Author Archive
主婦の休業損害を含め約180万円の支払いを受けた事例(治療費は除く)
今回は,当事務所で取り扱った交通事故の案件の中で,兼業主婦をされていた被害者の方の事例をご紹介します。
事案の概要
事案は,停車中の被害車両に,前方から突然バックしてきた加害車両が衝突してきたという交通事故です。
自営業を営みながら通院をすることとなるなど,事故後の対応に不安な点も多かったことと,弁護士費用の特約にご加入されていたこともあって,事故当初からのご依頼となりました。
当事務所の活動
弁護士がお話を詳しく伺ったところ,事故後の通院や症状の影響から,たしかに自営のお仕事への影響があり,その分の休業損害の請求も可能なケースでした。
しかし,自営業の休業損害の場合,休業が必要だったのか,あるいは,必要だったとしてどの程度の休業が必要だったのかという点で難しいところが多く,金額の計算も,相手方の交渉では争いとなることが少なくありません。
他方で,今回の場合,自営の仕事の他に主婦業もされている方であったところ,実務上で認められる主婦業に関する休業損害の金額は決して低くありません。
そこで,休業損害については,治療終了後,主婦の休業損害として請求することにしました。
なお,今回は,特に後遺症は問題となりませんでした。
相手方保険会社との交渉
今回は,初回に賠償金額の提示を受ける前に,保険会社の担当者と簡単な交渉を行っていましたので,初回の提示額の時点で約128万円の提示を受けていました。
しかし,その後,さらに交渉を進め,最終的に約180万円の支払いを受けることで示談が成立しました。
交渉のポイント
兼業主婦の休業損害の計算
まず,兼業主婦の休業損害なのですが,一見すると,実際に休んだ仕事の損害分しか加害者に請求できないという感覚になるのではないでしょうか。
しかし,実務上,専業主婦の場合でも,女性労働者の平均賃金を使って賠償の請求ができるとされており,パートなどをしながら兼業主婦をしている人が,専業主婦の場合よりも受け取れる賠償金の額が小さいというのは不合理ですので,現実の収入額と女性労働者の平均賃金を比較して,高い方を用いて賠償金の計算をすることが認められています。
自営業の休業損害の請求の難しさ
自営業の休業損害の請求が難しいところは,実際に休業したのか,休業をしたとして,その休業が本当に必要だったのかが容易に分からないという点にあります。
サラリーマンであれば,実際に休業していたかどうかは会社に問い合わせれば分かりますし,会社との関係上,不必要に休業を続けることも通常はできません。
そのため,サラリーマンであれば,極端な休業の仕方をしなければ,この点が問題になることはあまり多くありません。
逆に,自営業であれば,誰かに勤怠を管理されているわけではないので,この点の検証が非常に難しいのです。
そのため,保険会社は,自営業の場合の休業損害の認定について厳しい態度をとってくることが多いです。
さらに,自営業の場合,所得の低下の他に,固定経費が無駄になるという問題もあります(例えば,休業していても発生するような店舗の家賃など)。
このような経費分も加害者に請求することが可能なのですが,この点も保険会社はすんなりとは認めません。
このように,自営業の休業損害について,適正な額の支払いを受けることは,一筋縄ではいきません。
主婦の休業損害として請求した理由
これに対し,主婦業の場合,まず基礎収入に関しては,実務上の考え方は固まっていますので,ほとんど問題になりません(保険会社は自賠責基準の5700円を主張することもありますが…)。
休業の日数については,明確な決まりがなく争いになりやすいところではありますが,自営業の場合よりは,緩やかに認められることが多いように思います。
この辺りは,同種の過去の事例のデータを元に妥当なラインを探るほかありません。
いずれにしても,今回は,支払いを受けられる金額の見込みを考慮して,主婦の休業損害として請求を行いました。
コメント
今回は,保険会社との交渉であまり争いになりませんでしたが,通常,主婦の休業損害の額はかなり大きな争いになります。
したがって,一般的には,弁護士が交渉を行ったからといって,このケースのようにすんなりと支払いが受けられるとは限りません。
しかし,そのように元々難しい問題であるからこそ,ご自身で解決することが一層難しい部分でもあります。
主婦の休業損害は,そもそもそのような賠償が可能であること自体気付かないことも多いのですが,金額は決して小さくありません。交通事故で負ったケガの影響で主婦業に支障が出ているような場合には,まずはお気軽に弁護士にご相談ください。当事務所では無料相談も実施しております。

千葉で交通事故のご相談なら福留法律事務所へ
当事務所は、千葉県を中心に交通事故の被害者救済に特化し、10年近くで500件以上の解決実績がある法律事務所です。
交通事故の示談交渉で保険会社から提示される賠償金額は、本来受け取るべき適正額より低いことがほとんどです。
特に、後遺障害が残る事故や死亡事故では、弁護士が交渉することで賠償金が大幅に増額されるケースも少なくありません。
当事務所では、交通事故被害に遭われた方の正当な権利を守るため、豊富な経験を持つ弁護士が示談金の増額交渉や後遺障害等級の認定を強力にサポートいたします。
保険会社とのやり取りで生じる精神的なご負担も、私たちが代理人となることで軽減できます。
「保険会社から提示された金額が妥当か知りたい」という方のために、賠償金額の無料診断サービスも行っております。
ご相談は千葉県全域に対応しており、後遺症に関するお悩みは全国からの電話相談も可能です。
ご来所が難しい場合でも、まずはお気軽にお問い合わせください。
後遺障害等級12級6号が認定され約580万円獲得した事例
今回は,当事務所で取り扱った交通事故の案件の中で,後遺障害等級12級6号が認定された事例をご紹介します。
事案の概要
事案は,自転車で横断歩道を横断中,左側から交差点に進入しようとした自動車に衝突されたというもので,被害者は,右手舟状骨骨折の傷害を負いました。
治療中の慰謝料等についてはご自身で示談をした後で,後遺障害に関する申請からの依頼となりました。
当事務所の活動
被害者請求
本件では,右手関節の可動域制限や疼痛等の神経症状が残存しており,後遺障害の認定が見込まれました。
そこで,各種資料を取り寄せ,被害者請求によって自賠責保険会社に保険金請求を行いました。
事前認定による申請もあり得たところでしたが,被害者請求は,提出書類を吟味できるほか,事前認定よりも早く賠償金を獲得できるというメリットがありますので,被害者請求を行いました。
