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圧迫骨折と11級7号の認定・示談のポイント
交通事故で怪我を負った場合,治療を行ってもどうしても元通りとはいかず,後遺症(後遺障害)が残ってしまうことがあります。
後遺症に関する損害賠償の請求方法には,ある程度決まった方式があるのですが,内容によってはどうしても定型通りに処理することが難しいものもあります。
今回は,その中でも比較的よく見られる圧迫骨折について後遺障害等級11級7号が認定された場合について,等級の認定の段階と損害賠償請求の段階における逸失利益や慰謝料といった損害賠償の弁護士による示談交渉・増額のポイントについて紹介したいと思います。
圧迫骨折とは?
私たちの体には,身体を支える脊椎というものが存在しますが,この脊椎を構成する椎体というものに力が加わってつぶれてしまうことがあり,このことを圧迫骨折と呼んでいます。
圧迫骨折は,若い人でも非常に強い力が加わることによって発生することがありますが,高齢になって骨粗しょう症になったりすると,それほど大きな力が加わらなくても日常生活における軽い転倒などによって発生することがあります。
圧迫骨折自体がこのような性質を持っているため,特に高齢者の場合,事故で脊椎に衝撃が加わることで骨折が生じやすく,また骨折箇所が元通りとはならずに後遺症として残りやすいという特徴があります。
圧迫骨折で認定される可能性がある後遺障害等級
実際に圧迫骨折となった場合,認定される後遺障害等級としては以下のものが考えられます。
変形障害
6級5号 |
脊柱に著しい変形を残すもの |
8級相当 |
脊柱に中程度の変形を残すもの |
11級7号 |
脊柱に変形を残すもの |
変形障害の各等級の区別は,後方椎体高と比較して前方椎体高がどの程度減少しているのか,後彎は発生しているか,コブ法による側彎度が50度以上か,回旋位,屈曲・伸展位の角度はどうなっているのかといった点に着目し,条件を満たしていれば,6級5号あるいは8級相当の後遺障害等級が認定されることになります。
運動障害
6級5号 |
脊柱に運動障害を残すもの |
8級2号 |
脊柱に運動障害を残すもの |
運動障害の各等級の区別は,頸椎と胸腰椎の双方に圧迫骨折等が生じ,それにより頸部と胸腰部が強直したか(6級5号),頸椎又は胸腰椎のいずれかに圧迫骨折等が生じ,頸部又は胸腰部の可動域が参考可動域角度の2分の1以下に制限されたか(8級2号)といった点でなされることになります。
荷重機能障害
6級相当 |
荷重機能の障害の原因が明らかに認められる場合であって,頸部及び腰部の両方の保持に困難があり,常に硬性補装具を必要とするもの |
8級相当 |
荷重機能の障害の原因が明らかに認められる場合であって,頸部又は腰部のいずれかの保持に困難があり,常に硬性補装具を必要とするもの |
荷重機能障害の区別は上記のとおりで,「荷重機能の障害の原因が明らかに認められる場合」とは,脊椎圧迫骨折・脱臼,脊柱を支える筋肉の麻痺又は項背腰部軟部組織の明らかな器質的変化があり,それらがエックス線写真等により確認できる場合をいいます。
運動障害の場合と共通することですが,これらの形式的要件を満たしていても,受傷の程度によっては,因果関係がない(硬性補装具の必要はない)として見込んだ等級の認定が受けられないということもありますので注意が必要です。
11級7号の認定とは
11級7号の要件は以下のとおりです。
11級7号 |
①脊椎圧迫骨折を残しており,そのことがエックス線写真等により確認できるもの ②脊椎固定術が行われたもの(移植した骨がいずれかの脊椎に吸収されたものを除く) ③3個以上の脊椎について,椎弓切除術等の椎弓形成術をうけたもの |
認定の要件は以上のとおりで,圧迫骨折の診断がされていれば,11級7号が認定されることが多いと言ってよいでしょう。
しかし,既に述べたとおり,圧迫骨折は日常生活でも発生する可能性があり,事故によって生じたものであるかどうか(陳旧性のものかどうか)が問題となることもあります。
この点については,事故直後にMRI検査を受けることにより,陳旧性のものかどうかを確認することができますので,圧迫骨折が疑われる場合は,早期にMRI検査を受けるようにしましょう。
なお,今回対象としているのは,この中の①ですが,事故で発症したヘルニア等の治療法として脊椎の固定術が行われた場合には,②によって11級7号が認定されることになり,そのようなケースも比較的よく見られます。
弁護士による11級7号の示談交渉・増額のポイント
逸失利益の計算方法は?
