後遺障害14級【足指骨折・主婦】裁判で5年を超える後遺障害逸失利益を獲得
事案の概要
事故状況は、被害者が自転車で道路を横断しようとしたところ、脇道から来た車に衝突されて転倒したというものでした。
この事故により、被害者は、左第4趾末節骨骨折、外傷性頚部症候群の傷害を負うことになりました。
医師から左足の指の骨折部が元に戻らないといった説明を受け、不安に思われたことから、事故直後にご依頼となりました。
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その後、首と左第4趾の治療を続けましたが、いずれも痛みの症状が残ることになり、左第4趾については、事前の説明のとおり、骨が癒合することなく偽関節となって症状固定となりました。
そこで、自賠責保険の被害者請求を行ったところ、結果は首と足指のいずれも後遺障害14級9号で併合14級という結果でした。
この結果に対し、偽関節となっているのであるから後遺障害12級13号が認定されるべきであると考え、異議申立を行いましたが、結果は変わらずに14級となりました。
そこで、裁判所の判断を仰ぐべく訴訟を提起することになりました。
訴訟では、14級なのか12級なのかという問題のほか、症状固定時期をいつとみるか、逸失利益の労働能力喪失期間をどう考えるのか、過失の割合はどうなるのかといった点など様々な点が争いとなりました。
結果としては、12級までは認められないものの、14級の枠の中で労働能力喪失期間を含めて最大限こちらの言い分が認められるような形となり、和解のための調整はありましたが、先に受領していた自賠責保険金75万円に加え、480万円が追加で支払われることで和解となりました。
ポイント
自賠責保険のルール
本件のポイントの1つ目は、偽関節となっているのに12級13号が認定されないという特殊性です。
通常であれば、偽関節が認められてそれが痛みの原因となっていれば12級13号が認定されます。
本件で12級13号が認定されなかったのは、足指の後遺障害には、欠損障害として13級9号というものがあり、自賠責保険のルール上、同一部位について欠損障害を超える等級は認定できないというものがあったためです。
しかし、通常の14級とは明らかに異なる上、このルールの趣旨に照らしてもおかしいと考えられたため、その点を主張していきました。
裁判所も、こちらの主張自体には理解を示してくれていたのですが、最終的には、治療経過から、生活への支障が12級の程度には至っていないのではないかということで、等級としては14級を前提とすることになりました。
労働能力喪失期間
痛みについて後遺障害14級9号が認定された場合、その痛みに馴れることがあるとか、改善することがあるとかいった理由で、後遺障害逸失利益を計算するときの労働能力喪失期間を、通常であれば症状固定時から67歳までとされるところを5年などと短縮されることがあります。
相手の弁護士も、この点は強く争ってきました。
しかし、本件では、偽関節となったことは争いがなく、骨折箇所も足なので生活をしていく中で常にその痛みを感じていくことになり、改善の見込みもないため、67歳までとすることを強く主張し、裁判所もそれを認めてくれました。
過失割合
過失割合については、相手は、自転車の右側走行を指摘して大幅な減額を主張してきましたが、こちらから、なぜ右側走行で過失割合が修正されることになるのかその趣旨を指摘しつつ、本件の場合には過失割合に影響しないことを丁寧に説明し、裁判所もこの修正を認めませんでした。
まとめ
本件は、過失相殺で10%の減額がある中で、治療費を除いて約550万円を獲得することができたもので、14級9号の主婦の事案としてはかなり高額な損害が認められたといってよいと思います。
通常のケースと比較すれば、示談交渉ではまず認められない金額だったと思いますので、一般的な事例と何が違うのかを理解した上で、請求が認められるためにこちらの主張を裁判所に対して丁寧に行っていく必要がありました。
このように主張を組み立てていくことは、交通事故の賠償の表面的な部分だけではなく、基礎的な考え方を十分に理解しておかないと難しいことだと思いますので、これまでの経験を上手くいかせた事案だったと思います。