弁護士へ相談・依頼するタイミング
最近では,弁護士もホームページ等を通じて情報を発信できるようになり,以前よりは法律事務所の敷居も低くなったではないかと思いますが,やはり弁護士に相談や依頼をすることはハードルが高いと感じられる方は多いようです。
そのため,大して困ってもいないのに弁護士に相談していいのだろうか,どのタイミングで相談に行けばよいのだろうかと悩まれる方もいらっしゃると思います。
結論から言うと,「ご相談については可能な限り早く」,「ご依頼については状況に応じて適宜」行っていただくと良いです。以下では,弁護士にご依頼いただいた場合にどのような形でサポートさせていただくことができるのかご説明いたします。
目次
1 事故に遭った直後
相談の必要性
この時期は,必ずしも弁護士に示談交渉の依頼までする必要はありませんが,今後の対応の進め方などについて弁護士からアドバイスを受けておいた方が良いです。
サポートの内容
この時期に行うアドバイスは、主に医療機関で行う検査の内容についてです。
ケガの内容によっては,早期にMRI検査等を行って,事故直後の状態を確認しておく必要がありますし,治療の経過によっては,後々必要な賠償が受けられないということもありますので,事故直後からどのような治療・検査を行うべきかについて把握しておいた方がよいです。
この、「どのような治療・検査を行うべきか」という点は、損害賠償の請求に当たってどんな証拠を残しておく必要があるかということであり、医学的に見てどのようにすれば良いのかということとは必ずしも一致しません。
医学的には、やってもやらなくても同じだから不要と思われる検査であっても、損害賠償の請求との関係では、証拠を残しておくという観点からやっておいた方がいいということもあるのです。
また、非器質性精神障害や高次脳機能障害など、気になることがあっても後回しになってしまった症状について、事故から時間が経ってから通院を開始した場合には、事故との関係が認められないというようなケースもありますので、弁護士に細かい事情を説明をして、必要なことを聞いていただくとよいでしょう。
さらに、休業損害の請求に当たっても、休んでいれば当然に払われるというわけではないので、相手方からの支払いの見込みを考えて適切に行動する必要があります。
その他,この時期は,車の修理や買い替え費用をめぐる問題が解決していないことも多く,特に買い替えが必要となる場合,実際に支払われる金額が問題となりますが,レンタカーの使用期間などとの関係で迅速に対応していく必要があります。
そこで,事故直後で,まだ特に何も問題になっていないと思われるときでも,一度弁護士にご相談され,今後の対応について説明を受けられることをおすすめします。
2 治療が終了に近づいた段階
相談の必要性
この時期になると,後遺障害認定の申請手続きを依頼したいという方もいらっしゃると思いますので,状況に応じて適宜ご依頼いただくと良いと思います。
また、後遺症も特に残すことなく治療を終えられるような場合は、最終の示談を残すのみとなりますので、特に弁護士特約を利用可能な方であれば、示談交渉に備えて早めに弁護士にご依頼されてよいと思います。
サポートの内容
治療を進めた結果,症状の改善が見込まれず,相手方からも治療費の支払いができないと言われているような時期になると,後遺症の等級の認定を受けることを考えなければなりません。
後遺症について補償を受けるには,後遺症の認定を受けることが非常に重要になりますが,認定にあたっては,自賠責保険に対して各種書類を提出する必要があります。
この書類を見て,自賠責保険会社が等級を認定することになるわけですが,自賠責の等級認定については,一定の基準があります。
そのため,漫然と書類を提出するだけで等級の認定がされるわけではなく,この基準を満たすような形で書類を整える必要があります。
特に問題がないケースも多いのですが,一部の後遺障害については,検査漏れ等がある場合がありますので,弁護士が必要な検査や記載が漏れていないかをチェックし,後遺障害等級の認定をサポートいたします。
また、自賠責保険へ後遺症の申請を行い、後遺障害等級が認定されると、自賠責保険金が支払われることになります。後遺症に苦しむ中でこの自賠責保険金を生活費の一部に充てることができれば、任意保険会社との示談交渉にもしっかりと臨むことができるようになるでしょう。
※当事務所では,通院・検査のための医療機関の紹介は行っていません
3 等級の認定が出た段階
相談の必要性
等級の認定が出たら,最後の示談交渉へと進んでいきます。
サポートの内容
この段階になると、保険会社との交渉が必須となりますので、弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
また,一度等級が出た段階でも,その結果がおかしい場合もありますので,自賠責保険に対して不服申し立てをすることができないか検討していきます。
弁護士による異議申し立ての結果,等級が変更されることもありえますが,その際のアプローチの仕方は事案によって異なります。
4 最終支払額の提示がされた段階
相談の必要性
相手方から最終的な支払い額の提示がなされた場合,適正額よりも減額された金額であることが少なくありません。
この段階では,賠償金額の計算方法や因果関係の問題など様々なことについて交渉をしていく必要があり,場合によっては裁判等の手続をとることも検討しなければなりません。
また,安易に示談をしてしまうと,その後争うことが困難になります。
保険会社の出す金額には問題があることが非常に多いので,この段階になると,基本的にはどのような方であっても,一度は弁護士にご相談されることをおすすめします。
サポートの内容
弁護士のサポート内容は、既に示されている保険会社が計算した示談金額を見ながら、実際に被害者の方の状況などをうかがって、どの項目がどの程度低く計算されているのかを具体的にお示しし、必要に応じて示談交渉の代行を行います。
当事務所では、賠償金額の無料診断サービスを行っておりますので,是非ご利用ください。
以上のように、交通事故発生から相手方からの最終の支払額の提示に至るまで,各段階で弁護士がサポートさせていただくことができますが、後になればなるほど弁護士への依頼の必要性は増してきます。
ただ、事故直後は相談しなくてもよいかというとそんなことはなく、後になってご相談に来られた方からお話を伺っていると、もっと早くアドバイスを受けていればきちんと補償を受けることができたのに、ということもあります。
当事務所は,ご相談は無料で承っておりますので、なるべく早い段階で一度弁護士にご相談ください。
(※弁護士特約のご加入がある場合、保険によって相談料が支払われます)。