申請の結果,可動域制限について,後遺障害等級12級6号が認定され(疼痛は可動域制限と通常派生する関係にあるため,これに含まれる。),保険金として224万円が支払われました。
相手方保険会社との交渉
自賠責保険は,あくまでも最低限の補償を迅速に行うためのものですので,被害者に対する賠償としては不足しています。
そこで,その分をカバーするための保険である,加害者側の任意保険会社に対して,差額の支払いの交渉を行いました。
当初,相手方は,慰謝料の額を裁判基準の8割,逸失利益は労働能力喪失期間を10年間と主張し,過失分と自賠責分を除いた最終の支払額を約220万円としていました。
しかし,弁護士が交渉を行った結果,慰謝料は満額,逸失利益は労働能力喪失期間が15年となり,最終の支払額は約360万円となって,140万円の増額に成功しました(弁護士介入後の獲得金額は約580万円)。
交渉のポイント
後遺障害に関する損害賠償の場合,将来にわたって発生する損害を予測することになりますので,どうしても金額が不明確になる部分があります。
このケースの場合,特に問題になるのは逸失利益の部分で,逸失利益とは,将来後遺症を原因としてどの程度の減収が発生するのかを予測して請求するのですが,これは,厳密に予測することは不可能なので,通常は,事故前の収入に認定された後遺障害の等級に応じて決められた労働能力喪失率をかけ,その減収がどの程度の期間続くのかという形で計算します。
今回認定された12級6号の場合だと,労働能力喪失率について争われることはあまり多くなく,争いになるのは減収が何年間続くのかという形で争われることが多いです(労働能力喪失期間)。
後遺障害は,基本的に永久に残存するものについて認定されるものですので,単純に考えると,働ける間は減収が続くということになります(一般的には67歳までとされます。)
ところが,実際には,そもそも労働能力喪失率どおりに減収が生じていなかったり,将来改善する可能性があるといった事情から,労働能力喪失期間で調整が行われることがあります。
また,むち打ち症に関して12級の13号が認定された場合,労働能力喪失期間が一般的に10年間とされることが多いことから,保険会社は12級となると10年という主張をしてきます。
12級6号の場合,基本的に,画像を見て可動域制限の原因が分かるような場合でなければ認定されず,画像上はっきりと原因が分かるような場合であれば,一生涯改善の見込みはないと考えられますので,労働能力喪失期間も基本的に67歳までと考えられます。
しかし,減収がないような場合には,裁判をしても見込んだとおりの金額が認められるとは必ずしも限りません。
本件の場合,ご本人の早期解決のご意向が強かったことや,慰謝料は満額となっていたこと,労働への支障も現時点ではそれほど大きくなかったことから,労働能力喪失期間を15年とすることで示談としました。
コメント
後遺障害は,等級の数字だけではなく,どういった後遺症に対して等級が認定され,実際にどのような支障が生じているのかということを見ながら,適正な賠償金額を判断していくことになります。
本件のような12級6号と,神経症状について認定される12級13号とでは,賠償上の違いがありますし,その他の等級(例えば変形障害や醜状障害など)の場合でも,特別な考慮が必要となることがあります。
この辺りの判断は,専門家でなければ難しいところですので,後遺症が気になる場合は,おひとりで悩まれずにお気軽に弁護士にご相談ください。当事務所では無料相談も実施しております。
弁護士に依頼すべき理由はこちら→「なぜ弁護士に交渉を依頼すべきか」

千葉で交通事故のご相談なら福留法律事務所へ
当事務所は、千葉県を中心に交通事故の被害者救済に特化し、10年近くで500件以上の解決実績がある法律事務所です。
交通事故の示談交渉で保険会社から提示される賠償金額は、本来受け取るべき適正額より低いことがほとんどです。
特に、後遺障害が残る事故や死亡事故では、弁護士が交渉することで賠償金が大幅に増額されるケースも少なくありません。
当事務所では、交通事故被害に遭われた方の正当な権利を守るため、豊富な経験を持つ弁護士が示談金の増額交渉や後遺障害等級の認定を強力にサポートいたします。
保険会社とのやり取りで生じる精神的なご負担も、私たちが代理人となることで軽減できます。
「保険会社から提示された金額が妥当か知りたい」という方のために、賠償金額の無料診断サービスも行っております。
ご相談は千葉県全域に対応しており、後遺症に関するお悩みは全国からの電話相談も可能です。
ご来所が難しい場合でも、まずはお気軽にお問い合わせください。
後遺障害等級10級で3000万円超の損害額が認められた事例
今回は,当事務所で取り扱った交通事故の案件の中で,後遺障害等級10級が認定された事例をご紹介します。
事案の経過
事案は,信号機による交通整理のされている交差点での事故で,バイクに乗って交差点を直進しようとした被害者が,右折をしようとした車にひかれたという交通事故です。
被害者は,親指のMP関節尺側側副靭帯損傷・MP関節亜脱臼,右肩関節脱臼といった傷害を負いました。
当事務所の活動
ご依頼
事故によって負った怪我の内容が比較的重く,初めての事故で不安に感じられていたため,事故当初からご相談に来られ,そのまま,物損も含めて弁護士が相手方との交渉を対応することとなりました(弁護士費用特約の加入はありませんでしたが,当事務所はそのような場合,相談料・着手金は無料ですので,当初からご依頼いただくこととなりました。)。
物損
物損はそれほど争いにならなかったのですが,必要書類の提出や示談内容のチェックなどを行いました(この点は成功報酬の計算の対象外としています。)。
治療中
治療中は,休業損害の請求などを弁護士が代わって行いました。この点も,あまり争いにならなかったので,成功報酬の計算の対象外としています。
治療終了後
治療終了後は,指関節の可動域制限などの後遺症が残っていたため,後遺障害申請のサポートを行うとともに,並行して,それまでに発生した慰謝料等の請求を行いました。
後遺障害等級認定後
後遺障害の申請を行った結果,後遺障害等級併合10級が認定されましたので,その結果を元に,後遺障害分について相手方の任意保険会社と交渉を行いました。
金額が大きかったため,交渉に若干の時間を要しましたが,後遺障害の内容から逸失利益は問題にならないことなどを強く主張し,逸失利益については請求額の満額,慰謝料についても裁判基準をベースに若干の減額を受けたのみで,傷害部分も合わせると総額約3000万円(ただし,治療費も含みます。),過失相殺15%分を除いた支払総額は約2600万円となり,後遺症分の最終支払額は約2200万円となりました。