11級7号に限らず,後遺症に後遺障害等級が認定されると,慰謝料の他に逸失利益を請求することができますが,11級7号の場合,この逸失利益の賠償金額について争われることが多いのです。
この点について詳しく見ていきましょう。
ⅰ 逸失利益の一般論
逸失利益とは,後遺症によって仕事が以前のようにできなくなったことによる将来分を含めた減収に関する賠償のことをいいます。
通常,後遺障害等級は,症状がこれ以上良くならない状態(症状固定)で,残った症状について認定されるものです。
したがって,減収が見込まれる期間を仕事が可能な期間分について,症状固定時の障害の程度に応じて目一杯請求することになります(67歳までとするのが一般的)。
ⅱ 11級7号の場合
上記一般論に対し,11級7号の場合,変形障害が残ったとしても,日常生活にそれほど支障がないというケースも多く,そもそも他の11級の後遺障害(例えば,手の人差し指,中指,薬指のいずれかを失った場合等)と同程度の労働能力の喪失があるのか,労働能力の喪失が一生涯続くものなのか,といった点について様々な議論があります。
この点については,裁判上も判断が確定しているわけではないので,被害者の年齢や職業,骨折の部位・程度等を考慮して,具体的に見ていくほかありません。
最近の裁判の傾向を見ていると,骨折後に痛みが残った場合の後遺障害等級である12級13号に準じて計算するようなケースが見られます。
この場合,労働能力喪失率が20%→14%となり,労働能力喪失期間も,就労可能年限までではなく,若干減らされることがあります。
ただし,基本的には,他の11級と同様の労働能力の喪失があるというのが基本的な考え方となりますので(2004年版赤い本下巻参照),安易に妥協することはできません。
慰謝料の額は?
後遺症について11級が認定された場合のいわゆる裁判基準による慰謝料の相場は,420万円程度とされています。
慰謝料については,逸失利益の場合とは異なり,圧迫骨折後の11級7号の場合であっても,この相場にしたがって支払われる傾向にあります。
まとめ
圧迫骨折による11級7号のポイントは,事故によって生じたものであることを証明するためにまずはMRI検査を受けるということと,逸失利益の請求について何が問題となるのかを正確に把握しておくということにあります。
なお,上記のような労働能力喪失の程度・期間については,厳密にいうと,11級7号に限らず争いになりやすいところではあります。
しかし,11級7号の場合,裁判上も確定した考えがあるわけではなく,相手方から反論された場合,自身の見解を根拠を示しながら説得的に主張していくことが重要となってきます。
そのため,交通事故によって圧迫骨折が診断された場合には,弁護士にご相談の上,適切に交渉を行っていくことをおすすめします。
後遺障害に関する一般的な説明についてはこちらをご覧ください →「後遺症が残った方へ」
骨折による後遺障害等級12級13号のポイント
前回は,交通事故の後遺障害(後遺症)の中では比較的軽いとされる14級の中でも,神経症状が残った場合の後遺障害等級14級9号「局部に神経症状を残すもの」に特に焦点を当ててみました。
今回は,同じ神経症状の中でも,交通事故で骨折した後に後遺障害等級12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」の障害が残った場合について,認定や逸失利益や慰謝料といった損害賠償の弁護士による示談交渉・増額のポイントについて見ていきたいと思います。
(関節の可動域制限について12級6号が認定された方はこちら→「肩・ひじ・手の関節の後遺症の賠償」)
骨折と後遺症(後遺障害)
交通事故に遭ったときに身体のどこかを骨折するということは,むち打ちと同様に交通事故の被害者の方によく見られることです。
また,骨折をした後,時間をかけて治療をしても痛みが消えなかったり,運動障害(可動域制限)が出たり,骨が変形してしまうこともありますが,そのような後遺症については,加害者からしっかりと損害賠償を受けなければなりません。
今回見ていくのは,これらの後遺症のうち,痛みを中心とする神経症状に関する後遺症です。
想定される自賠責保険の後遺障害等級は?
