後遺障害12級13号【左寛骨臼骨・左大腿骨頭骨折】で500万円→1000万円
事案の概要
事故は,道路上で交通整理を行っていた被害者が,前方不注視の加害車両にひかれたというもので,被害者は,骨盤や大腿骨を骨折して入院を要することとなり,リハビリのための通院を続けたものの,関節面の不整を原因とする関節痛等の後遺症が残存することとなりました。
事前認定により後遺障害等級12級13号が認定されたものの,保険会社から示された賠償金の額に疑問を持たれたため,依頼となりました。
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依頼前の状況
本件では,依頼の前に,認定済みの後遺障害等級にしたがって保険会社から賠償金額が示されていましたので,その金額を増額することができるかどうかが問題となりました。
具体的には,入通院慰謝料が約120万円,後遺障害逸失利益が約250万円,後遺障害慰謝料100万円,その他調整金を合計して,500万円という金額が示されていました。
示談交渉の結果
まず,入通院慰謝料については,自賠責保険の基準よりは高額でしたが,入院が3カ月強と比較的長期間に及んでいたことに照らすと低額であったため,その点を考慮し,約220万円で請求しました。
後遺障害逸失利益は,労働能力喪失期間を10年とされていたため,これを,一般的な後遺障害に合わせて67歳となるまで(31年)として計算し,約500万円で請求しました。
最後に,後遺障害慰謝料は,12級が認定された場合の一般的な事例にならい,290万円で請求を行いました。
その結果,請求のほぼ満額に当たる1000万円で示談することができました。
ポイント
本件は,その他のケースと比較して,保険会社がこちらの請求に対して大きく譲歩してきた事案であったといえます。
一般的に,示談交渉の段階で保険会社がこちらの請求の満額を支払ってくることは決して多くありません。
弁護士が行う請求は,一般的な相場にしたがって行ってはいますが,個別の事情を見ると,必ずしも裁判所で認められるとは限らないものが含まれているためです。
本件の場合,特に逸失利益について,12級13号という神経症状に関する後遺障害であり,裁判実務上,労働能力喪失期間が限定される例も散見されるため,裁判をした場合には減額となる可能性もありました。
そのような中で,示談交渉の段階で請求した金額のほとんどが認められたため,被害者にとっていい解決となったのではないかと思います。