その結果,ご依頼者様の早期解決の意向もあり,そのまま示談となりました。
メッセージ
交通事故に遭うことは一生に一度あるかないかのことで,保険や賠償の仕組みのことなど分からないのが通常です。
とはいえ,分からないからといって保険会社に任せきりでは,本来受けられるはずの補償が受けられないということは非常に多いです。
交通事故の被害に遭った上に,自分でも資料を揃え,交渉を行わなければならないのはおかしいと思われるかもしれません。
しかし,加害者としても,全てを言い値で支払うことはできませんので,どうしても最低限の資料や説明は必要となります。
特に,後遺症となると,将来の損害を予測して賠償の請求をすることになることとの関係上,複雑な問題を含むことがむしろ多数で,しっかりとした根拠とともに請求を行わなければ,適切に補償を受けることは困難です。
また,金額が大きければ,それだけ相手方のチェックも厳しくなります。
そのため,重い後遺症が残りそうな場合には,お早めに弁護士にご相談いただき,適切に交渉を行っていくことを強くおすすめします。

千葉で交通事故のご相談なら福留法律事務所へ
当事務所は、千葉県を中心に交通事故の被害者救済に特化し、10年近くで500件以上の解決実績がある法律事務所です。
交通事故の示談交渉で保険会社から提示される賠償金額は、本来受け取るべき適正額より低いことがほとんどです。
特に、後遺障害が残る事故や死亡事故では、弁護士が交渉することで賠償金が大幅に増額されるケースも少なくありません。
当事務所では、交通事故被害に遭われた方の正当な権利を守るため、豊富な経験を持つ弁護士が示談金の増額交渉や後遺障害等級の認定を強力にサポートいたします。
保険会社とのやり取りで生じる精神的なご負担も、私たちが代理人となることで軽減できます。
「保険会社から提示された金額が妥当か知りたい」という方のために、賠償金額の無料診断サービスも行っております。
ご相談は千葉県全域に対応しており、後遺症に関するお悩みは全国からの電話相談も可能です。
ご来所が難しい場合でも、まずはお気軽にお問い合わせください。
人身傷害保険の併用で過失分も含めて満額回収できた事例
今回は,当事務所で取り扱った交通事故の案件の中で,人身傷害保険を利用して過失分も含めて裁判基準で賠償金を回収できた事例をご紹介します。
事案の経過
事案は,駐車場内の事故で,被害者が駐車スペースにバックで自車を停めようとしたところ,停めようとした駐車スペースの横のスペースに停まっていた車が突然後退してきたため,被害者が運転する車と衝突してしまったという交通事故です。
当事務所の活動
物損
まず,今回の場合,駐車場内の車同士の事故であったため,過失なしとすることが難しいというところが問題となりました。
感覚的には,安全を確認した上で駐車スペースに向けて進んでいるため,いきなりバックしてきた相手の車が一方的に悪いという風に感じられるところです。
しかし,駐車場内の事故の場合に一般の道路と違うところは,車の間から歩行者が出てきたり,車が後退で動き出したりする可能性が高く,ドライバーが通常以上にそういったことに注意をしながら運転をしなければならないという点です。
そのため,駐車場内の事故の場合,過失がゼロとなることは難しく,通路を進行する車と駐車スペースから出ようとする車の過失割合は,通路を進行する車が30,駐車スペースから出ようとする車が70とされることが一般的で(別冊判例タイムズNo.38),保険会社は,駐車場内の事故というだけで,50対50を主張してくることも珍しくありません。
本件でも相手方は,当初過失割合を50対50と主張していました。
しかし,ご依頼を受け,防犯カメラの映像を元に,事故状況から被害者が事故を回避することが困難であったことを丁寧に説明し,最終的に過失割合を25対75としつつ,相手方の修理費用については負担しない(片賠と言います。)という条件で示談することができました。
片賠の場合,通常であれば負担すべき相手の修理費用の一部の負担がなくなるため,上記の例でいうと,実質的には25対75よりも有利な条件となります。
人身
物損については以上のように解決できましたが,人身の場合,片賠で解決ということにはなりません(加害者に人身損害が発生していたとしても,被害者の負担分は元々自賠責保険で賄って終了となるケースが多いため)。
そうすると,人身事故の場合でも,25%分は自分の損害について自己負担が発生することになります。
このときに注意をしなければならないのは,通常,被害者の過失割合が小さい場合であれば,加害者側の保険会社が治療費を全額負担してくれることが多いのですが,この分についても,実際には自己負担分が生じているということです。
例えば,裁判基準で計算したときに100万円の慰謝料が見込める場合であったとします。
このときに,過失が25%であったとすると,慰謝料として100万円×75%=75万円が受け取れるのかというとそうではありません。
仮に,それまでに治療費として病院に100万円が支払われていたとすると,加害者は被害者の自己負担分の25万円分多く支払ったことになりますので,この分が最終的に清算の対象となるのです。 その結果,慰謝料は先ほど計算した75万円から25万円を差し引いた50万円しか受け取ることができず,元の計算の半分となってしまいます。
この点は,気付いていないまま治療を受けている方がほとんどなので,自分に過失があるようなケースでは,治療費の総額をセーブすることも考えなければなりません。
具体的には,健康保険を利用することや(労災適用の場合は使用不可),整骨院に毎日通院することは控えるなどすることが考えられます。
このように,過失がある場合,被害者が受け取れる金額に大きな影響が出てくるのですが,このような過失の影響を受けずに済むような保険が後で説明する人身傷害保険です。
今回の場合,人傷害保険金を先に回収し,残額を裁判で相手方に請求するという方針をとりました。
そして,裁判所に提出する訴状と証拠を完成させた上で,相手方の保険会社に訴状をあらかじめ送付したところ,こちらが予定していた金額での和解に応じてくれたため(慰謝料は裁判基準の満額),実際には訴えを提起する前に解決となりました。
金額の変化
過失割合
当初50対50から0対75へ
人身回収額
当初の相手方の提示額は約79万円だったのですが,人身傷害保険金約91万の支払いを受け(ここでも若干の交渉を行いました。),さらに追加で約55万円の支払いを受け,合計で約146万円の支払いを受けることができました。
交渉のポイント
過失の交渉
過失割合については,通常想定されているケースとの違いを強く主張するとともに,片賠などで柔軟に解決方法を探ることが重要です。
人身傷害保険の特徴を知っておく!
