交通事故で請求できる損害賠償について

交通事故の被害者が加害者に対して請求することができる主なものは以下のとおりです。

 

ケガの場合-治療中

1 治療費

ケガを治すために必要な治療費が相手方から支払われます。
ただし,過剰な診療が行われた場合,認められないこともあります。
整骨院等での治療も必要があれば認められますが,医師の指示があればより認められやすくなります。

 

2 通院交通費

医療機関に通うために要した交通費が支払われます。
自家用車を使用した場合には,ガソリン代相当の額が支払われますが,ガソリンスタンドの領収書を提出するのではなく,1キロメートル当たり15円として計算することが多いです。

 

3 付添費用

ケガの程度や被害者の年齢等によっては,付添費用が認められることがあります。
計算方法としては,1日当たりいくらという定額を定めて計算する方法や,付添いをして仕事を休んだことで発生した損害額を用いることもあります。

 

4 入院雑費

入院をすると,日用品の購入や,テレビの利用等で出費をしなければならないこともありますが,これらについては,一つ一つを挙げていくというのではなく,1日当たり1500円程度の定額で支払われることが多いです。

 

5 装具代

ケガの内容によっては,義足や車イス,補聴器,介護用品等が必要になることがありますが,その場合,相当額を請求することができます。

 

6 家屋・自動車改造費,転居費用

ケガの内容によっては,被害者が生活を行うために,家屋や自動車の改造費の相当額が認められることや,転居を余儀なくされたことによる転居費用や家賃差額が認められることもあります。

 

7 休業損害

休業損害は,ケガの症状や治療のために仕事を休まないといけなくなり,その分収入が減ったことに対するものです。
1日当たりの額を定めて,休業の日数をかけるということが一般的です。
賞与の減額があった場合,その分も請求していきます。

 

8 傷害慰謝料

傷害慰謝料とは,ケガを負ったことや通院を余儀なくされたことによる苦痛に対する賠償のことです。
一般的には,通院の長さを元に金額を計算していくことが多いです。

 

ケガの場合-後遺症

1 逸失利益

後遺症による逸失利益とは,後遺症によって労働能力が低下したことによる収入の減少のことです。
金額は,収入額に労働能力の低下の程度をかけたものから中間利息を差し引くことによって計算します。
基本的に,事故前の収入と後遺障害等級によって計算されることになります。

 

2 後遺症慰謝料

後遺症慰謝料とは,後遺症が残ってしまったことによる苦痛に対する賠償のことです。
金額は,後遺障害等級に応じて決まることが一般的です。

 

3 将来介護費

重い後遺症が残ってしまった場合,被害者のために介護が必要となることがあり,これによる損害が実際にはかなり大きくなることが少なくありません。
計算方法としては,1日当たりに必要となる額を定めて,将来にわたって必要となる費用を計算していきます。

 

死亡事故の場合

1 逸失利益

死亡による逸失利益とは,死亡したことによる収入の減少のことです。
死亡事故の場合は,将来得られるはずだった収入がゼロになるので,労働能力の低下は100%となります。
死亡事故の場合に特有の問題として,本人の生活費の控除の問題があります。一般的には,生活費を細かく認定するのではなく,逸失利益の額に,生活費控除率というものをかけることによって計算します。
例えば,「被害者が一家の大黒柱なので,生活費控除率は30%」などとします。
また,死亡によって年金の受給資格を失うことになるため,年金の逸失利益も問題となります。

 

2 慰謝料

死亡事故の場合は,死亡した本人の慰謝料のほかに,近親者の慰謝料も認められます。

 

3 葬儀関係費用

葬儀関係で要した費用についても請求することができますが,実務上は,一定額を超えた部分については補償されないことも多いので注意が必要です。

 

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