骨折後に痛みの後遺障害が残った場合に認めれられる後遺障害等級としては,前回見た14級9号「局部に神経症状を残すもの」のほかに,12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」が考えられます。
ここでのポイントは,どちらに認定されるかは症状だけでは分からないということです。
この2つは,どちらが認定されるかによって想定される損害賠償の金額が大きく異なってきますので,これらがどのように区別されているのかが重要になってきます。
14級9号と12級13号の違い
自賠責保険の後遺障害12級13号と後遺障害14級9号の内容を見てみると、12級13号は、「局部に頑固な神経症状を残すもの」とあり、14級9号は、「局部に神経症状を残すもの」とあります。
これだけを見ると、痛みの強さが強い方が12級13号で、痛みがそれほどでなければ14級9号になるように読めます。
しかし、痛みの強さは本人にしか分からないので、痛みの強さによって等級を決めるのは困難です。
さらに、自賠責保険が準用する労災の認定基準では,12級13号は「通常の労務に服することはできるが,時には強度の疼痛のため,ある程度差支えがあるもの」,14級は「通常の労務に服することはできるが,受傷部位にほとんど常時疼痛を残すもの」とされています。
しかし,この基準もあいまいで,今一つ区別の基準が分かりません。
一般的には,14級9号と12級13号を区別する基準としては,12級は「障害の存在が医学的に証明できるもの」であり,14級は「障害の存在が医学的に説明可能なもの」とするものなどが挙げられています。
これにより,骨折の場合には,画像によって関節面の不整や骨癒合の不全が見られることが,12級13号が認定されるポイントとなってきます。
逆に言うと、被害者自身がどれだけ痛みが強いと言っても、そのことを裏付ける画像がなければ12級13号は認定されないことになりますし、痛みを裏付ける画像があれば、痛み自体はそれほど苦にならなくても12級13号が認定される可能性があります。
そのため,骨折による症状についてきちんと賠償を受けるためには,上記のような異常を確認するためのCTやXP,MRIといった検査を受けることが重要となります。
弁護士による12級13号の示談交渉・増額のポイント
上記のような点に留意して,後遺障害等級12級13号が認定されたとして,損害賠償の示談交渉や裁判の中ではどのようなことが問題になるのでしょうか?
逸失利益は?
神経症状についての後遺障害については,特に逸失利益の労働能力の喪失期間(労働へ支障が生じる期間)が争いになることが多く,しかも,同じ12級13号であっても,症状の原因が何であるかによって判断が分かれるところでもありますので,以下で詳しく見ていきます。
そもそも後遺障害とは,原則として,治療をしても良くならない状態になったときに残った症状について認定されるもので、基本的に一生付き合っていくようなものです。
したがって,逸失利益(後遺症による労働への支障によって生じる減収)は,働いている限り生じるものと考えられます。
このことは,例えば交通事故で腕などを失ったようなケースを想定すると分かりやすいと思います(失われたものが元通りになることは考えられないでしょう)。
ところが,神経症状の場合には,あくまでも感覚的な問題であるため,被害者本人の馴れなどによって,労働能力が回復するのではないかという問題があるのです。
14級9号に関する記事でも言及しましたが,特にむち打ち症の場合にはこのことが問題とされやすく,裁判をしたとしても,むち打ち症で12級13号が認定された場合、労働能力喪失期間が10年程度に限定されることが一般的になっています。
保険会社との示談交渉のポイント
保険会社は,上記のようなむち打ち症に関する12級13号の一般論を元に,労働能力をかなり短く設定しようとしてきます(10年未満を主張してくることも珍しくありません。)
上記のように,12級13号で労働能力喪失期間を10年などとされることも多いため,あるいは,そのような提示を受けても,そういうものなのかと思われるかもしれません。
しかし,同じ12級13号であっても,骨折の場合とむち打ちの場合では事情が異なり,骨折後の疼痛等に12級13号が認定された場合、骨癒合の不全や関節面の不整といった原因がはっきりとしていて,しかもその原因がなくなることがないと考えられます。
そのため,骨折で12級13号が認定された場合であれば, 過去の裁判例上,症状が骨折部位によるものであるという理由によって,特に労働能力喪失期間を行わなかったものも数多くあります。
したがって,どの程度の賠償を相手に求めることができるかは,過去の事例を調査し,慎重に検討した上でしっかりと交渉で必要があります。
実際には、現実に後遺症が仕事へ影響を与えているか、そのために収入が下がっているかといった事情が考慮されて、最終的な結論が出されることになりますので、この点もご自身でチェックしてみてください。
逸失利益の請求は,弁護士によっても違いが出るところでもありますので,依頼される前によく説明を受けて,弁護士の方針を確認してください。
慰謝料は?