人身傷害保険とは,被害者(被保険者)が交通事故で怪我をしたときに実費相当額を自分の保険でカバーするためのもので,附帯率は平成28年3月時点で90%を超えるとも言われています。
主に,自分の過失が大きい場合や,相手が保険に加入していなかったような場合に効果を発揮します。
しかし,この保険は,自分の過失が小さい場合であっても,非常に使える保険なのです。
人身傷害保険は,保険会社が定めた基準にしたがって保険金が支払われるもので,裁判基準を満額補償するものではありません。
しかし,詳しい説明はかなり専門的なので割愛しますが,裁判をすることによって,ご加入の人身傷害保険の保険会社に自分の過失分について支払いをしてもらい,元々加害者が負担すべきであった分については加害者に負担させるということが可能になるのです。
この点は保険会社の担当者もよく知らないことが多いのですが,人身傷害保険は裁判と組み合わせることによって,このような絶大な効果を発揮しますので,弁護士であれば当然この点も考慮しつつ方針を決めていくことになります。
メッセージ
人身傷害保険を最大限に利用しようと思うと,自ずと裁判をすることを視野に入れていくことになりますが,その場合の請求の仕方は,単純に自分の損害を請求する場合よりもはるかに複雑です。
また,弁護士でも,人身傷害保険の仕組みをよく知らないということもあります。
そのため,基本的にご自身で行うことは困難ですし,人身傷害保険を使わない通常のケースと同じようにうっかり示談をしてしまうと,大きく損してしまうということもあり得ますので,人身傷害保険にご加入の場合で自分にも過失があるようなケースの場合,交通事故に強い弁護士にご依頼されることをおすすめします。

千葉で交通事故のご相談なら福留法律事務所へ
当事務所は、千葉県を中心に交通事故の被害者救済に特化し、10年近くで500件以上の解決実績がある法律事務所です。
交通事故の示談交渉で保険会社から提示される賠償金額は、本来受け取るべき適正額より低いことがほとんどです。
特に、後遺障害が残る事故や死亡事故では、弁護士が交渉することで賠償金が大幅に増額されるケースも少なくありません。
当事務所では、交通事故被害に遭われた方の正当な権利を守るため、豊富な経験を持つ弁護士が示談金の増額交渉や後遺障害等級の認定を強力にサポートいたします。
保険会社とのやり取りで生じる精神的なご負担も、私たちが代理人となることで軽減できます。
「保険会社から提示された金額が妥当か知りたい」という方のために、賠償金額の無料診断サービスも行っております。
ご相談は千葉県全域に対応しており、後遺症に関するお悩みは全国からの電話相談も可能です。
ご来所が難しい場合でも、まずはお気軽にお問い合わせください。
【年末年始の営業に関するご案内】
拝啓 平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
さて,誠に勝手ながら下記の期間を休業とさせていただきます。
ご迷惑をおかけしますが、ご了承のほどお願い申し上げます。
休暇期間
平成29年12月29日(金)から平成30年1月3日(木)

千葉で交通事故のご相談なら福留法律事務所へ
当事務所は、千葉県を中心に交通事故の被害者救済に特化し、10年近くで500件以上の解決実績がある法律事務所です。
交通事故の示談交渉で保険会社から提示される賠償金額は、本来受け取るべき適正額より低いことがほとんどです。
特に、後遺障害が残る事故や死亡事故では、弁護士が交渉することで賠償金が大幅に増額されるケースも少なくありません。
当事務所では、交通事故被害に遭われた方の正当な権利を守るため、豊富な経験を持つ弁護士が示談金の増額交渉や後遺障害等級の認定を強力にサポートいたします。
保険会社とのやり取りで生じる精神的なご負担も、私たちが代理人となることで軽減できます。
「保険会社から提示された金額が妥当か知りたい」という方のために、賠償金額の無料診断サービスも行っております。
ご相談は千葉県全域に対応しており、後遺症に関するお悩みは全国からの電話相談も可能です。
ご来所が難しい場合でも、まずはお気軽にお問い合わせください。
人身傷害保険金の増額に成功した事例
今回は,当事務所で取り扱った交通事故の案件の中でも少し特殊なケースで,人身傷害保険金の増額に成功した事例をご紹介します。
事案の経過
事案は,交差点内の交通事故で,被害者が交差点にさしかかったところ,無謀運転の車両が交差点に進入してきたため,それを避けようとして別の車両に衝突してしまったというものです。
主たる責任がある無謀運転の車両は現場から逃走してしまったため,責任の追及はできず,かといって,実際にぶつかった相手の車両にも過失があるようには考えられなかったため,自身が加入する保険会社の人身傷害保険を利用して通院や休業損害の支払いを受けていました。
その後,治療を継続したものの,小指に可動域制限が残り,後遺障害等級13級6号が認定され,後遺症の分も含めて人身傷害保険金の額が保険会社から示され,内容に問題がないのかご相談に来られました。
当事務所の活動
契約の確認
人身傷害保険は,被害者と保険会社との間の契約ですので,契約通りの支払いといえるのかがチェックのポイントです。
そこでまず,人身傷害保険の約款を確認しました。
約款と保険会社から提示された金額を比較すると,慰謝料については,保険会社が定める方法によって計算されていて,問題はありませんでした。
問題は後遺症による逸失利益です。
逸失利益とは,後遺症による将来の減収を予測して,その分の損害を計算したものです。
これを見ると,減収が生じる期間(労働能力喪失期間)がなぜか8年分とされていて,根拠も曖昧で交渉の余地がありそうであったため,交渉をすることとなりました。
人身傷害保険金でも交渉できる!
