通院日数が少なくてもむち打ち症で後遺障害等級14級9号が認定された事例

2017-04-13

 今回は,当事務所で取り扱った案件の中で,医療機関での通院日数が比較的少なくても後遺障害等級の認定がされた事例についてご紹介します。

 

事案の経過

 事案は,交差点で停車中に追突されたという事故で,被害者の方が頚椎捻挫,腰椎捻挫の傷害を負ったというものです。

 その後,約8か月間通院を続けたものの,頚部痛や左でん部痛・左下肢しびれといった後遺症が残ることとなりました。

 そのため,後遺症について後遺障害等級の認定申請を行うことになったのですが,ここで1つ問題がありました。

 それは,ご依頼者様の通院が,整骨院が中心で医療機関での通院は合計で25日しかなかったということです。

 後遺障害等級の認定に当たっては治療の経過も考慮事情とされているため,必要最低限の資料を提出するのみで後遺障害等級が認定されるかどうか不安がありました。

 そのため,事故の衝撃の大きさについて客観的な資料を元に説明するとともに,後遺障害等級が認定されるべき事情を説明する弁護士作成の意見書を添付して後遺障害の申請を行うこととしました。

 その結果,首と腰のそれぞれについて後遺障害等級14級9号が認定されました(併合14級)

 

賠償金額

 上記後遺障害等級の認定結果を元に弁護士が保険会社と交渉をした結果,後遺症の逸失利益や休業損害については満額(逸失利益はむち打ち症であることを考慮し,労働能力喪失率5%,労働能力喪失期間5年),慰謝料についても裁判基準を元にした金額(約195万円)で示談することができ,最終的な賠償金額は,治療中に支払われた治療費を除き,約380万円(後遺障害自賠責保険金を含む)となりました。

 

後遺障害等級の認定と通院日数の関係?

 このページをご覧の皆さんの中には,既にインターネットで後遺症に関する情報を調べられた方もいらっしゃるかもしれません。

 その中には,後遺障害等級が認定されるための条件のようなものが記載されているものもあると思います。

 そして,この条件について,通院日数が重要であると書かれているものが少なからず見られます。

 具体的には,「整骨院ではなく,病院などの医療機関に〇日以上通った方がいい」といったものです。

 たしかに,後遺障害等級は,治療を尽くしたものの治療の効果が期待できない状態に至ったときに,残った後遺症について認定されるものですから,まともに治療を受けていない状態で,後遺障害等級の認定をしてほしいと言っても難しいでしょう。

 私がこれまで見てきた中でも,極端に通院日数が少ないケースでは,基本的に後遺障害等級非該当の結果が出ています。そういった意味では,通院の日数を無視することはできません。

 しかし,後遺障害等級は,通院日数のみで認定されているわけではなく,後遺障害等級を認定している損害保険料率算出機構は,〇日以上の通院が必要などと公表してはいません。

 したがって,「後遺障害等級の認定のために〇日は通院しなければならない」ということを断言することはできず,推測に過ぎないのです。

 ただ,私も医療機関への通院の重要性を否定するものでは全くなく,医療の専門家である医師によって経過観察が行われ,適切な治療を受けることは,損害賠償請求に当たって不可欠だと思います。

 しかし,必要もないのに,医療機関に半年で100日以上の通院をご依頼者様に勧めるようなことは,賠償上の因果関係との関係で問題が生じるおそれもありますし,被害者の方のご負担も大きいので,当事務所ではしておりません。

 あくまでも医療機関での通院を中心に考えつつ,整骨院への通院によって病院では足りない部分を補うようなイメージで,常識的な範囲で通われるのが良いかと思います。

→詳しくはこちらもご覧ください「むち打ち症と後遺障害等級の認定」

メッセージ

 本件のようなケースでも後遺障害等級が認定されたことからも分かるように,通院の日数だけを見て,後遺障害等級が認定されないなどと安易に判断することはできません。

 後遺障害等級の認定は,事故の状況,治療中の症状の変化,MRIをはじめとする画像資料などを見て,総合的に判断されるものです。

 したがって,インターネット上の情報を元に後遺障害等級の認定を諦める前に,見込みについてまずは弁護士にご相談されることをおすすめします。

その他の事例はこちら→「解決事例一覧」