後遺症について12級が認定された場合のいわゆる裁判基準に従った慰謝料の相場は,290万円程度とされています。
裁判上は,多くのケースでこの相場にしたがって請求が認められていますので,保険会社が低い金額を提示してきた場合は,しっかりと交渉していく必要があります。
まとめ
このように,12級13号は,認定されるかどうかという点で,どのように医学的な証明を行うべきかということがまず問題となり,認定された後は,どの程度の賠償を受けることができるかということで特有の問題があります。
12級13号が認定されるような症状が残っている場合には,交通事故事件に詳しい弁護士にご依頼されることをおすすめします。
後遺障害に関する一般的な説明についてはこちらをご覧ください →「後遺症が残った方へ」
後遺障害等級14級9号の認定と示談交渉
交通事故で後遺症(後遺障害ともいいます。)が残ってしまった場合,後遺障害の認定を受けた上で損害の賠償を求めていくことになります。
この後遺症(後遺障害)には重いものから順に,1級から14級という等級が設けられています。
交通事故事件に関する様々なご相談をお受けしていると,鞭打ち(むちうち)や腰椎捻挫といった症状を訴える方が多いのですが,そういった方に後遺症が残った場合に認定を受ける可能性が高いのは,後遺障害等級14級9号というものです。
そこで今回は,自賠責保険の等級の中で一番低い等級に位置付けられている後遺障害等級14級について認定や逸失利益・慰謝料といった損害賠償の弁護士による示談交渉・増額のポイントについて見ていきたいと思います。
自賠責保険の等級表
自賠責保険で14級として挙げられているものは以下のとおりです。
1 |
1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの |
2 |
3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの |
3 |
1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの |
4 |
上肢の露出面にてのひら大の大きさの醜いあとを残すもの |
5 |
下肢の露出面にてのひら大の大きさの醜いあとを残すもの |
6 |
1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの |
7 |
1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの |
8 |
1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの |
9 |
局部に神経症状を残すもの |
それぞれに検討すべき点がありますが,今回はこの中でも14級9号の「局部に神経症状を残すもの」について詳しく見ていきます。
14級9号が認定されるケース
一口に後遺障害等級14級9号といっても,実際には様々な症状が考えられます。
14級9号が対象とする神経症状には、受傷部位の痛みのほか、しびれや感覚障害、精神障害等、幅広い内容を含んでいますが,実務上目にする機会が多いのは,頚椎捻挫(むちうち)・腰椎捻挫の後に痛みやしびれが残った場合です。また、骨折後の痛みについて認定されることもあります。
認定の難しさと認定に向けてのポイント
14級9号は,基本的に症状の原因を明確に証明することが困難なものについて認定されるものです。例えば骨折であれば、レントゲン画像上、骨の癒合は上手くいっていて原因は明確に分からないものの、患者が痛みがを訴えているといった場合です。むち打ち症に代表される打撲捻挫については、そもそも画像上の異常は見られません。
そのため,元々はっきりとした基準を設けることが難しい等級であるといえます。
しかし,現実に交通事故によって被害者が症状を訴えている以上,きちんと補償を受けられるようにする必要があります。
他方で,症状の程度や感じ方は人によって様々ですし,全く証明がされていないものについて一律に保険金や賠償金を支払うわけにはいきません。
そこで,現実に生じている症状と原因について,様々な資料を元に総合的に判断して,等級が認定されるかどうかが決まることになります。
どの資料が具体的にどのように評価されているのかという点については公表されていませんので,微妙な事案において結果を確実に予測することは非常に難しいといえます。
したがって,被害者としては,評価の対象となっていると思われる事柄については,資料を揃えて適切に自賠責保険会社に対して提出していくことが重要となります。
その際,事故の状況に関する資料や,症状の原因を説明するための画像資料,症状の一貫性を示す書類,ジャクソンテスト・スパーリングテストといった神経根症状誘発テスト等の各種検査結果が記された書類を提出することなどが考えられます。