保険会社の担当者は,初めはそもそも人身傷害保険の金額について交渉の余地はないという感じでした。
たしかに,加害者側の保険会社に請求する場合と異なり,支払の基準が明記されているため,争いになることは多くはないでしょう。
しかし,人身傷害保険は,基本的に実際に生じた損害を補填する保険ですので,損害の大きさを不当に小さく見積もっていれば,当然交渉の対象となります。
そこで,まずはこの点について,人身傷害保険の基本的な性質を踏まえて説明するところから始めました。
逸失利益の交渉
次に,交渉の対象となることについては同意が得られたため,本題の逸失利益の額について交渉をしていきました。
労働能力喪失期間が8年とされた理由は,被害者が消防士で,その現役の期間だということでした。
しかし,被害者に確認してもそのような事実はないとのことでしたので,まずは実際の現役年齢がどのくらいなのかを説明し,この点についてはある程度説得することができました。
ただ,交渉に当たって,実際に減収が生じていないという問題があったため,この点についてきちんと説明しなければなりませんでした。
この点については,従前の給料の内訳,後遺障害の内容と現在の仕事への支障,将来の減収の可能性などについて,様々な資料を提供することによって,和解に至ることができました。
金額の変化
交渉の結果,労働能力喪失期間について,当初8年とされていたところを30年分としつつ,労働能力喪失率について若干の調整を行い,結果として,当初の提示額約368万円から約664万円へと約300万円の増額に成功しました。
交渉のポイント
加害者への請求との違い
人身傷害保険金の算定は,保険の契約の内容によって決まりますので,加害者に損害賠償の請求をするのとは違います。
そのため,契約上,保険会社がどこまで支払いをしなければならないのかという契約の解釈の問題となります。
この点についてきちんと区別ができていないと,まともに取り合ってもらうこともできないでしょう。
一般的に,弁護士が加害者側の保険会社と増額交渉をするものの代表的なものは慰謝料です。
慰謝料は,法律的に見ると,必ずしも基準があるわけではなく,事故に遭った人の状況によって金額に違いが出てくるところです。
そのため,支払をする保険会社としては,できるだけ低く見積もろうとしますし,被害者としては,反対にできるだけ高く見積もろうとしますので,このギャップを埋める交渉が必要となります。
ところが,人身傷害保険の場合,慰謝料の算出方法について約款上明確に決められていますので,基本的に慰謝料の額を争うことはできません。
しかし,慰謝料の金額が変わらないといっても,既に述べたように,交渉できるところがあるかもしれないのです。
減収がない場合の逸失利益
逸失利益は,後遺症による減収についての賠償ですので,本来であれば,全く減収がなければ請求は認められないということになりそうです。
しかし,実際は,本人の努力や職場の配慮でカバーしているに過ぎなかったり,将来的な昇給の遅れ等の可能性があったりするので,減収がないからといって門前払いされることはありません。
ただし,公務員のような一般の会社員などよりも身分保障が手厚い場合は,若干厳しく見られる可能性があり,本件はまさにそのようなケースでした。
このような場合は,損害が発生することをより説得的に伝える必要がありますので,過去の裁判例などに照らし,資料をきちんと揃えて,説明も丁寧に行うことが重要となります。
メッセージ
人身傷害保険金の請求は,保険の契約に基づく請求であり,加害者に対して求める損害賠償の請求とは違います。
しかし,専門的な契約の内容に関することですので,加害者に賠償の請求をするとき以上に,被害者は弱い立場に立たされるともいえます。
保険会社から,「保険の契約で決まっているから。」と言われたら,信じざるを得ないのではないでしょうか。
また,人身傷害保険は,加害者からスムーズに支払いを受けられない何らかの事情がある場合に使うことが多く,あくまでも補助的なものですので,被害者としても,元々期待値が高くないということもあると思います。
しかし,そういう場合でも,出された金額について疑問に感じれば一度検証をしてみるということは重要で,今回はご相談に来られたことで大幅な増額が可能となりました。
相手の保険会社であろうと自分の保険会社であろうと,言われるがままにしていると思わぬところで損をしているかもしれないことに違いはありません。
今回のケースは,典型的なケースとはいえませんが,人身傷害保険の支払額について疑問がある場合は,一度弁護士にご相談されてみてはいかがでしょうか。

千葉で交通事故のご相談なら福留法律事務所へ
当事務所は、千葉県を中心に交通事故の被害者救済に特化し、10年近くで500件以上の解決実績がある法律事務所です。
交通事故の示談交渉で保険会社から提示される賠償金額は、本来受け取るべき適正額より低いことがほとんどです。
特に、後遺障害が残る事故や死亡事故では、弁護士が交渉することで賠償金が大幅に増額されるケースも少なくありません。
当事務所では、交通事故被害に遭われた方の正当な権利を守るため、豊富な経験を持つ弁護士が示談金の増額交渉や後遺障害等級の認定を強力にサポートいたします。
保険会社とのやり取りで生じる精神的なご負担も、私たちが代理人となることで軽減できます。
「保険会社から提示された金額が妥当か知りたい」という方のために、賠償金額の無料診断サービスも行っております。
ご相談は千葉県全域に対応しており、後遺症に関するお悩みは全国からの電話相談も可能です。
ご来所が難しい場合でも、まずはお気軽にお問い合わせください。
交通事故に遭った後で,2回目の事故に遭ってしまったら?
ある日突然交通事故に遭うことは,その人にとって大きな問題となりますが,あまりよくあることではありません。
しかし,不幸にして,交通事故に遭った後,さらに2回目の交通事故に遭われる方もいらっしゃいます。
そして,多数の交通事故事件を取り扱っていると,そういった複数の交通事故が絡むケースに遭遇することが少なからずあります。
そこで,今回は,そのように2回以上の複数回交通事故に巻き込まれた場合,損害賠償がどうなるのか見てみたいと思います。
3つのケース
複数の事故に巻き込まれるパターンには,大きく分けて以下の3つが考えられます。
①1事故目に遭って,治療も終えた後で,再度交通事故に遭った場合
②1事故目に遭って,治療をしていたところ,治療が終了しない間に新たに交通事故に遭った場合
③交通事故に遭って自分の車がはじき出されたところ,別の車に追突されたような場合
今回は,この中の①のケースについて見ていきます。
共同不法行為とは
上記の各ケースは,それぞれ問題となることが異なりますが,共通しているのは,誰にどれだけの責任を負わせることができるのかという問題です。
これを解決するための法律上の規定としては,共同不法行為というものがあります。
共同不法行為が成立すると,各加害者が全損害について連帯して責任を負うことになりますので,被害者としては,どちらかの加害者に対して,自分に生じた損害の全額を請求すれば足りますので,被害者にとっては非常に便利な制度です。
しかし,賠償金額を算定することが難しいケースであっても,全てこの制度で処理できるとは限らないというところに問題があります。
既に治療が終了していた①のケース
共同不法行為は使えるのか
この場合,誰が怪我を負わせたのか分からないというようなケースではないので,基本的に共同不法行為は使えないといってよいでしょう。
治療期間中の損害
このケースの場合,1事故目の治療が終了するまでの治療費や休業損害を1事故目の加害者に請求して,2事故目の発生から2事故目の治療終了までの治療費や休業損害は2事故目の加害者に請求すれば良いので,ここまでは問題ありません。
問題となるのは,1つ目の事故で後遺障害が残って,2つ目の事故でも後遺障害が残ったという場合です。
後遺障害 自賠責の場合
自賠責保険では,加重障害といって,既に後遺障害が認定されていた場合に,同じ部位にさらに重い後遺障害が認定された場合,新たに認定された後遺障害の保険金の額から既に認定されて支払われた保険金分の額を差し引いた額が支払われることになります。
部位が異なれば,通常通り保険金の支払いが出ることになります。
後遺障害 裁判基準での請求の場合
(1) 逸失利益
自賠責保険の場合は,決められた基準に従って形式的に支払えば良いのでこれでいいのですが,我々が加害者に損害賠償の請求をするときは,実損害の請求になりますので,実際にどのくらいの損害が発生したのかを正確に算出する必要があります。
1つ目の事故の加害者に対しては,後遺障害の認定が出た段階で損害の計算ができ,それにしたがって請求すれば良いので特に問題はありません。
これに対し,2つ目の事故の後遺障害については,既に1つ目の事故で労働能力の低下などが見られるため,このことをどのように考慮し,請求が可能な金額がどうなるのか少し考えてみる必要があります。
この点については,次の3つのものが考えられています。
①2事故目の直前の収入を基礎収入として,2事故目自体の労働能力喪失率をかける
②2事故目の後遺障害の等級に基づいて逸失利益を計算し,そこから1事故目の後遺障害の等級に基づいた逸失利益を引く
③2事故目の後遺障害等級に基づいて逸失利益を計算し,そこから1事故目の後遺障害の存在を理由として相当な割合で減額する。
①の方法は,事故直前の収入が,既存障害を前提として得ていたものであるため,この時点で既存障害を考慮することができているので,実態も合っていて分かりやすい方法です。
しかし,2事故目自体の労働能力喪失率とはどうやって認定するのでしょうか?
