後遺障害等級14級(むちうち)で請求のほぼ満額の支払いを受けた事例

2018-04-26

 今回は,当事務所で取り扱った交通事故の案件の中で,後遺障害等級14級9号が認定され,請求額のほぼ満額が支払われたケースをご紹介します。

 

事案の概要

 事案は,信号待ちで停車中の被害車両に後方から加害車両が衝突してきて,被害者量が衝撃で前に止まっていた車に衝突したという玉突き事故です。

治療終了間際で,後遺症の申請サポートからのご依頼でした。

 

当事務所の活動

 まずは,後遺障害の被害者請求を行うところから着手しました。

 また,同時並行で治療期間中(傷害部分)の損害賠償の請求も行いました。

 怪我の内容がむちうちであったため,後遺障害等級が認定されるかは不透明で,出来上がった後遺障害診断書を見ると,神経根症状誘発テストの結果が陰性となっているなど,少し気になる内容でした。

 そこで,必須書類の他にも書類を添付し,被害者請求を行いました。

 その結果,無事,14級の認定を受けることができましたので,その結果を受けて相手方と後遺障害部分の交渉を行うこととなりました。

 

相手方保険会社との交渉

 今回は,後遺障害分の被害者請求と並行して傷害部分(治療終了までの部分)の示談交渉を進めました。

 傷害部分で問題となったのは,休業損害の不足額と傷害慰謝料の額でしたが,休業損害の方は当方の提示額の満額,傷害慰謝料の額も裁判基準(赤い本)の約97%とほぼ満額で示談することができました。

 続いて,後遺障害の認定を得ることができましたので,後遺障害分についても追加で請求を行いました。

 その結果,後遺障害分については,働能力喪失率5%,労働能力喪失期間5年の満額と後遺障害慰謝料は裁判基準(赤い本)の約99%で示談をすることができました。

 

後遺症傷害の申請のポイント

 本件は,むちうち症の後遺障害等級14級9号という後遺障害の中では最もポピュラーな事案です。

 しかし,むちうち症は,他人から見ると症状の原因がよく分からないということがほとんどで,近年では,単に被害者が痛みを訴えるのみでは自賠責でいう後遺障害には当たらないとされることが多く,認定を受けるのは容易ではありません。

 そのため,後遺障害の申請の段階から,できるフォローはしておいた方が良いと思います。

 本件の場合,玉突き事故であったことが特徴の1つで,軽い事故であれば玉突き事故にはなりません。

 この点から,被害者の身体にもかなりの衝撃が加わったことが分かりました。

 そこで,被害者から車両の写真を取り付け,それを申請書類に添付することで,事故の衝撃の大きさを明らかにしました。

 次に,被害者は,手のしびれを訴え,そのことは後遺障害診断書には書かれていたのですが,それ以前の毎月作成される診断書にはそのことの記載が全くありませんでした。

 そこで,カルテを取り寄せ,治療の当初からしびれが一貫して存在していたことを明らかにしました。

 自賠責保険では,症状の連続性や一貫性が重視されているといわれているためです。

こうして,自賠責保険に提出する必須書類に加え,追加書類を添付して後遺障害の申請を行ったところ,無事等級の認定を受けることができました。

 

交渉のポイント

 本件の交渉は,相手方の対応があまり強硬ではなかったこともあり,裁判基準のほぼ満額を支払うことについて,早期に合意に至ることができました。

 

 

コメント

 インターネット上の情報を見ると,後遺障害の申請は必ず被害者請求で行うべきであるというようなものが見受けられます。

 しかし,私の経験上は,被害者請求の方が事前認定よりも有利な結果が出やすいということは必ずしもないように思えます(事前認定であっても,適切に認定されることは数多くあります。)。

 ただ,必須書類のみでは伝わらないような事情があるような場合には,やはり被害者請求でその点が分かるような書類を添付しておいた方がいいように思えます。

 実際,事前認定では後遺障害の等級が認められなかったものが,書類を追加して異議申し立てを行ったところ,等級が認められたということもあるからです。

 申請に当たって,どこまでフォローをすべきかはケースによりますが,後遺症のことで気になることがおありでしたら,お気軽にお問い合わせください。

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