異議申立で【非該当→後遺障害14級】(膝蓋骨骨折)となり約380万円の賠償

2022-10-14

事案の概要

 事故状況は、被害者が横断歩道近くを横断中、左折してきた車にはねられたというもので、被害者は、右膝蓋骨開放骨折等の傷害を負いました。事故後、相手方保険会社の対応に疑問を持たれたため、ご依頼となりました。

当事務所の活動

 本件で争いとなった事項は多岐にわたるのですが、まず、事故状況に関して双方の言い分が異なっていましたので、この点から整理する必要がありました。

 具体的には、衝突地点が横断歩道の直近かもっと離れた場所かで争いがあったのですが、事故状況を記録したドライブレコーダー等はなかったため、膠着状態となりました。

 そこで、刑事記録を取り付けてみたところ、本件は加害者が略式起訴されていたため、詳細な資料を見ることができ、結果として、被害者側の言い分が通ることとなりました。

 その後、通院を継続したものの、骨折部位の痛みが残ることとなったため、後遺障害認定の申請を行いましたが、後遺障害非該当という結果となりました。

 しかし、受傷内容や、被害者の訴えている症状からすると、後遺障害認定が妥当な事案だと判断しましたので、異議申立てを行い、結果として後遺障害14級9号が認定されました。

 示談交渉では、逸失利益の計算にあたって、開業間もない会社の代表者であったため、通常どおり事故前年の年収を用いて計算すると金額が低くなってしまうという問題ありましたが、追加資料を提出し、事故後の増収の状況を踏まえた金額で示談することができました。

ポイント

 本件は、異議申立て事案ですので、一度認められなかった後遺障害の認定をどうやったら認められるのかを検討することがポイントとなります。

 このアプローチの仕方は事案によって異なるのですが、まず前提として、必要書類を一式提出しても後遺障害等級が認められなかったということを認識しなければなりません。

 「認められて当然」というようなケースであれば、1度目の申請で後遺障害等級が認定されたはずです。

 つまり、この時点で、認定できるかどうか微妙な部分があるということになります。

 異議申立てでは、この部分を補う方法は何かを考えることになります。

 この事案では、開放骨折後の骨折箇所の痛みというものでしたので、認定機関は、「この程度では痛みは残らないだろう」と考えたと推測することができます。

 ということは、こちらからは、「この状態からは痛みが生じてしかるべき」ということを示していく必要があります。

 痛みの原因を画像で証明できれば12級13号が認定されますし、証明できたとまでは言えなくても、医学的な説明が可能というレベルまで認められれば14級9号が認定されることになります。

 いずれにしても、骨折後の骨癒合の状態が決め手になりますので、ここを明らかにすることにしました。

 レントゲン・CT画像を正確に見るには、専門家の知識が必要となりますので(素人目で分かるようなものであれば、1度目の申請で認められている)、今回は外部の医師に協力を仰ぎ、意見書を作成してもらうことにしました。

 その結果、後遺障害等級14級9号が認定されました。

 逸失利益の計算も、杓子定規に計算すると金額が低くなるところでしたが、実態に合わせて計算方法を見直したことがポイントとなりました。

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