現実的な計算方法として,A.2つの後遺障害の労働能力喪失率を引き算するという方法と,B.1事故目と2事故目の間の労働能力の差を1事故目の後で残った労働能力率で割るという方法,C.専門家の意見を聞いて独自に認定するという方法が考えられます。
②の方法は,2事故目の逸失利益の計算の際の基礎収入をどう設定すれば良いのかという問題があり,③の方法は,どのような割合で減額すればよいのか不明であるという問題があります。
(2) 慰謝料
慰謝料についても,通常とは異なる考え方が取られます。
別部位の場合は,それ自体,単独で後遺障害が残ったのとあまり変わらない程度の精神的苦痛が生じたといえるのではないかと思いますが,同一部位の加重障害の場合,そのように言えるのかが問題となります。
ここでも,次のような3つの考え方があります。
①2事故目自体の後遺障害の等級を想定し,それによって慰謝料の額を決める。
②2事故目の加重障害の等級に基づく慰謝料の額から1事故目の等級に基づく慰謝料の額を差し引く。
③加重障害の等級に基づく慰謝料の額から相当な割合で減額する。
まとめ
以上のように,加重障害が生じた場合の賠償金額の計算方法には様々なものがあり,裁判上も確定していません。
そのため,実際に受け取れる金額の見通しをつけることは非常に難しく,特に交渉でどのような金額を求めれば良いのか判断することは難しいところです。
このような複雑な事態が生じた方は,早急に弁護士にご依頼されることをおすすめします。
(参考文献 2006年版 赤い本 下巻 129頁~)

千葉で交通事故のご相談なら福留法律事務所へ
当事務所は、千葉県を中心に交通事故の被害者救済に特化し、10年近くで500件以上の解決実績がある法律事務所です。
交通事故の示談交渉で保険会社から提示される賠償金額は、本来受け取るべき適正額より低いことがほとんどです。
特に、後遺障害が残る事故や死亡事故では、弁護士が交渉することで賠償金が大幅に増額されるケースも少なくありません。
当事務所では、交通事故被害に遭われた方の正当な権利を守るため、豊富な経験を持つ弁護士が示談金の増額交渉や後遺障害等級の認定を強力にサポートいたします。
保険会社とのやり取りで生じる精神的なご負担も、私たちが代理人となることで軽減できます。
「保険会社から提示された金額が妥当か知りたい」という方のために、賠償金額の無料診断サービスも行っております。
ご相談は千葉県全域に対応しており、後遺症に関するお悩みは全国からの電話相談も可能です。
ご来所が難しい場合でも、まずはお気軽にお問い合わせください。
【夏季休暇・営業時間変更のご案内】
誠に勝手ながら,弊所では,下記の期間を夏季休暇期間とさせていただきます。
休暇期間 平成29年8月15日(火)~平成29年8月18日(金)
※平成29年8月14日(月)は,営業時間を16時までとさせていただきます。
また,平成29年8月21日(月)から,サービス向上のため,営業時間を下記のとおり変更させていただきます。
営業時間の変更
(平成29年8月10日まで)
10時~19時
(平成29年8月21日から)
9時~18時
ご面倒をおかけしますが,ご了承の程,何卒,よろしくお願いいたします。

千葉で交通事故のご相談なら福留法律事務所へ
当事務所は、千葉県を中心に交通事故の被害者救済に特化し、10年近くで500件以上の解決実績がある法律事務所です。
交通事故の示談交渉で保険会社から提示される賠償金額は、本来受け取るべき適正額より低いことがほとんどです。
特に、後遺障害が残る事故や死亡事故では、弁護士が交渉することで賠償金が大幅に増額されるケースも少なくありません。
当事務所では、交通事故被害に遭われた方の正当な権利を守るため、豊富な経験を持つ弁護士が示談金の増額交渉や後遺障害等級の認定を強力にサポートいたします。
保険会社とのやり取りで生じる精神的なご負担も、私たちが代理人となることで軽減できます。
「保険会社から提示された金額が妥当か知りたい」という方のために、賠償金額の無料診断サービスも行っております。
ご相談は千葉県全域に対応しており、後遺症に関するお悩みは全国からの電話相談も可能です。
ご来所が難しい場合でも、まずはお気軽にお問い合わせください。
後遺障害等級14級9号で5年を超える労働能力喪失期間が認められた事例
今回は,当事務所で取り扱った交通事故の案件の中で,後遺障害等級14級9号が認定され,逸失利益の労働能力喪失期間が5年に限定されなかった事例についてご紹介します。
事案の経過
事案は,信号機のある交差点の交通事故で,被害者が原付バイクで交差点を直進しようとしたところ,対向車線の自動車が右折しようとしてきて衝突したというものです。
被害者は,交通事故により右足関節を骨折し,8か月以上の通院をしたものの後遺症が残り,自賠責保険で後遺障害等級14級9号が認定されたところ,相手方の保険会社から賠償金の提示があったため,ご相談に来られました。
当事務所の活動
骨折後の後遺障害ですので,12級13号の可能性も考えられましたが,既に提出済みの資料や,ご依頼者様のご意向により,14級9号を前提として,賠償金の増額交渉を行うこととしました。
賠償金額