ただし、ここで挙げた神経根症状誘発テスト等は、あくまでも被害者が痛いとか痺れるとか訴えるかどうかを見るものであり、第三者から見てその存在を確認できるものではありません。したがって、資料としてはそれほど有効なものではないといえるでしょう。
実際の認定例を見ても、これらのテストを受けて陽性の結果が後遺障害診断書に記載されていても非該当となることも少なくなく、他方で、こうしたテストを一切受けていなくても認定を受けられているものも多数あります。
頸椎捻挫・腰椎捻挫などで神経症状が問題となる場合の画像資料については,比較的早い段階でMRI検査を受けることをおすすめします。頸椎や腰椎のヘルニアが症状の長期化に影響を与えている可能性がありますが、レントゲンやCTでは、ヘルニアをはっきりと確認することができないためです。
この他に,医療機関への通院実績も重視されていると一般的に考えられていますが,この点については少し注意が必要です。
たしかに,医療機関にしっかりと通院することは,適切な治療を行った上でなお症状が残存した(症状が固定した)ということを示し,また,治療期間中の症状の適切な把握という意味でも必要であると考えられます。
しかし,後遺症の認定を受けることを目的として過剰に通院をすることは,医師も推奨していないと考えられますし,ご自身にとっても負担であるほか,損害賠償上も過剰診療にあたるとして因果関係が否定される可能性もありますので,必要に応じて適切に通院をすることが重要です(少なくとも,これまでに多数の14級9号の認定事例を見てきた経験上,半年程度の間に100回近くも通わなければならないということはないと考えられます。)。
以上のような点を踏まえて,資料によって医学的に症状について説明ができるといえるような場合には,14級9号が認定されることになります。
このような資料の収集についても,弁護士にご依頼いただいた場合には,弁護士が代行していきます(一部ご協力をお願いすることもあります。)。
なお,むち打ち症の場合でも,12級13号という等級が認定される可能性がありますが,そのためのハードルとして,画像等で医学的に症状を証明することができなければならないため,今よりもむち打ち症に関する理解が進んでいなかった頃であればともかく、現在では可能性は低いと考えられます。
弁護士による14級9号の示談交渉・増額のポイント
等級の認定がされたら,賠償金の請求を行うことになります。
後遺症(後遺障害)について賠償の対象となるのは,主に逸失利益と慰謝料の2つです。
後遺障害慰謝料
このうち,慰謝料については,ある程度定額化が進んでいることもあって,他の等級と比べて特に難しいということはなく,14級の場合のいわゆる裁判基準による相場である110万円程度が認定されることが多いです。
もっとも,保険会社は,自賠責保険基準の32万円などと認定してくることもあるので,そのような場合には,しっかりと交渉する必要があります。
後遺障害逸失利益
これに対し,逸失利益については,金額の算定に難しいところがあります。
逸失利益は,後遺症によって将来どの程度減収が見込まれるかという点に対する賠償ですので,後遺症による影響が将来的にどの程度残るのか(労働能力喪失期間)が問題となります。
一般的には,後遺症が治療をしても良くならないものを指すため,一生涯残るものとして計算を行います。
ところが,14級9号の場合には,長期的に見ると症状が改善するということもしばしば見られるため,この点が問題となるのです。
ここで注意しなければならないのは,労働能力喪失期間は,等級だけではなく,後遺症の原因となった傷病の内容によっても変わってくるということです。
むち打ちについては,最近では5年程度が目安とされていますが,例えば骨折した後に痛みが残ったような場合に,どの程度の期間影響が残るのかという点についてははっきりとした相場があるわけではないのです。
したがって,このような場合には,被害者の方の状況に応じて請求していくことになりますが,その際に,弁護士が,過去の事例や議論の内容を踏まえて適切に説明をしていくことになります。
まとめ
このように,14級9号は,等級としては低いものになりますが,特有の難しさが存在します。
また,様々な議論があるところでもありますので,十分な知識がないままに示談をしてしまうと,本来受けられるはずだった賠償が受けられなかったということにもなりかねません。
14級9号が問題となる場合には,交通事故事件に詳しい弁護士にご依頼されることをおすすめします。
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