こんな弁護士には要注意?

2016-10-24

 交通事故について依頼する弁護士を探してこのHPをご覧になっている方は,交通事故に強い,交通事故専門の弁護士を探されていることと思います(※もっとも,日弁連では,H28.10現在,弁護士の専門性を認定する制度がないため,HP等の広告で「専門」と表示することは差し控えるのが望ましいとしています。)。

 交通事故に強い弁護士がどういう弁護士かということについては,当事務所のHPでも「交通事故に強い弁護士とは」の中で簡単にご説明していますが,やはり,1回で判断するのはなかなか難しいというのが実際のところです。

 ただ,反対に,交通事故事件であるかどうかにかかわらず,一般的にこのような弁護士は良くないということについては,比較的容易に分かる場合があります。

 そこで今回は,どのような弁護士が良くないのかという点について述べていきたいと思います。

 

① 依頼をしてもらうためにとにかく強気なことを言う

 まず,依頼を受ける段階ですが,とにかく依頼してくれればプラスになるということを強調して,強引に依頼を受けようとすることが考えられます。

 多少のセールストークをすることは,弁護士のキャラクターによる部分もあるので絶対に悪いとは言えませんが,例えば,「絶対にこれだけ賠償金をとれます!」,「絶対に後遺障害について等級を認定させます!」,「すぐに解決できます!」というように,一定の結果を約束することは,弁護士の決まりで明確に禁止されています(弁護士職務基本規程29条2項)。

 どんなに簡単なように見える事案であっても,細かい事情や裁判官等の判断によっては,結果を100%保証することなどできるはずがなく,このような説明をして依頼を受けようとすることは非常に問題があるのです。

 また,それほど極端な場合でなくても,明らかに想定しなければならないリスクがあるにもかかわらず,その説明を十分に行わないという場合も,やはり問題があると言えるでしょう。

 リスクばかりを強調して,可能性を初めから放棄することも同様に問題がありますが,逆に強気する説明を受けて,思ったような結果が得られずに高額な弁護士費用が無駄になったということになっても困ります。

 弁護士に依頼する際は,リスクも含めて,事件の見通しについて丁寧に説明してくれる弁護士かどうかを見ることが大切です。

 

② 事件放置・報告の遅れ

 弁護士との間で特に問題になりやすいのが,事件放置です。

 弁護士も,好きで事件を放置しているわけではないので,依頼の段階ではなかなか分かりません。

 この原因として考えられるのは,他の事件が忙しすぎて手が回らない,あるいは他の事件の対応で忘れてしまったということが典型例だと思います。

 弁護士としては,大量に事件があるため,やむを得ずそうなってしまったということなのでしょうが,依頼された方にとっては,頼りにできるのはその弁護士だけです。

 したがって,常に即日対応というのは現実的に難しいにせよ,多忙を理由に事件を放置するということはあってはなりませんし,多忙を理由に事件を処理できないのであれば,そもそも事件を受けるべきではありません。

 一般的には,多忙な弁護士というと,経験豊富で頼りになるようなイメージがあるかもしれませんが,弁護士の業務はいつ突発的に対応すべきことが発生するか分かりませんので,そういったことに対応できるよう,ある程度余裕をもっていることも必要であると思います。

 ご相談時に,弁護士にそれとなく現在の多忙ぶりについて確認されるといいかもしれません。

 

③ 早く事件を終わらせるために不利な示談をすすめてくる

 これは,なかなか分かりにくいのですが,例えば,裁判等をすればより高額の賠償金を受け取れる可能性が非常に高いのに,そのようなメリットはあまり述べず,裁判のデメリットである時間がかかることや,法的なリスクを強調して,低額の示談を勧めてくるということが考えられます。

 裁判は,ふたを開けてみないとどのような結果になるか分からないので,事前に結果を約束できないことは既に述べたとおりですが,あまりにもリスクを強調しすぎることも考えものです。

 法的なリスクがあることを踏まえて,それでも裁判をすべき事情があるのであれば,裁判をすべきです。

 最終的には,ご依頼された方のご都合などがありますので,確実にこうすべきということはありませんが,少なくとも,過度にリスクを強調することで,必要以上に裁判をすることに消極的にさせてしまうのは良くないでしょう。

 

 まとめ

 弁護士にも様々なタイプがありますが,ここで述べたようなタイプの弁護士は依頼者の方にとって良くないと言えるでしょう。

 ご相談時には,これらの点を意識しながら,事件の見通しの説明等を聞いていただき,信頼できる弁護士を選んでいただくと良いと思います。