元々の相手方の提示額は,全て合わせて約88万円(自賠責保険金75万円除く)で,後遺障害部分に限っていうと,過失分(15%)を差し引くと自賠責保険金を下回るというもので,追加支払については実質0円となっていました。
しかし,弁護士がご依頼を受けて交渉を行ったところ,過失分と自賠責保険金を差し引いても後遺障害部分でだけで約110万円,傷害部分を加えると,合計約280円(自賠責保険金を加えると約360万円)となり,増額幅は約195万円となりました。
交渉のポイント
⑴ 本件の特徴
本件で認定された後遺障害等級14級9号で,交通事故ではよく見られる等級といえます。
しかし,14級9号が認定される例として多いむち打ち症とは異なり,今回は足関節の骨折後の14級9号であったというところに,特徴がありました。
⑵ 逸失利益の問題
後遺障害が残った場合に請求することができる逸失利益とは,これ以上良くならない後遺症によって将来の減収が生じることを補填するものです。
そのため,症状が固定してから,年齢により働けなくなるまでの期間(一般的に67歳までとされることが多いです。)について,この減収分を請求することになります。
ところが,一部の後遺障害の中には,後遺障害と認定されながら,後遺症による減収が一生続くことはないとして,労働能力喪失期間を一定の期間に限定されるものがあります。
その代表的なものが,14級9号です。
14級9号とは,痛みやしびれといった神経症状について主に認定されるもので,症状が回復したり,症状に慣れること等によって,労働能力が回復すると考えられています。
そのため,14級9号の場合は,労働能力喪失期間は67歳までとはされず,特にむち打ち症を原因とするものについては,裁判上,労働能力喪失期間を原則として5年とすることが定着しています。
⑶ 骨折の場合
このように,14級9号は,他の後遺障害のように機械的に賠償金の算出をすることができないという難しさがあり,保険会社が労働能力喪失期間を限定してくることにも理由があります。
そこで,実際には,何年程度が妥当なのかということが問題になってきます。
むち打ち症の場合には5年が一般的と書きましたが,骨折の場合はどうなのでしょうか?
骨折の後の14級9号の場合は,裁判上も明確な基準があるわけではなく,67歳までとするものもあれば,10年とするものもあり,むち打ち症の場合と同様に5年とするものも見られます。
⑷ 今回のケース
今回のケースでは,保険会社は労働能力喪失期間を当初3年と主張していました。
しかし,上で述べたように,裁判ではむち打ち症の場合でも5年,骨折の場合はそれを超える期間を認定するものも少なくないことから,労働能力喪失期間について交渉を行いました。
その結果,労働能力喪失期間は8年,後遺障害慰謝料も当初は40万円とされていたところを110万円(裁判基準の満額)とすることで示談することができました。
メッセージ
後遺障害の逸失利益の計算は,一般的な計算方法は確立されているものの,後遺障害の内容,原因となった傷害,職業,年齢といった事情から,必ずしも一般的な考え方で対処できるものではありません。
最近の裁判の動向などを元に,どのあたりで示談をすべきなのかを見極めることが大事です(場合によっては裁判をすべきこともあるでしょう。)。
また,一般的な考え方では処理できないという場合は,被害者の側で,その理由を資料によって根拠を示しつつ説明していかなければなりません。
特に,後遺障害の損害賠償は,将来の損害を予測して請求するという性質のものであることから,この辺りの説得が難しいところです。
交通事故で後遺障害の損害賠償が問題となった場合は,一度弁護士にご相談ください。
弁護士に依頼すべき理由はこちら→「なぜ弁護士に交渉を依頼すべきか」

千葉で交通事故のご相談なら福留法律事務所へ
当事務所は、千葉県を中心に交通事故の被害者救済に特化し、10年近くで500件以上の解決実績がある法律事務所です。
交通事故の示談交渉で保険会社から提示される賠償金額は、本来受け取るべき適正額より低いことがほとんどです。
特に、後遺障害が残る事故や死亡事故では、弁護士が交渉することで賠償金が大幅に増額されるケースも少なくありません。
当事務所では、交通事故被害に遭われた方の正当な権利を守るため、豊富な経験を持つ弁護士が示談金の増額交渉や後遺障害等級の認定を強力にサポートいたします。
保険会社とのやり取りで生じる精神的なご負担も、私たちが代理人となることで軽減できます。
「保険会社から提示された金額が妥当か知りたい」という方のために、賠償金額の無料診断サービスも行っております。
ご相談は千葉県全域に対応しており、後遺症に関するお悩みは全国からの電話相談も可能です。
ご来所が難しい場合でも、まずはお気軽にお問い合わせください。
後遺症を残した被害者が亡くなった場合の賠償額
交通事故の損害賠償と一言で言っても,実際には1つとして同じ事件はありません。
中には,特殊な状況により,どのような損害賠償の請求ができるのか迷うような場面もあります。
今回は,その中でも,交通事故で後遺障害を残した被害者が,その後加害者から賠償金の支払いを受ける前に亡くなってしまったという場合について,請求がどうなるのか見ていきたいと思います。
何が問題?
そもそも,このようなケースで何が問題になるのでしょうか?
