主婦のむちうちで14級が認定され,後遺症の賠償が満額となった事例

2019-04-12

事案の概要

 事故の状況は,信号待ちで停車中に後方から加害車両に追突されたというもので,被害者は頚椎捻挫・腰椎捻挫・肩関節捻挫のけがを負いました。

 順調に回復していたのですが,事故から8か月近くが経過し,治療の終了が見えてきたところで症状が悪化し(整骨院の施術の問題の可能性がありました。),保険会社から打ち切りの連絡がありました。

 そのため,このタイミングで弁護士への依頼となりました。

 

当事務所の活動

打ち切りに対する対応

 まずは,治療費の支払いの延長交渉から始まりました。

 事故から相当時間が経過しており,骨折等の他覚所見もありませんでしたので,治療費の延長を求めることは非常に困難でした。

 さらに,本件の場合,整骨院での施術が原因で症状が悪化した可能性があり,客観的に見ても,加害者にそれによって追加で生じた治療費の支払いを求めることは難しい状況でした。

 それでも,交渉を行った結果,さらに2か月強の治療費の支払いに応じてもらえることになりました(保険会社によっては,一切交渉を受け付けられなかった可能性が高いです。)。

後遺症の申請

 治療終了後も,被害者の訴える症状が強かったため,自賠責保険会社に対して後遺症の申請を行うことにしました。

 本件は追突事故でしたが,後部バンパーだけでなく,内部まで損傷が及んでいたことが写真からも明らかでしたので,この写真を添付しました。

 結果として,頚椎捻挫後の症状と腰椎捻挫後の症状についてそれぞれ後遺障害等級14級9号が認定されました。

示談交渉

 治療費の件は既に交渉ができていたので,示談交渉で問題となったのは,主婦として休業損害の上乗せと慰謝料,後遺障害に関する賠償の点でした。

 主婦の休業損害については,会社員としての休業損害が既に50万円以上出ていたことから,上乗せが難しい部分でした。また,本件の場合,治療の延長の問題もあったため,この点を強硬に主張することは得策ではないと思われました。

 そのため,この部分は上乗せを求めない代わりに,その他の部分の満額の支払いを求めることにしました。

 その結果,入通院慰謝料は約108万円,後遺障害逸失利益は約81万円(労働能力喪失期間5年),後遺障害慰謝料は110万円と,いずれも裁判基準の満額(入通院慰謝料は,当初終了予定だった8か月の基準を上回る額)での支払いを受けることができました(その他に既払の治療費や休業損害等が約200万円ありました。)。

 

コメント

 本件は,相手の保険会社の対応が比較的良かったため,請求がほぼ認められましたが,いい意味で珍しい事案だったと思います。

 基本的に,怪我を「治す」という意味では,医師による治療が推奨されるところであり,整骨院の施術によって症状が悪化した可能性がある場合,しかも,治療が相当進んだ段階でそのような事態が生じた場合,相手方からの打ち切りを拒むことは非常に難しいと言わざるを得ません。

 整骨院による症状の緩和の効果や,通院のしやすさ等のメリットは否定できませんが,仮に賠償上の何らかのデメリットが生じた場合,その点は自己責任になる可能性が高いことを認識しておくべきです。

 特に,本件は後遺症について等級の認定が出たので後遺症についても補償を受けることができましたが,仮に等級が出なかった場合,その部分の補償が受けられないこととなって,大きな苦痛を伴うこととなりますので,どのような治療を受けるのがベストなのか,賠償の観点からもしっかりと検討をすることをおすすめします。