後遺障害12級【骨盤骨変形】で治療費等を除き1300万円の支払いを受けたケース

2026-03-31

事案の概要

 事故の状況は、店舗の駐車場で、ブレーキとアクセルを踏み間違えた車両が後退してきて、被害者が店舗と車両に挟まれて負傷したというものです。

 被害者は、骨盤輪損傷、左寛骨臼骨折、左脛骨骨折、左膝前十字靭帯損傷、左膝内側側副靭帯損傷の傷害を負い、今後の対応に不安を感じられてご依頼となりました。

 

弁護士の活動

後遺障害認定

 本件では、被害者の方は手術が必要となるほどの重傷を負われたのですが、術後の予後は悪くなく、自覚可能な深刻な可動域制限などはありませんでした。

 ただ、骨盤骨の変形障害は残ってしまったため、その点で「骨盤骨の著しい変形」として後遺障害12級5号の認定を受けました。

示談交渉

 この後遺障害の認定結果を受けて、加害者側の保険会社と交渉を行ったところ、治療費のほか、自宅の一部改造費や休業損害といった既に補償を受けていた部分を除いて、約1300万円(自賠責保険金224万円を含む)の賠償を受ける内容で示談をすることができました。

ポイント

 本件のポイントは後遺障害部分の補償に関する部分で、被害者ご本人様の自覚症状としては大きな後遺症がなく、日常生活にも大きな影響がないように思われたことでした。後遺障害に対する補償で大きな割合を占めるのは後遺障害逸失利益(仕事への支障とそれに伴う収入の減少)ですが、まったく仕事に支障がないということになれば、この後遺障害逸失利益自体がないという判断にもなりかねません。

 今回後遺障害の認定を受けたのは骨盤骨の変形障害ですが、骨の癒合に問題があり、その程度が大きい場合、「変形障害」として後遺障害の認定を受けることがあります。

 痛みを伴う場合には後遺障害12級13号という等級もあり、痛みに伴う日常生活への支障も生じているのが通例ですので、逸失利益の主張をするのはそう難しくありません。

 しかし、中には、レントゲンなどではっきり分かる変形が確認できても、仕事にはほとんど支障がないという人もいます

 このような場合には、逸失利益の評価が難しくなります(特に鎖骨や脊柱の変形障害で問題となることが多いです)。

 そもそも後遺障害は、将来も治る見込みがないものですから、今の時点で特に仕事に支障がなくても、業務内容に変更が生じたり、転職が必要となった時点で問題が生じてくるかもしれません。

 したがって、現状だけを見て、安易に妥協するのは危険です。

 本件は骨盤骨の変形障害で、鎖骨や脊柱の変形障害のときほどこの点が問題となったわけではありませんが、後遺障害認定の結果と自覚症状にギャップがあるような場合には、逸失利益の金額をどのようにすべきかは慎重に行う必要があります。