後遺障害等級12級で当初約960万円の提示から約1580万円に増額した事例

2018-07-17

事案の概要

 本件は,バイクと車の出合い頭の交通事故で,骨折等の傷害を負い,後遺症に後遺障害等級12級加害者側に弁護士がついていて,示談金額の提示が既にされていたという事案でした。

当事務所の活動

本件の特徴

 本件は,被害者に過失があると見込まれる事案で,相手方の弁護士から提示された金額も決して低いものではなかったため,通常の交渉ではそれほど増額が見込める事案ではありませんでした。

 しかし,本件は,人身傷害保険が利用できる事案でもあり,この点に特徴がありました。

人身傷害保険

 人身傷害保険とは,被害者の過失の程度にかかわらず,原則として被害者に生じた損害を補填するということを目的とするもので,金額の算定は,保険会社が独自に設定している基準に基づいて行われます。

 そして,この基準は,裁判所で認められる実際の損害額よりも低いことが通例です。

 そのため,加害者がいる場合には,この保険を使うメリットはあまりありません。

 しかし,被害者に過失がある場合は,保険会社の基準の限度で,過失分の埋め合わせをできるという性質もあるというのがこの保険の隠されたメリットです。

 そこで,この保険を最大限活用し,過失分も含めて損害を完全に填補することを目標に活動を行いました。

保険金の支払い

 本件では,上記の方針に従って,まず人身傷害保険金について保険会社から約1100万円の支払いを受けることとしました。

訴訟の提起

 次に,この人身傷害保険金は,すでに述べたとおり保険会社の基準に従って金額が決まるため,実際の損害額よりも不足していたことから,この不足分について加害者に対して請求する訴訟を提起しました。

 詳細は割愛しますが,上記のメリットを活かすためには,人身傷害保険の保険会社が,支払った保険金について,全額を加害者に対して求償するということを防ぐ必要があります。

 そのために,通常,裁判手続きで全体の損害額を確定する必要があるのです。

 この訴訟の中では,逸失利益の額等が争われることになったのですが,関連する裁判例を参考にしつつ反論し,結果として遅延損害金等を含めて,約480万円が支払われることで和解することとなりました。

 その結果,人身傷害保険金を含めると,当初の金額の約960万円から約1580万円と約620万円の増額となりました。

コメント

 本件は,人身傷害保険を利用することで,結果として被害者の過失分も含めて賠償金の回収を行うことができましたが,このような保険の仕組みは,人身傷害保険の保険会社の担当者も十分に理解していないことが多いです。

 また,上記のような事情もあって,人身傷害保険を十分に活かすためには,基本的に裁判を行って全体の損害額を確定する必要がありますが,この裁判はかなり難しいため,ご自身で行うことは非常に困難なものとなります。

 人身傷害保険を利用できる場合は,特に交通事故に強い弁護士のサポートがなければきちんと補償を受けることは困難ですので,まずはお気軽に弁護士にご相談ください。