなく、休業損害が大きくなった具体的な事情を考える必要があります。

後遺障害14級【足指骨折・主婦】裁判で5年を超える後遺障害逸失利益を獲得

2023-08-23

事案の概要

 事故状況は、被害者が自転車で道路を横断しようとしたところ、脇道から来た車に衝突されて転倒したというものでした。

 この事故により、被害者は、左第4趾末節骨骨折、外傷性頚部症候群の傷害を負うことになりました。

 医師から左足の指の骨折部が元に戻らないといった説明を受け、不安に思われたことから、事故直後にご依頼となりました。

当事務所の活動

 その後、首と左第4趾の治療を続けましたが、いずれも痛みの症状が残ることになり、左第4趾については、事前の説明のとおり、骨が癒合することなく偽関節となって症状固定となりました。

 そこで、自賠責保険の被害者請求を行ったところ、結果は首と足指のいずれも後遺障害14級9号で併合14級という結果でした。

 この結果に対し、偽関節となっているのであるから後遺障害12級13号が認定されるべきであると考え、異議申立を行いましたが、結果は変わらずに14級となりました。

 そこで、裁判所の判断を仰ぐべく訴訟を提起することになりました。

 訴訟では、14級なのか12級なのかという問題のほか、症状固定時期をいつとみるか、逸失利益の労働能力喪失期間をどう考えるのか、過失の割合はどうなるのかといった点など様々な点が争いとなりました。

 結果としては、12級までは認められないものの、14級の枠の中で労働能力喪失期間を含めて最大限こちらの言い分が認められるような形となり、和解のための調整はありましたが、先に受領していた自賠責保険金75万円に加え、480万円が追加で支払われることで和解となりました。

ポイント

自賠責保険のルール

 本件のポイントの1つ目は、偽関節となっているのに12級13号が認定されないという特殊性です。

 通常であれば、偽関節が認められてそれが痛みの原因となっていれば12級13号が認定されます。

 本件で12級13号が認定されなかったのは、足指の後遺障害には、欠損障害として13級9号というものがあり、自賠責保険のルール上、同一部位について欠損障害を超える等級は認定できないというものがあったためです。

 しかし、通常の14級とは明らかに異なる上、このルールの趣旨に照らしてもおかしいと考えられたため、その点を主張していきました。

 裁判所も、こちらの主張自体には理解を示してくれていたのですが、最終的には、治療経過から、生活への支障が12級の程度には至っていないのではないかということで、等級としては14級を前提とすることになりました。

労働能力喪失期間

 痛みについて後遺障害14級9号が認定された場合、その痛みに馴れることがあるとか、改善することがあるとかいった理由で、後遺障害逸失利益を計算するときの労働能力喪失期間を、通常であれば症状固定時から67歳までとされるところを5年などと短縮されることがあります。

 相手の弁護士も、この点は強く争ってきました。

 しかし、本件では、偽関節となったことは争いがなく、骨折箇所も足なので生活をしていく中で常にその痛みを感じていくことになり、改善の見込みもないため、67歳までとすることを強く主張し、裁判所もそれを認めてくれました。

過失割合

 過失割合については、相手は、自転車の右側走行を指摘して大幅な減額を主張してきましたが、こちらから、なぜ右側走行で過失割合が修正されることになるのかその趣旨を指摘しつつ、本件の場合には過失割合に影響しないことを丁寧に説明し、裁判所もこの修正を認めませんでした。

まとめ

 本件は、過失相殺で10%の減額がある中で、治療費を除いて約550万円を獲得することができたもので、14級9号の主婦の事案としてはかなり高額な損害が認められたといってよいと思います。

 通常のケースと比較すれば、示談交渉ではまず認められない金額だったと思いますので、一般的な事例と何が違うのかを理解した上で、請求が認められるためにこちらの主張を裁判所に対して丁寧に行っていく必要がありました。

 このように主張を組み立てていくことは、交通事故の賠償の表面的な部分だけではなく、基礎的な考え方を十分に理解しておかないと難しいことだと思いますので、これまでの経験を上手くいかせた事案だったと思います。

後遺障害併合14級【頚部痛・兼業家事】事故が2件重なったケース

2023-07-19

事案の概要

 事故状況は、被害者が信号待ちで停止中に、後方から加害者の運転する車両に衝突され、その衝撃で前方に停止していた車両にも衝突したというもので、車両の後部が大きく破損し、被害者が頚椎捻挫の傷害を負ったというものでした。

 さらに、その2か月半後、ガソリンスタンドの敷地内で、後退してきた別の車両に衝突され、同じく頚椎捻挫の傷害を負いました。

 事故が重なってご自身での対応が難しくなったため、ご相談となりました。

当事務所の活動

 本件のように、交通事故で怪我をして治療をしていたところ、通院が終わらないうちに別の事故で同じ場所を負傷したような場合を、賠償実務上、「異時共同不法行為」と呼んでいます。この用語は、あくまでも交通事故の損害賠償実務での用語で、法律上の共同不法行為とは異なりますので注意を要します。