まず前提として,後遺障害の損害賠償請求が可能なものを確認します。
後遺障害について損害賠償の請求ができるものとしては,次の3つが考えられます。
①慰謝料
②逸失利益
③将来介護費用
それぞれ,①は精神的苦痛に対する賠償,②は後遺障害による収入の減少に対する賠償,③は重度の後遺障害を負ったことによる介護費用に対する賠償を意味します。
この内,①の慰謝料については,後遺障害の等級に応じて請求をすることができます(厳密にいうとこれも問題になりえますが。)。
これに対し,②と③は,将来的に実際に生じる損害を予測して支払いを求めるものです。
例えば,40歳で重度の後遺障害を残すことが確定した被害者の場合,逸失利益については,その後67歳(一般的な就労可能年限)までの27年間分の減収を予測して請求することになります。
同じく将来介護費用については,平均余命までの年数分にかかる介護費用を計算して請求することになります。
このように②と③については,あくまでも将来現実に発生する損害を予測して請求するという性質のものです。
したがって,その予測した未来が到来する前に被害者が死亡したのであれば,その時点で将来の減収を考慮する余地はなく,介護の必要性も消滅するのではないのかという疑問が生じるのです。
2つの考え方
この問題については,2つの考え方があり,1つを切断説,もう1つを継続説といいます。
切断説…逸失利益は死亡時までに限られるという見解
継続説…死亡の事実を考慮せず,死亡後であっても後遺症の存続が想定できた期間についてはこれを対象期間として逸失利益を算定すべきであるとする見解
実務で採用されている考え方
逸失利益について
〇最高裁判例①(平成8年4月25日判決)
逸失利益については,「貝採り事件判決」という有名な判例があります。
事案は,交通事故によって脳挫傷,頭蓋骨骨折,肋骨及び左下腿の骨折といった重傷を負った被害者が,知覚障害,腓骨神経麻痺,複視といった後遺障害を残していたところ,自宅近くの海で貝採りをしているときに,心臓麻痺を起こして死亡したというものです。
(1) 一審
一審は,逸失利益の継続期間を死亡時までに限らないとしつつ,被害者が死亡したことにより,その後の生活費の支出を免れているとして生活費の控除(30%)を行うとしました。
(2) 控訴審
これに対し,控訴審では,逸失利益の算定にあたって,一般的に平均的な稼働可能期間を前提としているのは,事の性質上将来における被害者の稼働期間を確定することが不可の王であるため,擬制を行っているものであるとし,被害者の生存期間が確定してその後の逸失利益が生じる余地のないことが判明した場合には,死亡した事実を逸失利益の算定にあたって斟酌せざるを得ないとして,死亡時以後の逸失利益を認めませんでした。
(3) 最高裁
最高裁は,「労働能力の一部喪失による損害は,交通事故の時に一定の内容のものとして発生している」として,逸失利益の継続期間について,死亡した事実は考慮しないとしました。
ただ,例外的に,交通事故の時点で,その死亡の原因となる具体的事由が存在し,近い将来における死亡が客観的に予測されていた場合には,死亡後の期間の逸失利益は認められないとしています。
この例外的な場合とは,交通事故当時既に末期がんで,交通事故後にがんで亡くなったような場合が想定されています。
★生活費の控除
〇最高裁判例②(平成8年5月31日判決)
①の一審が行った生活費の控除については,①の最高裁判決では判断を示していません。この点については,同じ年に出された次の最高裁の判決があります。
事案は,交通事故によって後遺症が残った被害者が,別の交通事故で死亡したというものです。
上記の点について最高裁は,「交通事故と被害者の死亡との間に相当因果関係があって死亡による損害の賠償をも請求できる場合に限り,死亡後の生活費を控除することができる。」としました。
その理由として,交通事故と死亡との間に相当因果関係が認められない場合には,被害者が死亡により生活費の支出を必要としなくなったことは,損害の原因と同一原因により生じたものということができず,損益相殺の法理またはその類推適用ができないことを挙げています。
このように,逸失利益の算定に当たっては,後遺症が残った後に被害者が死亡したとしても,原則としてそのことを理由に金額を減額することはしないということになります。
将来の介護費用
重度の後遺障害が残った場合、事故の前とは異なり自立して生活ができなくなることがあり、その場合、介護が必要となってきます。
介護が必要になると、施設の利用料や介護サービスの利用料が発生したり、家族が自宅で介護を行う場合でも、家族にかかる負担は非常に重いものになります。
これらについても、加害者が賠償の責任を負うものとなりますが、その都度請求するというよりも、将来の介護費用を計算して一括して加害者に請求することが多いです。
これが、「将来の介護費用」です。
〇最高裁判例③(平成11年12月20日)
被害者が交通事故の後に別の理由でなくなった場合、将来の介護費用について死亡後の期間分も負担することになるのかが問題となります。被害者が亡くなったことで、それ以降の介護費用が実際には発生しないことが明らかになっているからです。
これについては次の最高裁の判例があります。
事案は,交通事故によって後遺障害等級1級3号の重度の後遺障害を残した被害者が,その後胃がんにより死亡したというものです。
この事例で,加害者が被害者の死亡後の期間についても将来の介護費用を負担しなければならないのかが争われました。
結論としては,最高裁は死亡後の介護費用の支払いについては認めませんでした。
その理由として,「被害者が死亡すれば,その時点以降の介護は不要となるのであるから,もはや介護費用の賠償を命ずべき理由はなく,その費用をなお加害者に負担させることは、被害者ないしその遺族に根拠のない利得を与える結果となり,かえって衡平の理念に反することになる。」と述べています。
整理が難しい問題
事故と関係なく亡くなったのであれば,それ以降の逸失利益を加害者が負担する理由はないのではないかという気もします。
しかし,損害賠償の基本的な考え方や,仮に死亡後の逸失利益を払わなくても良いとした場合の実際上の不都合の問題から,逸失利益については,死亡後の分も含めて賠償の義務があるとされています。
他方で,将来の介護費用については,現実に支出する費用の補填であるため,その必要がなくなった場合にまで加害者に負担を負わせるべきではないと考えられているのです。
このように,後遺症が残った後で被害者が亡くなった場合,整理が難しい問題がありますが,相手方に賠償を請求する場合,基本的に1円単位で賠償金額を計算する必要があり,実際にこのような状況になった場合,上記のような考えにしたがって正しく計算を行う必要があります。
損害賠償を請求する中で,どう考えたら良いのか迷うようなことが生じた場合には,一度弁護士にご相談されることをおすすめします。
(参考文献 上記判例の最高裁判所判例解説)

千葉で交通事故のご相談なら福留法律事務所へ
当事務所は、千葉県を中心に交通事故の被害者救済に特化し、10年近くで500件以上の解決実績がある法律事務所です。
交通事故の示談交渉で保険会社から提示される賠償金額は、本来受け取るべき適正額より低いことがほとんどです。
特に、後遺障害が残る事故や死亡事故では、弁護士が交渉することで賠償金が大幅に増額されるケースも少なくありません。
当事務所では、交通事故被害に遭われた方の正当な権利を守るため、豊富な経験を持つ弁護士が示談金の増額交渉や後遺障害等級の認定を強力にサポートいたします。
保険会社とのやり取りで生じる精神的なご負担も、私たちが代理人となることで軽減できます。
「保険会社から提示された金額が妥当か知りたい」という方のために、賠償金額の無料診断サービスも行っております。
ご相談は千葉県全域に対応しており、後遺症に関するお悩みは全国からの電話相談も可能です。
ご来所が難しい場合でも、まずはお気軽にお問い合わせください。