 いずれにせよ、このような事態が生じると、通常、それまでに対応していた1つ目の事故の保険会社の対応が終了し、次の保険会社が代わって対応を開始することになります。

 そして、治療が終了した後に、順番に示談交渉を行っていくことになります。

 本件では、治療終了後も後遺障害が残ったため、後遺障害の被害者請求を行い、後遺障害14級9号が認定されることになりました(本件の場合、後遺障害の自賠責保険金は75万円×2=150万円となりました)。

 その結果を元に示談交渉を行い、1事故目の保険会社から約270万円(自賠責保険金含む)、2事故目の保険会社から約53万円の支払いを受けるということで示談することができました。

ポイント

 本件のような異時共同不法行為では、各加害者がどのような責任を負うのかを整理しておく必要があります。

 この点は、保険会社の認識と、法律上の考え方ではギャップがありますので、この点を十分に認識しておく必要があります。

 詳しい説明は割愛しますが、厳密に法律的な考え方に基づいて示談をしようとしても、現実的に示談をすることは困難です。

 そこで、保険会社の実務の考え方を基本としつつ、被害者にとって最もよい解決方法を選択していきます。

 弊所では、異時共同不法行為の場合、通常は後発事故から示談を進めていきますが、本件は、明らかに先行事故の方が後発事故よりも衝撃が大きく、怪我への影響も大きいものでしたので、この点を考慮して先行事故から示談をしていくことにしました。

 異時共同不法行為で、どちらの事故との関係でも後遺障害認定が受けられれば、自賠責保険金の額もその分大きくなりますので、通常よりも示談交渉を進めやすくなります。

 例えば、裁判基準の賠償額が180万円の場合、事故が1つだと14級の自賠責保険金は75万円で、残額の105万円を任意保険会社に支払ってもらわなければなりませんが、事故が2つで自賠責保険金を150万円受領できれば、任意保険会社に請求する額は30万円で済みます。このように、金額のギャップが小さいくなるため、示談交渉のハードルも下がります。

 異時共同不法行為は、法律的な見通しを意識しつつ、示談の落としどころを探っていく必要があり、関係する当事者の数も増えますので、専門的な知識がなければ正確に理解するのは困難です。

 異時共同不法行為でお困りの場合、弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

後遺障害併合14級【頚部痛・主婦】で事前提示額が低くなかったケース

2023-07-19

事案の概要

 事故状況は、被害者が高速道路の渋滞で停止中に、後方から加害者の運転する車両に衝突されたというもので、車両の後部が大きく破損し、被害者が頚椎捻挫・腰椎捻挫の傷害を負ったというものでした。

 被害者は、1年5か月にわたって通院を続けたものの、頚部痛の後遺症が残存し、後遺障害14級9号が認定され、それを元に保険会社から賠償金の提示がされたところでご相談となりました。

当事務所の活動

 提示されていた金額を弁護士が確認したところ、主婦としての休業損害の額も決して低くはなく、逸失利益も弁護士基準に近いものとなっていました。ただ、慰謝料の額が低くなっていたため、増額が見込めると判断し、ご依頼となりました。

弁護士が、裁判実務を指摘しつつ、丁寧に交渉を行った結果、慰謝料の増額が認められ、当初約211万円だったところが、約330万円に増額して示談することができました(他に後遺障害自賠責保険金として75万円)。

ポイント

 本件の難しかったところは、ご依頼前に保険会社から提示されていた金額が決して低くはなかったというところにありました。

 特に、通院期間が17か月に及んでいたのですが、頚椎捻挫・腰椎捻挫の治療期間としては異例と言ってもよい内容でした。

 損賠賠償の実務では、治療によって症状の改善が見られなくなった段階では、「症状固定」といって治療費の支払いは停止し、以後、後遺障害として賠償を行っていくのが基本的な考え方です。

 頚椎捻挫・腰椎捻挫の場合、痛みが数年にわたって残るということはありますが、17か月もの間、治療による改善の効果が見られているというのは考え難いです(一貫して改善が続いているのであれば、症状はなくなっていると考えられます)。

 したがって、実際には17か月経過前に症状固定に至っていた可能性が高く、保険会社が過剰に治療費の支払いを行っていた可能性がありました。

 そうすると、過払い分の治療費の清算のほか、通院慰謝料の計算の前提も変わってきますので、厳密には増額ができるか微妙なところでした。

 幸い、改めてカルテを精査して治療期間の再検討をするといった対応はとられませんでしたので、従前の治療期間を前提に増額が可能となりましたが、依頼を受けられるか判断に迷う事案でした。

 一般的には、保険会社は支払いが悪いという傾向がありますが、それはあくまでも慰謝料や逸失利益についてです。治療費については、むしろ裁判所の判断よりも支払いがよいこともあります(もちろん、裁判所の判断よりも酷い場合もあります)。

 そのような場合、実際に通院した実績がそのまま維持されるとは限りませんので、仮に、裁判になったらどういった判断になるのかを考えつつ、示談の落としどころを検討する必要があります。

 この辺りの判断は、実際に裁判を多く取り扱ってみないと分からないところですので、保険会社から提示された金額が妥当か迷われる場合は、弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

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